黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

† 新刊情報(10/09) †

2010-09-30 | 新刊情報
<9月>
9/1
小路幸也『さくらの丘で』祥伝社 

石持浅海『Rのつく月には気をつけよう』祥伝社(文庫)

9/7
木地雅映子『マイナークラブハウスの恋わずらい』ポプラ社(文庫:ピュアフル)

9/10
海堂尊『アリアドネの弾丸』宝島社 

9/11
大崎梢『背表紙は歌う』東京創元社

9/14
津原泰水(尾崎翠:原案)『琉璃玉の耳輪』河出書房新社

高田郁『今朝の春 みをつくし料理帖』(角川春樹事務所) 

9/21
恒川光太郎『竜が最後に帰る場所』講談社

9/25
香月日輪『僕とおじいちゃんと魔法の塔 3』角川書店(文庫)

9/27
伊坂幸太郎『マリアビートル』角川書店 

9/29
近藤史恵『砂漠の悪魔』講談社 

倉知淳『なぎなた 倉知淳作品集』東京創元社 

倉知淳『こめぐら 倉知淳作品集』東京創元社 

9/下
麻耶雄嵩『隻眼の少女』文藝春秋

乾くるみ『セカンド・ラブ』文藝春秋

9/30
乾ルカ『蜜姫村』角川春樹事務所

日付不明
桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』東京創元社(文庫)



チョコマカロン@ローソン

2010-09-30 | スイーツ
 ローソンのウチカフェスイーツ1周年記念の週替わり(9/28~10/4)の限定品・第1弾。
 チョコのマカロン生地の間に、ほのかにフランボワーズ風味のチョコガナッシュが挟まれています。
 大きさは約6.5cmと大きめだけれど、さっくりとした食感。
 割と食べ応えがあるので(しかも甘い)、飲物は必須(笑)。

 ローソン:全国

『音迷宮』石神茉莉(講談社)

2010-09-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
店主Tとその妹・美珠が営む玩具館・三隣亡にやってきたのは、二軒先の「化け物屋敷」に越してきたという少年。その屋敷は、有名ピアニスト・三次美弥子の家だったが彼女は失踪中。彼はその息子で、幼い弟と一緒に戻って来たらしい。その屋敷では勝手にピアノが鳴り出すという怪現象が起こり、美弥子は怖がっていたというのだが、その少年は恐怖という感情がわからないのだという……『音迷宮』、 
幼い頃、自分を可愛がってくれた近所の青年・日夏望は、十八年前、英国で失踪していた。そんな彼が遺した写真は、白い女の影が写っていた。
そこに写っていた風景を探す為、英国にやってきたキョージだったが……『I see nobody on the road.』、
日伊共同制作のオペラ映画“蝶々夫人”に主演した私。
そこに娘の安奈を、夫人の息子役で使ったのだが、それ以来、人見知りしなかった、いい子だった安奈が、突然人の視線を恐れるようになって……『眼居』、
バーで隣り合わせた少女・真央と関係を持った男。その彼女が語る話。
彼女は、中学時代、等身大の少女の人形がぶらさがっているのを見たという。しかし友人の怜子には見えず……『夜一夜』、
美人ながら、昔から姉である自分の物を何でも欲しがる性格だった妹の汀。
そんな彼女が妊娠したと告げた三ヵ月後、夫の匠のトルコへの異動を彼女に告げないまま、一緒にイスタンブールへとやってきた渚。
そんな彼女は、カッパドキアのツアーに出かけた折、見知らぬ女に子供を渡されて……『鳥の女』、
子供ができたと打ち明けた途端に恋人に捨てられた女。
やがて生活にも困るようになり、友人から紹介された古い洋館に住むことに……『Rusty Nail』、
イタリアのS島で余生を過ごしている父と義母の元を、娘のリナを連れて訪ねた私。
生母は、幼い頃一緒に船舶事故に遭い、私だけが生き残った。一人、町中を散歩に出かけた私は、ふと目にした人魚の置物に惹かれる……『海聲』、
幼い頃、長い休みごとに伊豆の祖父の元を訪れていた美帆。そこには病弱な従兄の諒が病気療養の為、祖父と一緒に暮らしていた。
そんなある日、川遊びにいった川で溺れた私は、そこにあった手をつかんでしまった。その事故で諒は亡くなって……『川の童』、
一匹の美しい雌牛と海辺の小屋に暮らしていた私。その牛に懸想したトドは毎日陸に上がってくる。まもなく雌牛は懐妊し、美しい人間の女の顔をした仔牛を生む……『Me and My Cow』、
よくあたるトランプ占いをする祖母。そんな彼女に7歳の時、カードの位置を自分で操れたら、未来も操れるのかと問うた私。その夜、夢の中で母の体内にいる妹の死を予感した。妹は生まれずに亡くなり……『夢オチ禁止』の10編収録の短編集。

怪奇幻想な作品集。『音迷宮』(『夢オチ禁止』もちょっとだけ)はノベルスで出たシリーズの世界。
左下に印刷されているタイトルが、各話の最後のページのみ、モチーフになっている妖怪名になってます。
ノベルスで出た長編よりも、コンパクトに纏まっていてこちらの方が良いかも♪

<10/9/30>

『実さえ花さえ』朝井まかて(講談社)

2010-09-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
江戸向嶋で、評判の種苗屋・なずな屋は、腕の良い花師の新次と、手習いの師匠おりんの若夫婦の店。
そんな彼らの店に、日本橋駿河町の太物問屋・上総屋の隠居・六兵衛がやってきた。快気祝いの引き出物にするため、桜草の小鉢を三十鉢の注文をしたいという。
早速、新次は思案の末、その鉢を新興だが評判の鉢屋・権鉢堂に依頼したものの、後日職人がいないと断られてしまい、他を当たるがままならない。
納期まで十日に迫り、焦る中、新次の幼なじみである留吉が、女房のお袖と喧嘩。新次の家までやってきて、二人はまたひと悶着。文字の書けない自分の代わりに去り状を書いてくれという騒ぐお袖の言葉に、新次がおりんに書いてやるようにいうが、お袖は逆上。彼女が言い放った言葉が、おりんを傷つける。
未だ鉢の算段もつかずに悩む中、どうやら新次がかつて働いていた大店・霧島屋の誰かが糸を引いているらしいと知る……“第一章 春の見つけかた”、
一年後。上総屋の隠居は、その後向嶋に隠居所を建て移り住み、新次たちと親しくなり眼をかけてくれる。
そんな上総屋の元には、孫である辰之助が一緒に暮らしている。大変整った顔立ちだが、ちょっと変わったところのある青年。
そしてなずな屋でも、雀ことしゅん吉と呼ばれる少年を預かっていた。出入りの棒手振り・栄助の息子なのだが、栄助はある日旅に出るからと預け、そのまま行方をくらましてしまったのだった。そんな雀を自分たちの子供のように思い始める新次たち。
一方、霧島屋の七代当主・伊藤伊兵衛治親…元は旗本の三男で、六代目の娘である理世の婿養子…が、唐橘を投機の対象となるように世間を煽って、不当な高値をつけて暗躍していた。
そんな中、三年に一度、九月十日に開かれる“花競べ”に出品してみないかと六兵衛に頼まれた新次。「霧島屋が大変なことになる」という言葉が気にかかり、参加することにした新次は、山で取ってきた“しきみ(重実)”を出そうと考えるが、名前が今ひとつなことから、新たな名前を考えることに……“第二章 空の青で染めよ”、
五月二十八日は両国の川開き。雀の行く末を思い、自分の弟子にしたいと考えている新次と、学門も身につけさせたいと思うおりんだったが、栄助は未だ行方知れずのまま、未だ預りの身ではどちらも逡巡してしまう。
そんな中、先に新次が紫式部として出品した植物が巷で好評を博し、その噂を聞いた伊勢津藩三十二万石の大名・藤堂和泉守からも仲春の宴の為の庭を任せたいという依頼も舞い込んだ。
やがて、秋も深まりきった頃、紫式部の偽物が出回り始めた。留吉が犯人を捕まえたが……“第三章 実さえ花さえ、その葉さえ”、
向嶋界隈の墨田堤に花見に出かけた、おりんと六兵衛、留吉と子供たち。実家に帰りしばらくぶりの辰之助も参加した。
そこで、放生会の為、籠の鳥を放ちに来た吉原の花魁たちに遭遇。そこへ振袖新造の雛鶴に袖にされた侍が食って掛かり、騒動になるが、吉原一の花魁・吉野太夫が見事な口上で切り返し、撃退。その場に居合わせた人々を魅了する。
その後、聡い雀に松平越中守が目をとめ、小者として召し抱えたいとの申し出が。そんな中、雀の着物に所在が書かれた紙が縫いこまれているのを見つけたおりんたち。それは、死んだとされていた雀の母・おけいの居場所を記したものだった……“第四章 いつか、野となれ山となれ”、
その後の人々は……“終章 語り草の、のち”を収録。

向嶋で種苗屋を営む若夫婦とその周辺の人々を描いた、時代小説。
デビュー作とは思われない達者な語り口は軽妙でした。
ただこの内容を一冊でまとめちゃうのは、もったいないかなぁ(各章を一冊ずつくらいにして欲しい…)、個人的には思ったり。

<10/9/29>

『空想オルガン』初野晴(角川書店)

2010-09-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
清水南高校が出場する吹奏楽コンクールの地区大会当日・八月一日。
ところが前日、市営住宅の三階から落ちた子供をキャッチして助けた、チカこと穂村千夏は、手首を痛めてしまう。芹澤直子の手も借り、何とかした対応したチカ。
しかし何故か会場には、顧問の草壁信二郎が現れず、連絡もつかない状態。そこでフリーライターの渡邉琢哉という人物に遭遇したチカ。どうやら彼らが草壁を追っていることから、姿を現せないのだと知る。そこへハルタこと上条春太が現れ、会場で見つけた迷子犬を記事にすることを条件に、自分たちを見逃して欲しいと交渉する。
その犬は、チベタン・マスティフという稀少種の犬。
ところがその後、飼い主だと名乗り出た人物は二人…青年と少女。果たしてどちらが本当の飼い主なのか……『ジャバウォックの鑑札』
八月四日。地区大会を勝ち進んだ彼らは、間近に迫った県大会に向けて練習に励む。
しかしそこへ、一級建築士をしてるというハルタの姉・南風がやってきた。
これまで住んでいた格安のボロアパートが取り壊されて、現在ホームレス状態になっているハルタは、密かに学校に住んでいたらしい。それ故に、ハルタから資金援助の連絡が彼女の元に入ったというのだった。
かくしてアパート探しに奔走することになったハルタたち。
そんな中、カイユの知り合いの不動産屋で見つけたのは、防音完備の格安物件。しかしそこはいわくつきの物件で、間取り図上には存在しない五部屋目があり、さらに幽霊が出没という噂。
早速見に出かけたハルタ、南風、チカだったが、家主の天野夫妻は、近々手放す予定だという。そのアパートは、彼らの祖父の遺言により受け継いだのだが、幽霊騒ぎで住人もいなくなってしまった上、妻は身重。相続税も払えない状態だというのだった……『ヴァナキュラー・モダニズム』、
吹奏楽コンクールの県大会に勝ち残った清水南。
その会場で、二リットルのペットボトルを売りつけられたチカやカイユ。それは清新女子高校の吹奏楽部のメンバーだった。メンバーは、ギャルの出で立ちの彼女たちだったが、見た目を裏切る演奏で、金賞枠候補との噂らしい。
清新の指揮者は三年の遠野京香は、山辺富士彦という編曲家に師事していた音楽の天才で、彼女が書くスコアがその演奏の秘密らしい。
そんな彼女たちには、ある事情から自分たちの中で守っている掟があって……『十の秘密』、
上司のマンボウの元で、振り込め詐欺の片棒を担いでいるガンバ。
今月の売り上げを上積みしろといわれ、部下のボーボを売り渡すことを言い出されたことから、封印していた名簿からある老婆に電話をした……すでに亡くなったはずの彼女の息子・孝志の名で。
四百万の要求し、受け取り場所として、吹奏楽コンクール東海大会の会場三重県総合文化センターを指定する。その隣では、“オルガンリサイタル”が開催されていた。
一方チカたちはいよいよ東海大会に出場することに……『空想オルガン』を収録(冒頭にこれまでのおさらい的『序奏』も)。

ハルチカシリーズ・第三弾。
吹奏楽の甲子園・普門館を目指し、邁進する清水南の面々。吹奏楽コンクールに駒を進める中で、遭遇する事件の数々。話的には重い部分もあるけれど、楽しく素敵なお話でした♪
個人的には『ヴァナキュラー~』が、好きかな。

<10/9/27>

プラリネ@望月菓子店

2010-09-26 | スイーツ
 スポンジの間にはちみつ(?)が塗られています。
 上に、キャラメリゼされたスライスアーモンドがみっしり。
 スポンジは形を保つためか、ちょっと硬めな感じ(アーモンド粉が入っているから?)。
 一本ものです。

 望月菓子店:新潟(見附)

『さくらの丘で』小路幸也(祥伝社)

2010-09-26 | 読了本(小説、エッセイ等)
大好きだった祖母がかつて繰り返し話してくれた、<さくらの丘>に建っていたという<私たちの学校>と呼んでいた、西洋館での思い出。
満ちるの祖母・宇賀原ミツが亡くなり、そのさくらの丘の土地を満ちるたちに遺すと記された遺言と共に、一本の古い鍵が渡された。
その館と土地は、ミツと、彼女の友人であった“はなちゃん”こと青山花恵と、“きりちゃん”こと兼原桐子との共同の持ち主になっており、それぞれの孫たちに遺すという話で、花恵の孫・志賀紗代と、桐子の孫・西野香織にも同じ遺言が遺されているらしい。
彼女たち連絡をとり、祖母たちの意図を探るべく、満ちるの叔父・楓も加え、その地を訪れた満ちるたち。
戦後まもない頃。男手が少なかったことから、<さくらの丘>の横嶺さんのお屋敷の手入れを頼まれていたミツたち三人。そこにある日、村の誰も近づかないはずのそこに、女の人と外人さんが現れた…それは、かつて村の地主だった金崎家の娘で、ある事件の後村を出ていた金崎けい子と、アメリカ人のロン・ホーソン。ロンは戦争を嫌い、軍を逃げ出してきた脱走兵だった……

亡き祖母が娘時代に暮らしていたという<さくらの丘>の土地と館を託された、それぞれの孫娘たちがその理由を探るお話。満ちるたちの現代と、ミツたちの過去が交互に語られる形式です。
切なくも、あたたかな気持ちになる作品でした。

<10/9/26>

『いちばんここに似合う人』ミランダ・ジュライ(新潮社)

2010-09-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
同じアパートに住んでいる韓国系のヴィンセント・チャン。彼にはヘレナというギリシャ系の奥さんがいる。
アパートには住人共用のパティオがあり、使わなければ損するとばかりに、彼らに張り合うようになるべくそこを使うようにしていた。そんなある日、ふと思いつき、彼に話しかけてみたわたしは……『共同パティオ』、
ベルヴェディアに住んでいたことのあるわたし。そこでなぜかマリアという名として通っていた。
ひょんなことから、海も川も湖もプールもないそこで、三人の老人…エリザベス、ケルダ、ジャックジャックに水泳を教えることに……『水泳チーム』、
英国王室に興味をもつようなタイプではなかったわたし。ところがある日、ウィリアム王子が登場する性的な夢をみるようになり、妄想がふくらんでゆく……『マジェスティ』、
“階段の男”がゆっくり近づいている。そんなわたしのそばでは、十三年上の恋人・ケヴィンが眠っていて……『階段の男』、
友人のヴィクトルから、彼の妹のブランカを紹介してやろうかと持ちかけられた俺。彼女とは何度も会う機会があったのだが、なぜかいつもすれ違いで、その姿を見ることができず……『妹』、
その人に、とてつもなくすばらしいことが起ころうとしている……『その人』、
ロマンス体質になるため土曜の朝のセミナーに集まってきた四十人の女性たち。インストラクターは、ロマンスは幻想だと語る……『ロマンスだった』、
わたしとピップは、一緒に家出をしアパートで暮らし始めた。やがてピップはケイトの元へと行ってしまい……『何も必要としない何か』、
最高のリードボーカルで、かわいいエレノア。おまけにお父さんもハンサムで……『わたしはドアにキスをする』、
わたしがラム・キエン美容室に行くと、そこにいた男の子に話しかけられた。ポールという名の犬を飼っているというが、本当はいない。彼とのその空想を楽しむ私だったが……『ラム・キエンの男の子』、
わたしは書き上げた原稿をもって、あの人の…書きあがったら電話をしなさいといっていた…家にやってきた。ところが彼は留守で、そこにいたのは奥さん。
彼女は、「時間をさかのぼれ」という作品を書いた著名な作家マドレイン・ラングルだという……『2003年のメイク・ラブ』、
恋人のエレンに会計士だと嘘をついてしまったリック・マクソヴィックの嘘を支えるために雇われ、他の会計士に仕事を回す役目をしているわたし。
彼女が成人教育センターの裁縫のクラスに通うことにしたと聞いたわたしは、会いに行ってみることに……『十の本当のこと』、
父は死ぬ前に、女の人をイかせる指のテクニックを伝授してくれた……『動き』、
わたしは夫のカールに次の段階にいくべきだと提案し、ともに映画のエキストラに参加することに……『モン・プレジール』、
むかしからずっと気にしていたあざをレーザー手術で消した彼女。
○○さえなければ、という前置きのつかない、ただのとても美しい人としての人生が始まったのだが……『あざ』、
トムとたびたび関係を持っていた私。
そんな中、トムと恋人のサラとの間に女の子が生まれた。ライアンと名付けられた彼女を、誰よりもかわいがり、その成長を見守ってきたデボラだったが……『子供にお話を聞かせる方法』の16編収録の短編集。

映画監督で女優でもあるという方の、ちょっと変わった人々を描いた作品集。
ジェンダーなモチーフが多いかも。
個人的には『水泳チーム』あたりが好きかな。

<10/9/23,25>


『姫の竹、月の草 吉井堂 謎解き暦』浮穴みみ(双葉社)

2010-09-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
神田で幼童手跡指南(手習い所)の吉井堂を営む兄妹…兄の数馬と妹の奈緒。数馬は数学や天文が大好きな、変わり者として通っており仕事を放り出すこともたびたび、奈緒はそんな兄の代わりに子供たちに教えることが多かった。
かつて武士だった吉井家は、拝領屋敷で火事が起きた責めを負い、御家断絶。その後両親は亡くなり、二人で町屋の暮らしをしているが、そんな生活に不満を抱くこともなく日々を過ごしていた。
そんな彼らの元に入門したいと、先頃近所に越してきた指物師の佐太郎が息子の新吉を連れてやってきた。
通い始めた新吉は、やがてある話を奈緒たちに打ち明ける。熱にうかされて異界に迷い込み、亡き母を見たという。彼が見たのは横顔で、その姿は“じゅげむ”とつぶやいたという……『寿限無』、
手習い所に通うおさとの幼なじみ・ふさの姉である加代が、御殿奉公をやめたいと言い出したという。
加代たちの従姉である若菜こと和香が、御隠居付きの奥女中として同じ下屋敷に上がっているのだが、その御隠居が、「和香は至極美味であった」といっているのを聞いて、彼女が食べられてしまったのかと恐ろしくなったのだという。
そんな話をおさとから相談された奈緒は、その屋敷…宇津木藩五万石の下屋敷に奥奉公として潜りこみ、真相を調べることに。
件の御隠居・稲田幸二郎元保は、若くして子供に家督を譲った為、奈緒が想像したよりもまだまだ壮健で、彼に気にいられた奈緒は“紅葉”という名をもらうことに……『紅葉立つ』、
奈緒の元に不可解な投げ文が届いた。さらにこのところ、身辺に見張るような人陰を感じ、気になる奈緒。
投げ文に書かれていたのは、古今集の立春を歌った歌で季節外れ。阿蘭陀正月とかけているのではないかと睨んだ数馬は、ずっと奈緒を思ってきた数馬の友人である幕府天文方見習いの土田佑高の仕業ではないかと思うが、打ち消す。
その後、その紙にはあぶりだしで“おらんだ正月、暮れ六つすぎ、柳森稲荷”と記されていたことに気づいた彼らだったが……『臘月尽く』、
お花見の季節。
界隈に越してきたばかりのおはると息子の寅太郎。はるは滅法界突飛な女で、亭主はいない。数馬と仲の良い医師の長寿庵にのみ気を許している。
みんなでお花見にでかけた帰り、死体を見つけた奈緒たち。長寿庵が検分すると、何故か肝と足が持ち去られていて……『ベルレンス・ブラアウの佐保姫』、
村でみなしごになり檀那寺に住み込んでいた醜い少女・すな。寺で一緒に暮らしていたひとつ年下の八郎は、寺の近くに住んでいた美しいお波津と好き合っており、江戸に奉公に出た彼女を追って、八郎は江戸へ行くという。そんな彼に付いて、寺を出たものの途中で放り出されてしまう。途方に暮れていたところをたまたま日食を観にきていた数馬たちと出会う。
浅草で菓子屋を営む伊勢屋喜兵衛と母のとみが、数馬の元へやってきた。喜兵衛の嫁が昨夜から姿を消し、とみは数馬が寝取ったと大騒ぎするも、長寿庵がやってきて事を鎮める。
彼ら曰く、その嫁が残して入った紙切れに数馬の名があったのだという。それは四年前に日の出帯食を観に行った折、出会った少女・すなに渡した紙。しかし嫁の名は、お波津ですなでなないという……『耿と交わる』、
文月。数馬は竹林で横笛を吹く少年に出会う。少年は笛の名手で、禁裏にも召されたことのある由緒ある家柄に生まれた榎木千之丞。
腕は確かながら、酒乱で不行跡ゆえに評判の悪い父・源之丞と共に暮らしていた彼は、ある日、七夕飾りの短冊に不可解な言葉や文字を見て、数馬に相談にやってきた……『姫の竹、月の草』の6編収録の連作短編集。

江戸末期、手習い所を営む兄妹が遭遇する謎を解く、時代ミステリ。
帯の惹句と内容は微妙に合ってない気がしましたが、作品の雰囲気は割と好みv
今後の展開に期待♪

<10/9/21,22>