黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『閉ざされて』篠田真由美(角川書店)

2010-03-03 | 読了本(小説、エッセイ等)
函館の西郊に海に臨んで建つ、白いモダニズム風邸宅、雪華荘。
三代続く老舗の宝石店雪華堂を営んでいた名家・藤吉家の所有である、その閉ざされた館に引き篭もり、孤独な生活を営む、18歳の藤吉汀。自分の醜さに思い悩む汀は、東京の大学に進学した兄・洽が唯一の心のよりどころで、手紙を書き送っては相談していた。
10年前に脳梗塞で倒れて以来、店を畳み、現在隠棲している父・博通には、汀たちの亡母・澪の生前から関係を持ち、亡くなってから結婚した後妻・彩子がおり、ふたりの娘・早苗と緑がいたが、汀は彼女たちに幼い頃からシンデレラのようにからかわれ、いじめられてきたことから、今でも苦手意識を持ったままだった。
そんな中、博通の病状の悪化にともない、遺産相続が問題に。兄曰く、遺言状を書き換えるつもりだという。それに際し、銀行の貸金庫ではなく父の部屋の金庫に仕舞ってあるらしい、宝石の所在を突き止めるべく、金庫の番号を聞き出すようにと兄に頼まれた汀。
それを知るべく、近づいた父から渡された手帳には、母の最後の言葉が。
そんな中、緑が汀に急接近、兄が姿を消し……

ミステリというよりは、ある家(というか人物)にまつわる悲劇。
叙述トリック自体は、割とすぐにわかってしまう典型的な叙述トリックなので、帯にある“驚愕”というほどではないですが、彼女たちが抱える問題とうまく結びついていて、流石な感じです。

<10/3/3>