黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

† 新刊情報(14/02) †

2014-02-28 | 新刊情報
<2月>
2/5
栗田有起『卵町』ポプラ社 

2/13
松田青子『英子の森』河出書房新社  

2/15
高田郁『美雪晴れ みをつくし料理帖』角川春樹事務所(文庫) 

2/25
吉田篤弘『パロール・ジュレと魔法の冒険』角川書店(文庫) ※文庫化による改題

2/下
小路幸也『スタンダップダブル!甲子園ステージ』角川春樹事務所  

2/28
小島てるみ『ディオニュソスの蛹』東京創元社 


『窓、その他』内山晶太(六花書林)

2014-02-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
春の日のベンチにすわるわがめぐり首のちからで鳩は歩くを
てのひらに貰いしお釣り冬の手にうつくしき菊咲きていたりき
お魚のように降るはな 一生の春夏秋を遊びつかれて
諍いのさなか機械音のごとく鳴る猫の声あり夜窓のむこう
なきがらの虫は地面に落ちていてひとつひとつが夭折なりき
なんという日々の小ささ抱擁をあるいは生の限界として
つややかに人体模型立ちており手触るる日々を秋の冷たさ
五島くんのシャツの袖口に飛び込みし鮭のかけらの行方しられず
夜の窓に百花みだれてこまやかなる地獄絵図降るゆめのさなかに
鳥瞰は胸にひろがる酸味とも町並みにこわれものの雪ふる

第一歌集。
繊細な描写と感覚に基づく世界観のうつくしさが光る歌が素敵です。

<14/2/26,27>

『トゥルークの海賊 3』茅田砂胡(中央公論新社)

2014-02-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
人質をとった偽シェンブラック海賊団に対し、トゥルーク政府は人質の命が最優先であることを表明。そのため連邦軍の討伐艦隊はカトラス星系外縁部に待機せざるを得なくなった。
トゥルークの巧みな交渉のもと、彼らが要求していた資材を積んだ大型コンテナ船と人質とが順調に交換され最後の一隻となった時、なぜかコンテナ船が一斉に消失。不測の事態に激怒した海賊団はついに核攻撃を決行する。
そこへ、跳躍してきた所属不明武装艦艇の正体とは……表題作完結編のほか、
中央座標シティの連邦主席官邸に呼び出されたクーア夫妻がそこで出会ったのは、惑星トゥルークの外務大臣である航宙総省の長官であるラルス・バックマンと、市役所の職員だというふたりの派手な人物…ライジャの両親だった。そこへライジャとともにルゥもやってきたことから……前日譚にあたる『大いなる闇がやって来た トゥルークの海賊序章』を収録。

完結編。
いよいよ真打ち登場というか伝説の海賊団(本物)登場で、完全に怪獣夫婦が食われてる感が(笑)。
彼らの大暴れが楽しいですが、それだけにあまりにも瞬殺されている敵が、何だかもう…;

<14/2/17,18>

『はなとゆめ』冲方丁(KADOKAWA)

2014-02-15 | 読了本(小説、エッセイ等)
紆余曲折の末、28歳にして後宮へと出仕することとなった清少納言。華やかな世界で気後れする彼女を、引き立ててくれたのは17歳の中宮定子…自分の中に眠る才能を引き出してくれた定子に心酔してゆく。定子の一族の凋落、道長の謀略などによる複雑な状況が絡み合う中でもお互いに信頼を持ち続ける。
やがて定子から貰った大切な紙に何を綴るべきかを考えるようになった清少納言は……

清少納言が中宮定子の元に出仕し、後に『枕草子』を書くまでのお話。
先に新聞連載で読んでいましたが、ようやく単行本で読みました(笑)。
なんかこう、女子高的な雰囲気で、うつくしくもせつない感じがとてもよいです。
学校で古典を学ぶ前に読むと、すごく興味を持って勉強できるんじゃないかな~。
個人的には連載時のイラストがすごく素敵だったので、まったく使われていない(というか表紙の方は違うひと)のが残念…;;

<14/2/14,15>

『風の吹く日にベランダにいる』早坂類(河出書房新社)

2014-02-09 | 読了本(小説、エッセイ等)
街角でまちぶせている耳鳴りに橋本が今日もさらわれている
川沿いの帰化植物にうずもれて触れ合っていることのせつなさ
ほんとうはありおあらゆるひとたちが僕はしんじつ好きでした
人前でものを食べないひとになる 数かぎりない夕ぐれの街
それだけのことに僕らは生きていてたかが日記に百冊の生
目の中にふる雪を見ている僕の中にふる雪をみていろよ猫
さんざんに美しい幻の家であるような紺のコートを羽織る
清彦のおばあさまのため僕たちは真冬の墓地でてづまをします
あなたへの供物のように住んでいるくつぬぎ石は五月の庭に
どうなってゆくんだろうね、でペンを置く わからないから外で見ている

早坂類さんの第一歌集。随分前に出版されたもの。
今は小説の方に転向されたのか、な?
『短歌という爆弾』で引用されていて気になったので読んでみました(というか奇跡的に図書館で発見)。

<14/2/9>

『ちょうちんそで』江國香織(新潮社)

2014-02-08 | 読了本(小説、エッセイ等)
高齢者向けマンションで一人暮らしをする54歳の雛子は、目の前にはいない架空の4つ下の妹・飴子と空想の会話でむかしを懐かしみながら暮らしている。
そんな彼女の様子を気にしては、たびたび様子を見にくる隣人の丹野氏。その妻である丹野夫人は、同じマンションの住人である岸田夫人と親しい。
次第に明らかになってゆく雛子の謎……

ちょっと謎めいた女性・雛子の周辺を描いたお話。
特にこれといった大きな事件や進展がある訳ではないけれど、そんな淡々とした世界。その中で時折描かれる細部がとても効果的に響いてました。
ミルク紅茶にチョイスを浸すのはちょっとやってみたい…(笑)。

<14/2/7,8>

『湯島ノ罠 居眠り磐音江戸双紙』佐伯泰英(双葉社)

2014-02-05 | 読了本(小説、エッセイ等)
小梅村では尚武館道場の改築中。普請場に槌音がひびく春、陸奥白河藩主松平定信が坂崎磐音を訪ねて突然やって来た。
先の江戸起倒流鈴木清兵衛との戦いの折、面識があった定信に自ら稽古をつけ、師弟の関係となる。
一方、傷も癒え徐々に回復していた霧子が、弥助と二人揃って小梅村から姿を消してしまい、心配する周囲の人々。実はひそかに諜報活動を再開していた霧子は、新番士の佐野善左衛門政言を消そうとする動きを察知、田沼意次の愛妾おすなの弟・五十次とほか三人の動きを知り、あれこれ暗躍していたのだ。
そんな中、道場のこけら落としに大名諸家家臣若手を剣術試合を行うことになり、皆で稽古に励むが……

シリーズ第四十四弾。あまり大きな動きはなく、終わりに向けて徐々に収束中、というところ。あとは山形の奈緒さんのこともちらりと出てきます。

<14/2/4,5>

『迷子のカピバラ』秋月祐一(風媒社)

2014-02-02 | 読了本(小説、エッセイ等)
地下街で迷子になつたカピバラにフルーツ牛乳おごつてやらう
きみどりの目をしたうさぎに一晩中「くぶくりん」つて囁かれてる
千年はうたた寝のうち桐の花の舞ひ散るころにお会いしませう
開けてごらん影絵のやうな家々のどれかひとつはオルゴールだよ
「生涯にいちどだけ全速力でまはる日がある」観覧車(談)
祭つづき浮かれた街に三日ゐてまたゐなくなる薄荷商人
あられもない寝相で夢をみるきみはまだタイトルの付いてない曲
ふむぐうと抱きついてくる無表情 これは淋しいときの「ふむぐう」
「まつしろなパンダに生まれ変はる夢、これつて何かの罰だとおもふ」
海までのゆるい坂道おりてゆく銘菓ひよこの顔つきをして

秋月祐一さんの第一歌集。
写真もたくさん入っていて、とても素敵な造本♪
ちょっとファンタジックでキュートな世界観が、かなり好みです(*´∀`*)

<14/2/2>