黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

† 新刊情報(12/08) †

2012-08-31 | 新刊情報
<8月>
8/1
高野史緒『カラマーゾフの妹』講談社 

8/7
コニー・ウィリス『ブラックアウト』早川書房  

8/17
五條瑛『塔の下』光文社

畠中恵『さくら聖・咲く』実業之日本社 

8/22
長野まゆみ『あのころのデパート』新潮社 

8/24
宮部みゆき『ソロモンの偽証 第一部 事件』新潮社  

8/下
志川節子『春はそこまで 風待ち小路の人々』文藝春秋




『とにかく散歩いたしましょう』小川洋子(毎日新聞社)

2012-08-31 | 読了本(小説、エッセイ等)
三歳の姪っ子が好きな『る』の文字のエピソードと文字との親密な関係性。原稿を落として新聞を白紙にしてしまう恐怖におびえる、私をなぐさめてくれるイーヨーの存在。いつのまにか内容を自分勝手に模様替えして、覚えている物語の数々。十年以上犬と朝晩続けていた散歩のこと。ハダカデバネズミの存在に癒されること。年老いた愛犬ラブのこと。フィレンツェで出会った手袋専門店での出来事……あれこれを綴ったエッセイ集。

毎日新聞で連載されていたというエッセイをまとめたもの。
表紙にもなっている所為か、小川さんちの愛犬ラブの存在が光ってます(あとがきによると、その後亡くなってしまったとか;;)。
『走れメロス』が違う展開で記憶されてたりとかするのが、すごく作家さんらしくておもしろかったり(笑)。
小川さんの作品にも登場しそうな手袋屋さんのエピソードも素敵でした♪

<12/8/31>

『冬の灯台が語るとき』ヨハン・テオリン(早川書房)

2012-08-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
スウェーデン。エーランド島の<ウナギ岬>と呼ばれる地、双子の灯台を望む屋敷へ引っ越してきたヴェスティン一家……工芸教師の夫・ヨアキム、美術教師の妻・カトリン、そしてふたりの幼い姉弟・六歳のリヴィアと二歳半のガブリエルの四人。
1864年に建てられたという古い屋敷を二人で少しずつ改装しながら、住みはじめる。そこは、かつて灯台守やその家族たちが住んでいた場所で、幽霊が出るという噂もある……そしてカトリンの母で、画家兼歌手のミルヤ・ランベとその母が暮らしていた場所でもあった。
それまで住んでいたストックホルムにある旧宅の片付けに、ヨアキムが出かけている中で、警察から悲しい知らせが齎された。
一方、島に新たに設立された警察署に配属された、女性警察官ティルダ・ダーヴィッドソン。老人ホームで余生を送る大叔父・イェルロフに昔話を聞きに、たびたび訪れている。
そんな中、ウナギ岬で溺死事件が発生。ティルダは、ヨアキムにリヴィアが亡くなったと伝えるが、署内の伝達の行き違いであり、実際に亡くなったのはカトリンであった。
その後、悲嘆にくれる日々を過ごすヨアキム。子供たちが呼びかける影。何者かの気配がする納屋……そして死者が現世に戻ってくると言われるクリスマス。ブリザードが吹き荒れる中、屋敷を歓迎されざる客たちが訪れる……

スウェーデンのエーランド島を舞台にしたシリーズ・第二弾(らしい…第一弾は未読/笑)。
引っ越した途端、すぐ近くの海で溺死してしまった妻の死の謎。合間に、そこに縁のある人たち…というか納屋に名前を刻まれている人たちのエピソード、そして島中を荒らし回っている三人の若者たちの行動、ティルダの周辺の話などが、折りこまれつつ展開しています。
あらすじからゴシックホラーかと思いましたが、その辺は別に怖さはなく、最後にイェルロフ(彼は前作にも登場している模様)が謎解きしてるので、安楽椅子探偵モノっぽいかな?
……それにしてもポケミスってすごく久しぶりに読んだかも…多分セイヤーズの『忙しい蜜月旅行』以来(笑)。紙の感じが懐かしい~。

<12/8/28~30>

『ぶたぶたカフェ』矢崎存美(光文社)

2012-08-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
両親の離婚をきっかけに、子供のころから優等生であることを自らに課していた目黒泰隆。
有名企業で働いていた彼だったが、これまでの無理が祟り不眠症を患っていたことから、母・さつきの再婚を決めたのを契機に、彼女たちがヨーロッパへ新婚旅行へ旅立ったその日に会社を辞めた。
一年ほど前、大学の先輩である綿貫から、経営するダイニングバーを手伝わないかと誘われていたことをふと思い出し、連絡をすると、ちょうど綿貫の妻・千秋が妊娠中で人手が足りなくなっていたことから、すぐに手伝って欲しいと頼まれる。
翌日、その店<こむぎ>に顔を出した泰隆。バーとして営業しているのは、夕方五時から朝の五時まで。朝六時から午後二時までは、別のカフェという形態で、そちらを営んでいるのは山崎ぶたぶたという人物だという。以前泰隆も会っていると綿貫はいうのだが、思い出せない。
そしてバイト一日目が終わる頃。泰隆が店で遭遇したぶたぶたは、バレーボール大のぶたのぬいぐるみ。その外見に動揺しつつも、彼の作る朝食の美味しさに感動した泰隆は、すっかり魅了される。
そんな日々の中で、たびたびカフェの方の常連らしきひとりの女性とすれ違う。具合が悪くなったところを助けたことが縁で、話すようになった彼女は、見上遥という小説家だった……

シリーズ最新作(既に何作目かわからない…/笑)。今回は、不眠症で会社を辞めた青年が、バイトを始めたバーと同じ場所で、カフェを営むぶたぶたさん♪
表紙にも描かれている、ホットケーキがめちゃめちゃ美味しそうなのですが、熱々のビスケットも食べたい!あれもこれも……と思うこと請け合い(夜中に読むのは危険/笑)。
矢崎さんがお好きなせいもあるのか、この数作のぶたぶたさん、食べ物がらみのお仕事が多い気が(笑)。

<12/8/27>

『星を撃ち落とす』友桐夏(東京創元社)

2012-08-26 | 読了本(小説、エッセイ等)
有名私立校受験に失敗して、名家を飛び出した母・侑子が、三年間、同様に落ちこぼれの叔父とともに世界一周旅行をしたという冒険譚を聞いて育ったことから少女・津上有騎は、いつか自分も母と同じように中学を卒業したら世界旅行に出かける夢を見ていたが、高校進学を前に不安に陥り、結局高校へと進学した。
高校二年の新学期開始直後、そんな有騎に届き始めた手紙。次第にエスカレートしてくる謎のストーカー・マスク男の行動に悩まされていたところ、クラスメートの水瀬鮎子に相談。彼女は、友人・長岡茉歩とともにその男を逆に追い回し、撃退してくれたことから、仲良くなる。鮎子から、何か熱中できる趣味を持ってはどうかと提案され、ブログで日常を公開することに。
九月半ば、二学期開始から別行動をとりがちだった茉歩が、完全の鮎子の元から離れ、クラスで問題児とされている葉原美雲と一緒に行動しているという。大人しい茉歩を利用しようとしているのではないかと心配する鮎子。
そして十一月初旬の日曜、六人の班長たちを話し合いの為、自宅に招いた有騎。翌朝、何故か空気清浄機のリモコンが郵便受けに入っているという不思議な状況に見舞われる……“一章 天体観測会への招待”、
有騎が、茉歩の事故が原因で不登校になってから二週間と数日が過ぎた。
そんなある日、ふらりと家を出た有騎は、美雲の仲間たちが天体観測をしている館へと顔を出す。そこは美雲の両親が管理人を務める館で、主人は有騎たちよりも年下の少女だという。
五、六年前に両親を亡くして以来、彼女の叔母夫婦が後見になり、この館にやって来たが、それ以来ずっとひきこもっているらしい。どうやら、親族会議で集まった親戚たちを殺害した母に憑いていた凶暴な怪物が、自分に乗り移っているという妄想を抱いており、それを外に出さないためにひきこもっているのだという。実際は母ではなく隣人が犯人だというのだが、その過去の新聞などからは事件自体を見つけ出せなかったという美雲。
かかりつけの医師が少女から聞き取った記録を読んだ有騎は……“二章 廃園に臨む館への招待”、
クリスマス。鮎子を廃園に呼び出すことにした有騎。
美雲を悪人だと思い混んでいる鮎子は、茉歩の事故の原因が美雲ではないという言い分を信じようとしない。
一方の美雲は、逆に茉歩が恐れているのは鮎子だと責める。それは、かつて鮎子が茉歩に対して暴力を振るっていたという話があったからだが、その行動にはある理由があったのだった……“三章 亡霊と囲む晩餐への招待”を収録。

同じ高校に通う、それぞれにさまざまな事情を抱える四人の思春期の少女たち…有騎、鮎子、茉歩、美雲。
やがて茉歩が自殺めいた事故に遭い、意識不明に。誰が彼女を追い詰めたのかという謎を中心に、誰が悪意を抱いているのか、誰に対して?…という推理を繰り広げる青春ミステリ。
以前コバルトで書かれてた友桐さんが創元からミステリ!というので、密かに楽しみにしてました♪
少女たちの事情が知れてゆく中で、様相が二転三転していく様が面白く読めました。

<12/8/26>

五色だんご@江口だんご

2012-08-25 | スイーツ
 こしあん、抹茶、ごま、しょうゆ、海苔の5種類の串だんごセット。
 何度も行っているのに、何気に食べてなかったかなぁと、今頃買ってみる(笑)。
 弾力のあるおだんごに、それぞれ餡などがからめてあります。
 海苔は、醤油味(甘くない)で、磯辺焼なテイスト。
 ごまは、黒ごまペーストで濃厚。

 江口だんご:新潟(長岡)

『かくも水深き不在』竹本健治(新潮社)

2012-08-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
僕、ポン吉、タカ、ジミー、かっちゃん、フウ太は、古びた洋館の中を探検していた。
ところが仲間たちは、ひとりまたひとりと姿を消し……“鬼ごっこ”、
たまたま観たCMに、恐怖を感じた僕。そこに映っていた、赤い花が咲き乱れる風景の場所を探しあて出かけたのは、静岡県二見市。そこでナオと名乗る女に出会い、その地でかつて秋元由紀という小学生が殺害された事件が起きていたことを知る……“恐い映像”、
憧れていた花屋の店員・三輪江梨香と親しくなり、ごきげんな僕を、妹の紗季がからかう。
そんなある日、江梨香が男と言い争う場面を目撃した僕は、その男がストーカーだと思い込む。その後、再び見かけた男の後をつけ、その正体を探る。AV関係の仕事をしているらしい彼の部屋に何故か紗季の写真を見つけた僕は、自分が服用する糖尿病の薬と男の薬を密かに掏りかえる。
そんな中、紗季が突然結婚すると言い出して……“花の軛”、
有名芸能人・山路ふうまの一人娘、・静夏が、何者かに誘拐され、三億円の身代金を要求する電話が入った。
山路の付き人である兵頭さくらが運ぶように指示され、犯人の言われるがまま動き、事は犯人優位に進む中、突然交渉が中断された。
その後、身代金も娘も無事戻り何事もない。犯人の意図はどこにあったのか……“零点透視の誘拐”、
真っ暗な闇の中。うかびあがった四人の男と、精神科医・天野不巳彦。配られたテキストにちなみ、鬼ごっこ、映像、ハナクビ、ゼロと呼ばれる男たちは、語る……“舞台劇を成立させるのは人でなく照明である”の5編収録。

ある意味、精神科医・天野の事件簿的な連作短編。狂気に満ちた幻想譚。
ホラー風だったり、サスペンス風だったり、いろんなテイストが盛り込まれてて楽しめます。
最後で他4編をまとめる“舞台劇を~”の存在が、竹本さんっぽいなぁとか思ったり(笑)。

<12/8/25>

『烏に単は似合わない』阿部智里(文藝春秋)

2012-08-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
八咫烏が支配する世界。宗家の金烏を主君とし、東西南北の四家四領はそこに連なる名門である。
宗家は、その四家のいずれの姫を后として迎え入れることになっており、その入内の前に、各家から候補となる姫君を<桜花宮>に集め、一緒に住まわせることを登殿という。
中央で高官を務める東家の当主を父に持つ二の姫は、別邸で得意な音楽を楽しみつつ静かに暮らしている、おっとりとした風情の娘。しかしある事情により登殿できなくなった姉・双葉に代わり、急遽登殿することが決まってしまう。
南家からは浜木綿、西家からは真赭の薄、北家からは白珠という、それぞれの美しさを誇る姫君たちが集められる中、何の知識を持たず、いつでも実家へ帰ってきてよい、とばかりに送り出された二の姫は、大紫の御前(兄宮の生母)から、皮肉めいた<あせび>という名をもらい、春殿で暮らすことに。それぞれの思惑の中、策謀渦巻く後宮で戸惑うあせび。
そんな中、ようやく若宮の姿を垣間見たあせびは、彼が幼い日に恋に落ちた男の子だと知る。
だが彼はなかなかやってこようとはせず、不穏な空気が漂いはじめる。届けられない手紙の行方、あせびと親しかった女房・早桃の不審な行動、男子禁制の地へ侵入者……お后選びの行方は何処へ向かうのか?

第19回松本清張賞受賞作(最年少受賞者。20歳!)。
平安朝的な舞台設定のファンタジーで、后の座を争う四つの名家の姫君たちとその周辺で起こる謎。
ザ・少女小説な感じの、王道でベタな展開(登場人物の造形とか)……かと思いきや、覆しっぷりが(爆笑)。
荒さはいろいろ目立つし、難はあるけれど、将来が楽しみな作家さんかも。

<12/8/23,24>

『大展覧会』望月諒子(光文社)

2012-08-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
ロンドンの美術品競売ルービーズのオークションで、出品されることになったゴッホの『医師ガシェの肖像』。
英国人の美術収集家イアン・ノースウィッグは、愛妻の為に落札するつもりであったが、日本人に競り負け、本来の数倍もの値段…一億二千万ドルで落札されてしまう。
それから十数年後の日本。群馬の資産家大浦家の長男・大浦荘介は、東京の一等地で小さなデザイン会社を設立するも、うまくゆかず、借金を雪だるま式に増やしては、実家に尻拭いをさせていた。
仕事に事欠くようになり、やがて怪しげな仕事も引き受けるようになった壮介。突然金融会社の督促がきたこともあり、その仕事相手・矢吹から聞いた上場株の儲け話をきき、母・定子に無理を云い、条件付きで大金を用立ててもらうが、振り込んだ後に、それが詐欺であったことを知る。
一方、かつては銀座のホステスとして大金を稼いでいた筆坂茜は、客のツケを立て替えた分が嵩み、いつのまにか一千万に。その借金を踏み倒して、逃げるように各地を転々とする中で貯めたお金で、都内の外れにようやく小さなスナックを持つ。
ところが、そんなある日、彼女の前に借金取りから連絡があり、大きく膨らんだ利子とともに返済を迫られてしまう。
切羽詰り、客のひとり安福富男から持ち掛けられた、上場株の儲け話に乗ることにした茜。店も担保にし、何とか大金をつくり、金を振り込んだがそれが詐欺であったことを知る。
パンフレットを唯一の手掛りに、事務所に乗り込んだ二人はそこで鉢合わせ。そこへ茜の店の客でもある城田に会い、二人と城田自身も騙されたのだと聞かされる。
そんな城田は、二人にある相談を持ち掛ける。それは銀行の担保物件として倉庫に眠る、名画の強奪だった……

バブルの時代に、日本人に買われた名画『医師ガシェの肖像』を巡り展開される、騙し騙されのコンゲーム。 茜と壮介は騙されっぱなしですが…(笑)。
テーマは魅力的だし、明かされた真相が次々と覆されてゆく様は面白く、読後感も良いのですが、入り組んだ真相だけに、もうちょっと読みやすい構成を考えられた方が、より効果的だったかな、という気が。

<12/8/21,22>