黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

† 新刊情報(10/06) †

2010-06-30 | 新刊情報
<6月>
6/10
門井慶喜『血統(ぺディグリー)』文藝春秋 

小川糸『ペンギン食堂の休日』幻冬舎(文庫) 

6/17
小池昌代『わたしたちはまだ、その場所を知らない』河出書房新社

6/19
いせひでこ『七つめの絵の具』平凡社 

6/22
西條奈加『善人長屋』新潮社

6/24
高殿円『トッカン 特別国税徴収官』早川書房

祐光正『みみらく遊撃隊 幕末幻島海戦記』文藝春秋

6/25
加納朋子『七人の敵がいる』集英社 

小路幸也『僕は長い昼と長い夜を過ごす』早川書房

辻村深月『光待つ場所へ』講談社 

6/29
伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』双葉社

米澤穂信『ふたりの距離の概算』角川書店 

6/30
滝田務雄『長弓戯画 うさ・かめ事件簿』東京創元社 

6/下
有栖川有栖『闇の喇叭』理論社





『五龍世界 霧廟臥す龍』壁井ユカコ(ポプラ社)

2010-06-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
神話の昔、五匹の龍が長い争いの末、斃れた屍が大地となったと言い伝えられる五龍大陸。その辺境の地・五龍州。
五歳の時に口減らしの為、高名な道士の住む廟に置き去りにされた少女・ユギ。しかしそこにいたのは、うさんくさそうなちんぴら風道士・趙濤龍。紆余曲折の末、彼に拾われた彼女は、以来、弟子として無愛想な青年道士・左慈とともに三人で暮らして、十年。
見た目によらず、お人好し過ぎる師匠の所為で、日々の生活に苦労しながらも何とかやりくりしつつ、修行や雑用に追われる日々を送っていた。
そんなある日、蠱を宿している西域人の牧師の青年・イルラックに攫われかかっていた子供を助けたユギ。鉄の枷を填められたその子供は、珞尹(ルーイン)と名乗るが、町で尋ねてみても名乗り出る親は現れない。どうやら珞尹は、龍人…崑崙山の里に住む、神仙の血を引く民族…であるらしい。
彼らとの出会いが、ユギの人生に変化をもたらすきっかけとなって……

中国風ファンタジー。ユギの成長物語でもあります。
まだ回収されていない伏線もあるし、お話的にはまだ序盤っぽいので、今後の展開に期待。

<10/6/30>

『小さいおうち』中島京子(文藝春秋)

2010-06-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
かつて働いていたことのある家の、出版社勤めの娘の勧めで、家事読本を出したことのある老女・布宮タキ。
生涯独身だった彼女は、今では甥一家の家の近くで一人暮らし。甥の次男・健史が時折、様子を見にやってくる。
そんな彼女が書き残しておきたいと願ったのは、遠い日の記憶。
山形で尋常小学校を卒業して、口減らしの為女中奉公することとなり、東京に出たのは昭和五年の春。
最初にお世話になったのは、小説家の小中先生のところだった。その翌年に、知り合いの娘さんが、小さな子供がいて手がかかるというので、別の家・浅野家に移ることに。そこで出会った美しい時子奥様は二十二で、タキの八つ上。その後旦那様が事故死。恭一ぼっちゃんを連れて実家に戻った奥様は、昭和七年の暮れに、玩具会社で働く平井家に嫁ぎ、タキも引き続き、彼らのお世話をすることに。
時代は戦争へと進む中、赤い三角屋根の洋館で、友人のような、姉妹のような奥様とかわいいぼっちゃんと共に、穏やかに暮らす日々。
そんな中、旦那様の会社で働く青年・板倉さんが家に顔を出すようになり……

誇りを持って女中として長年働いていたタキが、平井家での十五年の思い出を綴る手記。最終章では、彼女亡き後、それを読んだ健史がその足跡を辿り、手記に登場する人々の後日譚を、そして彼女の秘めた思いを知る、というお話。
某所で酷評されてたのでだいぶ心配しましたが、わたし的には結構好み♪
小中先生が作中で語った、良い女中さんの挿話が其処彼処に効いてますね~。
バージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』との絡ませ具合も良い感じでした。

<10/6/28,29>

『MUSIC』古川日出男(新潮社)

2010-06-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
11歳の夏まで、猫を数える“キャッター”として、その名を馳せた少年・ユウタこと田渕佑多は、六十の女との対決で敗け、いまでは普通の少年になっていた。そんな彼は、ある時、青山墓地で生まれた雄猫に出会い、スタバと名付ける。
スタバは鳥たちを狩り、無敵の雄猫へとたくましく成長してゆき、ユウタは再び猫たちに関わる世界へと舞い戻る。
シュガーと呼ばれた少女・佐藤美余は、その名を葬った。かつていきもの係として、第二次の港区うさねこ戦争の最前線に立っていた彼女。今では中学生の彼女は、ある時から走るということに目覚めてゆく。
そして、男として生まれながら、その身体の中に女としての意識を持ってしまった、北川かずみ…和身で和美。
ボーイフレンドとドライブ中に口論になり、ハンドル操作を誤った末に事故に遭い、ボーイフレンドは帰らぬ人に。かずみは、警察に猫が飛び出したと嘘をつく。二人で京都に旅行に出かけるはずだったかずみは、その嘘とともに京都へ。
それぞれの理由により東京から京都へと向かうことになった彼らは……

『LOVE』の続編。一匹の猫と四人の人間の、それぞれの物語が展開してゆきます。
文章がリズミカルで、疾走感に溢れた感じ。
最後のスタバの対決シーンが圧巻。

<10/6/26,27>

『無月ノ橋 居眠り磐音 江戸双紙』佐伯泰英(双葉社)

2010-06-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
安永四年の秋。坂崎磐音は品川柳次郎の母・幾代からの誘いを受け、出かけることになった。
その前に、先般研ぎに出していた備前包平を受け取るべく、研ぎ師・鵜飼百助の屋敷に立ち寄った磐音は、そこで鵜飼に正宗を研ぐようにと迫る壮年の武家を諫めるが、そんな磐音に捨て台詞を吐いて立ち去った。彼は御小普請支配・逸見筑前守実篤の用人で高村栄五郎。鵜飼曰く、彼が持ち込んだ刀は、正宗と改鑿してあるが、元は妖刀と忌まれる勢州村正ではないかという。
帰宅した磐音は家の戸口に書状が差し込まれているのに気がつく。手紙の主は因幡鳥取藩の大寄合・織田宇多右衛門の娘・桜子。彼女の一途さを持て余し気味の磐音は、それを封を切らずに、亡き友人たちの位牌の並ぶ箱に乗せ、相談をする。
その後、柳次郎らと共に向かったのは、品川家の菩提寺・竜眼寺。萩の花が咲き乱れることで有名なそこでもてなされ、風流な気分を味わった磐音だったが、その帰り、騒動に巻き込まれ……“第一章 法会の白萩”、
佐々木道場に顔を出した磐音。将軍家治の御側衆である速水左近から、将軍の命により先の豆州の一件の褒美として、速水家伝来の刀・粟田口吉光を拝領することに。
その帰りに、六間湯に入っていた磐音の元に、地蔵の竹蔵親分が、笹塚孫一が辻斬りに遭い、重傷だと知らせにやってきた。笹塚は、ある用件で逸見の屋敷を訪ねた帰りに襲われたのだという。磐音は、知己の蘭方医・中川淳庵と桂川国瑞に彼の治療を依頼し、自分はその騒動を目撃した近くの屋敷の門番に話を訊きにゆく。どうやら襲ったのは二人の武士。臥煙(火消し人足)の寅吉が、その辻斬りらしき姿を見たらしく……“第二章 秋雨八丁堀”、
笹塚は無事快復。豊後関前藩の船の第二便も十日後に江戸に着くと、別府伝之丈と結城秦之助が知らせにやってきた。
そんな中、竹村武左衛門が用心棒の話を持って、訪ねてきた。
どうやらこの春に磐音たちが秩父から娘たちを連れていった、妓楼・一酔楼の主・千右衛門が、昔の同輩の借金の保証人になったことから、騒動に巻き込まれており、店の権利を明け渡せと迫られているらしく……“第三章 金貸し旗本”、
六間湯にいた磐音の元に、桜子が駕籠で乗り込んできた。先の書状は昼餉の誘いだったのだが、開封することをすっかり忘れていた磐音。
その後、淳庵と国瑞らとともに宮戸川で鰻を食べる約束をしていたことから、その席に桜子も誘う。彼らと共に楽しく過ごし桜子を屋敷に送った磐音は、殺気を感じる。
一方、桜子が乗り込んできた話を耳にしたおこんは、磐音に対して不機嫌な態度を取って……“第四章 おこん恋々”、
秋が深まりを見せる中、十八大通の髭の意休が、莫大な金子を楼主に支払い、白鶴太夫を吉原の外へと連れ出し、紅葉狩りを楽しもうという計画したという。ところが、白鶴がその誘いに乗った場合には、危害を加えるという脅し文が届けられたと、吉原会所の四郎兵衛から知らせを受けた磐音。脅した相手は、日ごろから意休のことを快く思っていない、同じ十八大通の暁雨らしい。
陰ながら白鶴を守るべく磐音は……“第五章 鐘ヶ淵の打掛け”を収録。

シリーズ第十一作。
磐音が奈緒を想っていることを知っているだけに、自分の気持ちを伝えられないおこんが切ないですね~。
桜子ほど率直になれない部分がかなり損をしてますが、きっと報われる日も来るはず!

<10/6/25>

『RDG3 レッドデータガール 夏休みのすごしかた』荻原規子(角川書店)

2010-06-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
今年の秋の学園祭に<戦国学園祭>をテーマに催すことになった、鳳城学園。
その企画準備で、鈴原泉水子たち生徒会執行部の面々は、大忙しの夏休みを迎えようとしていた。
そんな中、相楽深行からSMF(宗田真響ファンクラブ)が、自分が写った写真を渡された泉水子は憤る。その盗み撮り行為を止めてもらうべく、自分もSMF…表向きには日本史研究会…に入ると、勢いで宣言してしまう。
一方、真響の弟・真夏は、夏休みには地元である長野の戸隠に帰ると言い出した。彼らの弟・真澄の命日でもあるためだ。生徒会も優先したい真響は、その折衷案として、戸隠で生徒会の合宿をすることを提案する。
先輩たちに難色を示されつつも、結局戸隠に出かけることになった泉水子たち。さらに日本史研究会も同じ戸隠で合宿するという。
これまで旅行らしい旅行に出かけたことのない泉水子は、期待に胸を弾ませるが、そんな中で、真夏の愛馬・タビが危篤だという知らせが届き……

シリーズ第3作。今回の舞台は主に戸隠。宗田姉弟たちの
深行と泉水子の距離がちょっとずつ縮まりそうな雰囲気で、ちょっとほのぼの。
果たして次は、帰郷の話か、学園祭か…出るのは1年後…(笑)。

<10/6/24>