黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

† 新刊情報(14/04) †

2014-04-30 | 新刊情報
<4月>
4/9
梨木香歩『海うそ』岩波書店

4/17
大崎梢『忘れ物が届きます』光文社 

有川浩/村上勉『コロボックル絵物語』講談社 

4/22
越谷オサム『いとみち 三の糸』新潮社

4/25
森博嗣『フォグ・ハイダ The Fog Hider』中央公論新社

小路幸也『オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン』集英社


『螺法四千年記』日和聡子(幻戲書房)

2014-04-07 | 読了本(小説、エッセイ等)
海辺に流れ着き、その町の民宿・宝船に長逗留している作家くずれの男・印南。
客など来ない古道具屋・伽耶伽耶で店番をしている彼は、ある時『螺法四千年記』と題された古い冊子を見つけて読んでみることに。
それは虫やあめふらし、蝸牛などの小動物や人間くさい神の暮らしについて描かれていた。夢かうつつか、印南もまたその中に姿を現しては不思議な体験をすることに……

印南という男(ときどき白蜥蜴)と人間じゃないモノたちのちょっとほのぼのテイストの幻想小説。
世界観的には『家守綺譚』っぽいかな。
現実と幻想の境目が曖昧な感じのお話で、読んでるとぐるぐるしますがそれもまた楽しいかも。
詩人の方だけあって、擬音や言葉選びがやや独特ですね。

<14/4/6,7>

『白へ』藤田千鶴(ふらんす堂)

2014-04-05 | 読了本(小説、エッセイ等)
私はもう沼かもしれずつるつるの廊下をゆけば水の匂いたつ
晩白柚に深くナイフを刺しいれて月の破片を月より剥がす
とりあえず噛むには噛んだがというような戸惑いありき犬の側にも
耳というちいさな器に生きているあいだのやさしい記憶を仕舞う
飴色の小野さんである小野さんは小野さんを抜けて風を見ている
疑わず君の螺子だと思いいしに君が私の螺子だったのだ
金の羽ひとりひとりに差し出して冬のある日に消えてしまいぬ
あの猫は見覚えがあるシマシマの滑り降りたら楽しそうな背中
「特にカニを好むわけではない。」という但書つけしは蟹食い猿か
影だけの国の住人どこからが自分の身体かわからず眠る

第二歌集。真っ白な装丁が素敵です。
短歌の他に、童話4編が収録されているのが特徴的かも。
ちょっとファンタジックな雰囲気もあって、好み☆

<14/4/4,5>

『雲をつかむ話』多和田葉子(講談社)

2014-04-03 | 読了本(小説、エッセイ等)
ドイツのベルリンに暮らす、日本人作家である「わたし」。
1987年、自宅で販売している自作の本を買いに来た男の応対したが、包装し終えたときには既に彼の姿は消えていた。後に、彼から手紙が届き、自分は殺人をおかした犯罪者であり、当時逃走中であったことが綴られていた。その後、刑務所から外出許可を貰った彼が「わたし」に会いにくるも不在で、会えないままとなる。彼の名は、フライムートだという。
かつて犯罪をおかしたことのある詩人Zとの邂逅、かつて文学祭で訪れた地で宿舎とした老人ホームに関わる牧師とその妻の事件、家元制度に反対し切りつけた「マボロシ」さんのこと、「わたし」の作品の舞台化に関わった俳優の双子のかたわれの無賃乗車運動のこと……さまざまな自分を取り巻く犯罪についてあれこれ意識しはじめる「わたし」だったが……

ひとりの犯罪者との出会いをきっかけとしてが、「犯罪をおかす人」というものについて意識を向けるようになったドイツ在住日本人女性作家、そして彼女が遭遇するひとびとのお話。
夢と現実が交錯しつつ、どこか茫洋としたような文字通り「雲をつかむ」ような手触りの作品でした。

<14/4/1~3>