黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ラスト・トレイン』中村弦(新潮社)

2010-03-04 | 読了本(小説、エッセイ等)
鉄道の廃線跡を散策するのが好きな青年・牧村は、奥多摩の小河内線の廃線跡で、60代の男性・平間要一郎に出会う。
年が離れていながらも、鉄道マニアである平間と気があった牧村は、実は同じ吉祥寺駅近くに住んでいたこともあり、意気投合。その後たびたび、平間の行きつけのパブレストラン<ぷらっとほーむ>で交流を重ねてゆく。
ところが、そんなある日。いつもの通り、店に現れた平間はハイテンションで、まぼろしの廃線跡について語った後、姿を見せなくなった。
気になり彼のマンションに出かけると、そこには彼の弟・卓司がおり、平間は蒸発したらしいと告げる。
彼の安否が気になる牧村は、ふとかつて彼が口にしていた旅行代理店で働く女性・倉本菜月の存在を思いだし、彼女の元を訪ねる。
彼女は根っからの鉄道ファンで、その趣味を介して平間と知り合っていた。そんな彼女とともに平間の行方を探すことにした牧村。平間の蔵書から出てきた、キリコノモリの意味とは…

突然姿を消した知人の男性が向かったらしい、まぼろしの廃線を、同じく彼を慕う女性と共に探すお話。
ミステリ的でもあるけれど、どちらかというとちょっとファンタジック?
最後の最後でひとひねり加わっていて、安易にハッピーエンドではなく、不安定な要素が盛り込まれているところが、うまいですね。

<10/3/4>