黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

† 新刊情報(13/06) †

2013-06-30 | 新刊情報
<6月>
6/6
辻村深月『島はぼくらと』講談社

コニー・ウィリス『オール・クリア 2』早川書房

6/11
西澤保彦『ぬいぐるみ警部の帰還』東京創元社 

6/13
桜庭一樹『桜庭一樹短篇集』文藝春秋 

6/18
近藤史恵『土蛍 猿若町捕物帳』光文社  

6/24
柳広司『楽園の蝶』講談社

6/26
松井今朝子『壺中の回廊』集英社

小野不由美『丕緒の鳥』新潮社(文庫) 

6/27
三崎亜記『ミサキア記のタダシガ記』角川書店

6/28
宮部みゆき『泣き童子』文藝春秋 


『皆川博子コレクション2 夏至祭の果て』皆川博子(出版芸術社)

2013-06-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
江戸初期。キリシタン大名有馬晴信につかえる武将を父に持つ、内藤市之助。セミナリヨに入学し、一族の栄光を担っていた長兄・金吾が、幼い頃目の前で自刃。その事実が重くのしかかっていた市之助は、キリスト教に対して複雑な思いを抱きながらも、セミナリヨに入学を果たす。
そこで愚直なまでにキリスト教を信仰する友永パウロらの中で、異質な存在として生活する市之助は、そこでキリシタンが弾圧されている大村から来た辻ロマノに出会う。一見敬虔に見えつつもどこかあてつけがましさを感じる態度の彼に興味を持つ市之助。
その後、ロマノはある一件により亡くなり、やがて幕府によってキリシタンは弾圧される立場になってゆく……PART1“夏至祭の果て”、
気まぐれに壊れかけの酸漿提灯を手にした長吉は、自分のことを知っているらしい女の子に声をかけられる。
ふと、その顔が昔溺れた女・お蝶に似ていると感じ、過去を想う……“渡し舟”、
彫師駒次郎の内弟子となった浅吉は、才気走って手先も器用であったらことから頭角をあらわしていた。
そんな彼は、鈍重だが腕は確かな兄弟子・徳次と互いに認めあっていた。そんな中、浅吉は酌婦のおれんに思いを寄せるが、その矢先親方から娘婿にという話が舞い込む……“風の猫”、
丸山の芸子の小雪は、客として現れた砲術家の高島秋帆の子息・浅五郎と知り合い、思いを寄せる。
やがて客をとらされることになった小雪はその前に浅五郎に会いたいと高島家に向かう途中で、彼がお葉という妻を迎える輿入れの場面に遭遇する……“泥小袖”、
子供浄瑠璃をみたいとやってきた女の客を足止めしようと話しかける茶汲みの爺・由次郎。
かつては阿波太夫と呼ばれていたという彼は、鳴渡太夫を名乗る腐れ縁の七蔵について語る……“土場浄瑠璃の”、
蓬莱屋という宿で多代と逢引するはずだった男は、宿を間違え<こうらい屋>に一晩泊まることになった。海辺を歩いていた彼に、幼い頃海で遊んだ記憶が甦る。一緒だったのは叔母だっただろうか……“黒猫”、
川の流れで血刀を洗っていた男。夏なのに淡雪が舞うような光景をみた彼に、それは螢でここは螢沢だと答える女童……“清元 螢沢”PART2 短編6編、
茶焙じをしている男の語り。彼の父や兄たちは、家業である首切りを生業としていた。男はやがて死神と呼ばれるおせんと知り合い、心中を持ちかけられる……“棒”、
江戸から離れた越後の地で澤村田之助の幟をみた男。田之助の一座の市川三すじと名乗った男が田之助について語るの聞くが、彼は偽者であると知っていた。それは男自身が本物の三すじであり、脱疽で病んだ田之助のその後について誰よりも知っていたからだった……“冰蝶”、
女形役者の芳弥は、美貌に恵まれたが父を知らずに育った。有名な役者の落し胤だと信じ、自分の後ろ盾になってくれることをずっと願っていたのだが、ついには現れず。おまけに母が駆け落ちする際に、本当の父は大道具方であった勘次であると明かしていった。こっそりその家に様子を見に行った芳弥はそこで異母妹のおえいに出会う……“花道”PART3 短編3編収録。

コレクション2巻。
『夏至祭の果て』のみ長編(全体の2/3くらいのページ数)。キリシタンであることを拒みながらも、それゆえに囚われている青年の彷徨を描いたお話。
直木賞候補にも上がった作品とか。これで賞獲れないって、選考委員どうかしてるとしか思われない(笑)。

<13/6/28~6/30>

本なお茶会・その23@真昼造船

2013-06-29 | おでかけ
 今回のテーマは「雨雨降れ降れ♪雨の日に読みたい本」ということで、雨本。
 参加者は5名でした。
 雨タイトルの小説や、絵本に画集、小栗虫太郎(笑)…とバラエティに富んだ内容が集まりました。
 わたしは、種村季弘さんのエッセイ『雨の日はソファで散歩』と、ちょうど読んだばかりの石川美南さんの歌集『離れ島』に雨の歌があったので、その辺を紹介。長野まゆみさんの『雨更紗』も一応持っていきましたが、今回は時間が少なそうだったので、さらりと。

 おやつは、cafe muiさんの黒ごまのチーズケーキ?(正式名称不明)


『雨更紗』長野まゆみ(河出書房新社)

2013-06-26 | 読了本(小説、エッセイ等)
夏越しの祭りが近づく頃。児手山にある、伯父の屋敷を訪ねた哉。
同じ学校に通う、同い歳の従兄・玲がしばらく休んでおり、玲のクラスの越知先生から、筆記帳を渡して欲しいと預かったからだ。
玉於屋という文房具店の山口安という女は、何故か哉を玲だと間違える。柳井坂にすむ画家・暮林のもとに出かけた哉は、そこで彼女に再会するが……

現実と夢の狭間を彷徨うような、茫洋としたつかみどころのない手触りのお話でした。
ちょっとBL風味(笑)。

<13/6/26>

『逆回りのお散歩』三崎亜記(集英社)

2013-06-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
B市に暮らす聡美は、「彼」の下で事務員をしている。
かつて首都で大手企業で働いていた和人と再会した聡美は、彼が職を辞しA市に戻ってきていること、そして市町村合併の話があるA市とC町に絡み、ネット上で反対運動が起きていることを知らされる。C町による洗脳めいた根回しにより、A市を乗っ取ろうとしているのだという噂があるという……“逆回りのお散歩”、
となり町の森見町が持ちかけた四町合同の「戦争事業実務研修」に参加させられることになった、舞坂町の町職員の<私>。
その研修会に参加したメンバーの親睦の飲み会で、森見町の杉田議員の息子と話す機会があり……“戦争研修”の2編収録。

表題作は、「お散歩」とかついてるのでのどかな話なのかと思いきや、ネット社会というか情報操作の怖さを感じるお話でした。
“戦争研修”は“となり町戦争”の前日譚的お話。

<13/6/24,25>

『いつも彼らはどこかに』小川洋子(新潮社)

2013-06-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
モノレールの沿線にあるスーパーマーケットでデモンストレーションガールをしている彼女。
ある夏の朝、サラブレッド・ディープインパクトが渡仏する際、ストレスを軽減させる為だけに同伴する帯同馬・ピカレスクコートの存在を知る。
そんな彼女は、何度も試食を食べにくる小母さんと親しくなるが……“帯同馬”、
作家の<私>と翻訳家の二十年来の静かな交流があったが、とうとう会えないままに翻訳家は亡くなる。
作家は彼の家を訪ねて、その息子である青年Jと会う。翻訳家との手紙に書かれていた追伸の中で知っていたJ。
翻訳家からの忘れがたいプレゼントは、森で見つけたというビーバーの頭の骨。Jから、翻訳の時に必要だとしていたビーバーがかじった枝の話を聞く……“ビーバーの小枝”、
代々朝食専用の食堂を営んできた男の一族は、広場の中央に設置された日めくりカレンダーをめくる役目を負っていた。
オリンピックの開催日をカウントダウンするために設置された、ハモニカ兎をかたどった看板をめくる男。村で唯一行われる競技の開催に向けてカウントダウンは進む……“ハモニカ兎”、
地元出身の画家Sの作品を展示している美術館で、アルバイトをしている受付嬢の<私>。
移動修理屋アルルの老人は、ただ一枚の作品を見るためだけに、たびたび美術館を訪れた。目を瞑ったままその場所へたどり着こうとする彼を案内する私は……“目隠しされた小鷺”、
妹が盲腸の手術で町立病院に入院することになり、その間、彼女が大事にしている犬のベネディクトの散歩とドライフード十五粒の餌やりを頼まれた僕。
しかしベネディクトは、本当の犬ではなく、ブロンズでできたミニチュアの犬。住んでいるのはドールハウスだった……“愛犬ベネディクト”、
動物園の売店の女性が、失ったかけがえのないhという存在。その喪失感を抱えながら生きている。
ある時、動物園のチーターの英語の綴りの中に、人々に知られないhの存在を見出した彼女は、その存在に惹きつけられる……“チ一ター準備中”、
町の北の縁にある風車。その風車の中で、蝸牛を飼う風車守の男がいた。
断食施療院の患者である<私>は、たびたび出かけている。
そこで、いつもは陰気な下施療院の働きの女が、別人のような態度で彼と一緒にいるのをみて……“断食蝸牛、
人々の大切な物を収めた<身代わりガラス>とともに旅する彼女。
彼女には、竜の子幼稚園に通っていた賢い弟がおり、自分の誕生日3月3日にちなんだ物を集めるのが好きだった。しかし六歳の誕生日を迎える前に不慮の事故で亡くなり、代わりのようにその日付が刻印されたパッケージを集めるようになった……“竜の子幼稚園”の8編収録の短編集。

表題のついた作品はありませんが、どちらかというとその言葉がすべてを象徴している雰囲気…不在の動物たちとそれにまつわる人々のお話。
いつもながら、見逃してしまいそうな人達に光をあてる眼差しが良いですね。

<13/6/22,23>