黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

† 新刊情報(12/12) †

2012-12-31 | 新刊情報
<12月>
12/5
伊坂幸太郎『残り全部バケーション』集英社

12/6
森晶麿『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』早川書房 

12/7
高田崇史『毒草師 パンドラの鳥籠』朝日新聞出版 

乾石智子『闇の虹水晶』朝日新聞出版 

12/12
東川篤哉『謎解きはディナーのあとで 3』小学館 

12/中
吉永南央『名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ』文藝春秋 

12/20
山本幸久『展覧会いまだ準備中』中央公論新社 

12/21
恩田陸『私と踊って』新潮社  

北村薫『読まずにはいられない 北村薫のエッセイ』新潮社 

有栖川有栖『論理爆弾』講談社 

12/25
岩井志麻子『妖し語り 備前風呂屋怪談2』角川書店(文庫:ホラー)

12/27
椹野道流『ローウェル骨董店の事件簿』角川書店 



『父の帽子』森茉莉(講談社)

2012-12-31 | 読了本(小説、エッセイ等)
東京・駒込千駄木。文豪森鴎外の長女として、二度目の妻・志け(しげ)との間に生まれた茉莉は、父の愛を一身に受けて成長する。
頭が大きかった鴎外が帽子選びに苦労したこと、百日咳が幼い姉弟…茉莉と不律を襲った時のこと、父への愛、世間に誤解されがちだった母のことなどを回想し、思い出を綴る16編収録のエッセイ集。

話の内容は、やや重複気味ですが、概ね父母への思いや思い出を綴ったエッセイ集。
鴎外にべったりだったのは有名ですが、母への思いもまた特別だったように感じました。
百日咳で生死の境を彷徨った(不律は亡くなりましたが)時の鴎外夫妻のエピソードが印象的。

<12/12/31>

『謎解きはディナーのあとで 3』東川篤哉(小学館)

2012-12-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
桐山健作という老人が服毒死した。風邪気味だったという彼は、寝室に籠もっていたが、妻の信子が中を覗くと亡くなっていたという。
先頃、可愛がっていた猫が姿を消していたことに悲観し、自殺したのでないかという妻。
息子の和明は、経営している飲食店の経営状態は思わしくなく怪しいが、アリバイがある。
彼は部屋に籠もる前に、お手伝いに輪ゴムを所望した理由とは……“第一話 犯人に毒を与えないでください”、
国立市と立川市の境界付近の多摩川の土手近くの河川敷で、風祭警部風の格好をしたチンピラの石黒亮太が溺死していた。
第一発見者で、彼を兄貴と慕っていた芝山悟からの情報によると、遠い親戚のおじさんから小遣いをもらっていたらしい。
成城に暮らす神崎正臣が、その人物だと判明。しかし死亡推定時刻には、自宅で家族らと共に花見を兼ねたホームパーティーの最中だったという……“第二話 この川で溺れないでください”、
宝生家に<怪盗レジェンド>と名乗る泥棒から、秘宝・金の豚を戴くと予告状が届いた。
麗子の父・清太郎が所有する、有名な彫刻家・高森鉄斎の作品だが、警察に通報する訳にもいかず、フランス出張中の父に国際電話で相談すると、かかりつけの私立探偵・御神本光一に頼むようにと返事が。
早速駆けつけた彼と、探偵事務所の所員・朝倉美和。さらに二人の所員と、麗子で見張っていたのだが、同じ部屋に置かれていた銀の豚が盗まれてしまい……“第三話 怪盗からの挑戦状でございます”、
立川市で、ひとり暮らしをしている資産家の老婦人・佐々木澄子の変死体が発見された。
発見者は通いの家政婦・丸山美鈴。何故か、食卓の子供用の椅子に座らされていたという。
甥である平沢健二が怪しく、現在無職の彼は、競輪選手だったという。しかし死亡推定時刻には自宅で友人たちと飲んでいて、十五分ほどしか席を外していないという。邸宅までは五キロ離れており、免許を持たない彼やその妻にも往復は無理……“第四話 殺人には自転車をご利用ください”、
カトレア大学に通う女子大生・木戸静香が、国立市の工事現場で変死体で見つかった。
靴やベルトなどなどがなくなっており、直前に出会っていた彼女の後輩・水野理沙は、上目遣いの視線で眸を潤ませていた様子を語った。
物がなくなっていたのは、何か目的の物を持ち去るためのカムフラージュだと思われたが……“第五話 彼女は何を奪われたのでございますか”、
国立周辺にアパートを所有する資産家・清川隆文が、自分の邸宅で殺害された。
凶器は木刀で、妻・芳江の部屋には荒らされていた形跡があった。
夫婦仲は冷えきっていが、夫が居候させていた新島喜和子も怪しく……“第六話 さよならはディナーのあとで”の六話収録。

シリーズ第3弾。
概ねいつものパターンで展開してますが、ちょっと怪盗モノっぽい変化球もあったり。
六話で“さよなら”になったヒトは戻ってくるのか、舞台が変わるのか、別のヒトがやってくるのか…(このまま完結ではないような気がする/笑)。

<12/12/29,30>

『径に由らず 御算用日記』六道慧(光文社)

2012-12-28 | 読了本(小説、エッセイ等)
文化八年三月。南本所元町に中店をかまえる栄寿堂の若旦那・七之助が三紗を見初め、嫁に欲しいといってきた。それとともに、生田数之進に本所界隈に人目を集めるための千両智恵を借りたいというのだが、未だ恋の痛手から抜け出せずにいる数之進は、生きている死人のようだと云われるほどの状態。
そんな様子を見かねた、早乙女一角の入れ知恵によるショック療法でようやく浮上する数之進。
そして、幕府御算用者として潜入することになったのは、丹後国鶴川藩。
藩主・牧原豊前守英成は、代替わりした後、五年ほどの間に借財を半分ほどに減らしていたという。
奥女中にも算術を習わせるほど英明さを見せながらも、奥御殿に多くの女性を囲い、女色に耽るという悪癖を持っていた。
勘定方には記録らしい記録が残っておらず、どこか別のところで管理している様子。
そんな中、国元から右源太という男が直訴にやってきたところに遭遇した数之進たち。扱人という仲裁人の役目をはたしているという彼は、江戸家老の深尾に会いたいというのだが、失脚した藩士が送られるという爺捨山行きになっていた。
ある日、大殿・富成から呼び出しをうけた数之進は、自分の正体がばれたのかとあせるが、なぜか浴びせられるのは母の質問ばかり。その後、数之進が廊下で遭遇した藩主は、彼に瓜二つで……

シリーズ八弾。今回は潜入した藩の藩主が、数之進にそっくり(顔だけ)。
藩主から入れ替わってくれと頼まれたりするのですが、いくらなんでも同じ顔をしてる人間がいるって周囲がわかってるんだから、バレる気が…(笑)。

<12/12/28>

『本にだって雄と雌があります』小田雅久仁(新潮社)

2012-12-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
「書物にも雄と雌がある」というのが持論だった母方の祖父・深井與次郎。
書物蒐集癖のあった與次郎の家には、たくさんの本があったが、本棚の本の位置を動かしてはいけない、本同士が勝手に交接して新たな子である本を生み出すという、與次郎。そうして生まれた本のことを幻書と呼んでいた。
九歳の夏、祖父の家に遊びに出かけた土井博は、うっかり違う棚に本を仕舞ってしまい、本が飛び回る光景に遭遇することに……それが祖父のいっていたことだったのだった。
與次郎にはライバルであった、鶴山釈苦利がいた。<幻想の書誌学>という幻書についての本を著した人物で、與次郎が妻である画家・米倉幹と知り合ったのもまた、彼がきっかけだった……

語り手である平凡な男・土井博が、自分の息子・恵太郎に、母方の祖父で、恵太郎には曾祖父にあたる深井與次郎の生い立ちやその人生、家族、妻とのエピソード、そしてに幻書について語るという形式で描かれたお話。あらすじにしにくいのですが、一言でいうなら、一族と本のファンタジー?
冗長な上、話があちこちに飛ぶので、前半はだいぶ掴みにくい内容でしたが、全体像がわかってきたら、俄然面白く読めました。
そして最後に表紙を見返した時に、ここに全部集約されていたのだなぁと、しみじみ思ったのでした(笑)。

<12/12/25~27>