黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『新本格もどき』霧舎巧(光文社)

2007-10-08 | 読了本(小説、エッセイ等)
小児科担当の看護師・上岡エリは、どうした訳か院長に命じられ、記憶喪失で入院中の“吉田”(仮名)が外出する際の監視をすることに。
吉田のあとをつけると、彼が入ったのは、カレーショップ“牧場”。そこのマスターと推理小説について語っていると、刑事が現れ、彼を“太田勝也”と呼び、殺人犯だと告げる。刑事いわく、岩手県の三角館で女流推理作家・南井くるみが殺されたという事件で、彼女は“おおたかっ”というダイイングメッセージを残していたのだという。そんな説明の中、吉田は自分はシマダだと名乗り、推理を始める……『三、四、五角館の殺人』、
“牧場”を訪れていた吉田は、グラビアアイドル・桜川美弓が殺害された事件を伝える、ビデオ(ワイドショーの録画)を見て、推理を始めるが、マスターを“お父さん”と呼び始めて……『二、三の悲劇』、
吉田のこれまでの変身ぶりを見てもらおうと、催眠療法士・富塚を伴って“牧場”にやってきたエリ。その富塚が、ある腹話術師の男性が自分が操っている人形に刺殺されたという事件を語り……『人形は密室で推理する』、
スタイリストをしているエリの姉・姿子の関係で、演出家・緑川羅門から芝居のチケットを融通してもらったエリは、マスターと吉田と共に観劇に。ところが、姿子から助けを求める電話が……『長い、白い家の殺人』、
ミスコンに優勝し、“雨降りの里”にいるという姿子の元を訪れたエリたち。そこに、ミステリーウォッチャー・名園清詩郎とを名乗る男が現れ……『雨降り山荘の殺人』、
気がつくとエリは、院長室にいてその傍らには吉田が死んでいた。彼の残した文字は“PIG IS PINK D”。このままでは疑われると、隠れるエリだったが……『13人目の看護師』、
マスターが店で使っていた“マッシュルーム”(ヒカゲシビレタケというマジックマッシュルームの一種)が、仕入先だった雨降りの里から出荷が停まってしまい、その代わりとなる、ヒカゲシビレタケもどきを栽培しているという、露影村へ向かうことにしたマスターたち。そんな彼らの前に雨降り山荘のオーナーが現れ、新興宗教に入信しているという娘・刈間真里香を連れてきて欲しいという。その彼女は、件の村にいるらしい……『双頭の小悪魔』の7編収録の連作短編集。

新本格系のいろんな作品の“もどき”(笑)。
記憶を失った吉田さんが、マスターが作ったマッシュルームカレーを食べると、各作品の名探偵に成りきってしまう…というのが、パターンです。
これはやはり、元になった作品あれこれを読んでいた方がより楽しいですね~。
吉田さんの正体はわかりましたが、何故“吉田”なのかがわからず;

<07/10/8>

『神話の島』久綱さざれ(東京創元社)

2007-10-08 | 読了本(小説、エッセイ等)
高校生・布津美涼の両親は、彼が幼い頃新興宗教・秋津教に入信し、その教祖等と共に離島・御乃呂島へと移住していた。その為、彼らの手から離され伯父・藤脇の元で育った涼。
そんな彼の元に、御乃呂島が行政上所属しているI市の福祉担当職員である矢田から連絡があり、両親の死後に妹・真名の存在を知る。
伯父たちには内緒で、矢田に付き添いを頼み、御乃呂島へと渡った涼だったが、乗ってきた船の船長は不審な死を遂げ、電話も使えず、助けも呼べない事態に。
そんな中、矢田が病に倒れ、それは症状から島で“毒熱”と呼ばれるマラリアらしいと判明するが、島の住人である老人たちは、かつて島の娘・ナミと彼女を連れて帰ろうとした軍人との過去の出来事もあり、排他的、で頑ななまでに自分たちの考えに固執していて話を聞こうともしない。
趣味の奇談収集の為に、同じ船に乗り島を訪れていた大学院生・笹礼懐らと共に事態の収拾に当たる涼だったが……

若干ご都合主義的な場所もなくはないのですが(笑)、ハラハラドキドキで、分量の割にはあっという間に読み終えてしまった感じでした。

<07/10/08>