黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『厨房ガール!』井上尚登(角川書店)

2007-10-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
東京・田園調布にある“SWAT”……“セント・ワイズ・アカデミー・トラスト・クッキング・スクール”の略。もともとはカソリックの教育機関で、明治時代にフランスからやってきたシスターが開いた女学校が母体となっている、フランス料理を教える学校である。
そこに入学した唐沢理恵は元警察官…といっても、書類整理が主で、他には少年を補導した程度。しかし合気道の使い手で、緊張するとつい相手を投げ飛ばしてしまうという癖がある。
そんな彼女が、元料理人で口の悪い正木弘文、元レディスで態度のでかいクラスの問題児・峰村楓、クラスで一番若い18歳の坂田美江子ら学院の仲間たちと不思議な事件を解決する連作短編集。

珊瑚礁の海のように澄んだコンソメをつくらなければならない試験で、手順はあっているはずなのに、何故か指導しているシェフを含め、皆のコンソメが失敗作に。どうやら使用したトマトの酸味が足りなかったせいらしいのだが……『珊瑚礁コンソメ』、
警察時代の後輩・三品良明がやってきた。レストランの売り上げを狙った強盗が出没している為、レストランも持つSWATに、それを知らせにきたのだという。そんな中、理恵たちがランチに出かけたキッチン・ダックスの味が、どれもいつもよりも濃い味付けのヘビーな料理になっていて……『重量級パスタ』、
フランスからやってきた神様とも呼ばれるブランジェ(パン焼き専門のシェフ)の作ったパンが何故か塩辛いものに。翌日、三品が正木の元にやってきた。どうやら正木は、トウドウフード企画の副社長・久能一之が殺害された事件の容疑者として疑われているらしい。そのトウドウフード企画の社長・藤堂昇平は、その時学院にいてアリバイが証明されていて……『塩辛ソルト』、
学院の同級生・篠原賢に頼まれ、彼の元妻のレストランに出かけた理恵たち。味は悪くなかったのだが、どこか印象が微妙で……『間違いレストラン』、
学院の研修で3週間、池辺がオーナーシェフを務めるフレンチレストラン・エコールづ働くことになった理恵。腕はいいが短気だといういう彼は、開店して1年も経たないというのにすでに3回もスタッフに逃げられているという。そこへ三品が現れ、1週間前に多摩川で死体が発見された男が窃盗犯で、彼がエコールに泥棒に入ろうとしていたらしいという話をする……『お怒りシェフ』、
楓の夫・昌弘の勤める会社の社長宅で開かれる天ぷらパーティーに誘われた理恵たち。しかし楓の態度に不穏なものを感じて理恵は欠席。その予感通り、社長の妻への傲慢な態度に辟易した仲間たちは引き上げてきたが、その様子を後から聞いた理恵は……『揚げ揚げキッチン』、
大切な料理試験期間の真っ最中、教会の礼拝堂から音がきこえると言い出した美江子と共に、それが幽霊かどうかを確かめることになった理恵。学院には伝説の幽霊ていう噂もあり……『幽霊カラメリゼ』の7編収録。

料理の話も興味深く、またテンポも良く楽しく読めました♪
正木と理恵の賭けの行方(…というか恋の行方?)も見届けたいので、続きも読んでみたいですvv

<07/10/30>