黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『オトナの片思い』石田衣良、他(角川春樹事務所)

2007-10-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
夫があり、彼との生活には何の不満もないけれど、若い青年・剛史を連れ、フレンチレストランで食事をする千鶴子。フィンガーボウルが、何かも知らない彼との食事を楽しむが……石田衣良『フィンガーボウル』、
恋をするとお腹を壊す体質を持つさゆり。それに気づいた高校生の頃、友人・京子と共にその状態を“リリー”と名付けた。そんなさゆりが取引先の男性社員・笹岡に恋をして……栗田有起『リリー』、
恋人・守と同棲する為、広いアパートに移ったばかりの頃に買った芥子色のソファ。それと同じ頃、守が拾ってきた子猫に“からし”と名付けた奈美。あらゆることに無頓着だった守は、カレーライスにだけは極端なこだわりがあり……伊藤たかみ『からし』、
キャリア十年になるテレビディレクター・リエコは、海外ロケでバングラデシュに来ていた。やがてふとしたきっかけから、同行していたカメラマン・狩野に惹かれていくが……山田あかね『やさしい背中』、
挿絵を担当したことから、女性作家のレストランでのパーティーに呼ばれた“私”。彼女が褒めたイラストの男性は、かつて私が出会い、助けられていた“影無き者”であるエナさんの姿を投影したものだった……三崎亜記『Enak!』、
結婚するつもりでいた恋人から、他に好きな人ができたと別れを告げられた果苗。それから5年が経ち、仕事にばかり専念してしまった果苗は、一回り近く年の違う片岡との食事を楽しみつつも、10歳年下の後輩・林に恋をして……大島真寿美『小さな誇り』、
妻・コガちゃんに突然離婚を切り出された北野修。離婚届の証人欄が埋まり、区役所に提出するときには連絡するといい、引っ越していった彼女と、ケータイの家族割を解約する為に1週間ぶりに再会して……大崎知仁『ゆっくりさよなら』、
夫の浮気が原因で離婚した桜井ゆかり。生活の為、駅前にあるコーヒー店で働き始めたゆかりは、映画を撮る為働いているという貧乏学生・反町と仲良くなり……橋本紡『鋳物の鍋』、
島の惣菜工場で働く朝美とシゲさんとカルロスは仲良しトリオ。朝美はシゲさんに惹かれていたが、彼は仕事を辞めることになり……井上荒野『他人の島』、
鰻屋に無理をいって毎度配達を頼んでいた作家である“私”は、その配達途中で交通事故にあった店の若旦那・丹下真琴を見舞う。そこである女性に会い、丹下から彼女との過去のいきさつを聞く……佐藤正午『真心』、
離婚し、定食屋“わか葉”でおろしカツ定食をひとりで食べる日々を過ごす友佳。ふとしたことから知り合い、店で会釈を交わすだけの名も知らぬ青年に心が弾むようになり……角田光代『わか葉の恋』の11編収録のアンソロジー。

タイトル通り“オトナの片思い”がテーマですが、それと共に『料理通信』に掲載されていただけあって、美味しそうな食べ物もたくさん出てきて、楽しめた一冊でした♪作品的には『リリー』『Enak!』『ゆっくりさよなら』あたりが好み。
……ただ巻末の“初出一覧”ページがありえないほど誤植だらけなのは、出版社的に(印刷所的に?)どうなんでしょう;

<07/10/11>