【掛軸⋅香合⋅湯呑み⋅木彫り工芸品⋅印籠など】
老舗和菓子店「虎屋」の京都ギャラリー(京都市上京区)で「水のいきもの」をテーマに掲げた所蔵品展が開かれている。金魚やコイ、タイ、カニ、サザエなどを題材とした掛軸や工芸品が並ぶ。5月19日まで。
ギャラリーは京都御所に程近い「虎屋菓寮京都一条店」に隣接する。展示中の掛軸は4点。山元春挙(1872~1933)の『鯉』は水面から飛び跳ねるコイの躍動的な瞬間を描いた水墨画(写真は部分)。春挙は円山四条派に属し明治から昭和初期にかけて京都で活躍した。
河鍋暁斎(1831~89)の『四季風景五月幟図』は五月晴れの中、鯉のぼりが富士山をバックに悠然と泳ぐ。その雄大な光景とともに、室内に飾られた武者人形や軒先の菖蒲なども丁寧に描かれている。
南画家滝和亭(1830~1901)の墨画淡彩『柳下漁夫図』は髭を蓄えた漁夫が釣果を確認するように魚籠(びく)の中を手探りする。その満足そうな表情が印象的だ(写真は部分)。土田麦遷(1887~1936)の『金魚之図』も展示中。
掛軸以外では19代雲林院宝山のタイの形をした『嘉鱗香合』、4代清水六兵衛の清水焼『赤絵蟹湯呑』が目を引く。湯呑のそばにある2匹の『木彫り蟹』(作者不明)の甲羅の模様にしばし見入ってしまった。
琥珀製『若葉蔭』は金魚が埋め込まれ実に涼やか。寒天で作ったこれと同じ透明和菓子が5月8~19日の期間限定で「虎屋菓寮京都一条店」とそばにある「とらや京都一条店」で販売されるそうだ。