【入国規制で中国、韓国の観光客はほぼ皆無に】
世界を震撼させている新型コロナウイルス。奈良の観光地もその直撃をもろに受けている。これまで海外客で大賑わいだった奈良公園一帯は中国、韓国からの入国制限で人通りがめっきり途絶え、まさに閑古鳥が鳴く状況。東大寺や春日大社の参道などでは好物の「鹿せんべい」を突然もらえなくなった鹿の姿ばかりが目立っていた。
こんなに静かな東大寺周辺を目にするのはもちろん今回が初めて。中国や韓国からの観光客は皆無で、南大門から大仏殿に至る参道で見かけた外国人は二組の欧米からのツアー客だけだった。沿道の鹿せんべい屋さんもほとんどお客がなくて手持ち無沙汰の表情。その周りを多くの鹿が物欲しげに取り囲んでいた。「お水取り」として知られる二月堂の修二会は今年で1269回目。3月1日から予定通り行われ、15日未明満行を迎えるが、人出は例年をかなり下回っているそうだ。
杉の巨木と古い石燈籠が並ぶ春日大社の表参道。ここにも海外客の姿はほとんどなく、ひっそりと静寂に包まれていた。東大寺や春日大社に程近い奈良国立博物館は新型コロナで臨時休館中。近鉄奈良駅すぐそばの東向商店街はふだん猿沢池や興福寺、古い町並みのならまちなどに向かう海外客で賑わう。しかし、ここの人通りもかなり減っており、ドラッグストア店頭での中国語による呼び込みも鳴りを潜めていた。感染拡大が終息しインバウンド客が戻ってくるのはいつになるのか。4カ月後に迫った東京五輪は果たして予定通り開催されるのだろうか。