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く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ツクシ(土筆)> 春の到来を告げるトクサ科のシダ植物

2018年03月28日 | 花の四季

【スギナの胞子茎、和え物・汁の実など食用に】

 春の陽気に誘われ久しぶりに平城京に行くと、朱雀門のそばの土手に無数のツクシがにょきにょきと顔を出していた。桜もあちこちで咲き誇り、大和路もいよいよ春本番。ツクシは原始的なシダ植物の一種でトクサ科に属する。古名「ツクヅクシ」。源氏物語の第48帖「早蕨(さわらび)」の巻にも「蕨つくづくし、ちかしき籠に入れて……」と出てくる。ツクシは早春、地上に勢いよく突き出す。「突く」を重ねたそのツクヅクシが詰まってツクシになったともいわれる。

 身近な植物だけにツクシには全国で500を超える呼び名がある。その中には「ツギツギボウシ」や「ツギボウズ」なども。ツクシはかつて子どもたちにとって野遊びの材料の一つだった。ツクシには節ごとに「袴(はかま)」と呼ばれる輪生葉がある。その袴の1カ所から抜き取って元に戻し「どこどこ接いだ?」と当てあう。ツクヅクシの語源にはそのツギツギボウシから転訛したとの説もあるそうだ。

 「ツクシは誰の子スギナの子」。こう言われるようにツクシはスギナの胞子茎のこと。一見筆に似たような姿形から漢字には「土筆」の字が当てられた。胞子を飛ばした後は枯れてしまい、少し遅れて緑色の栄養茎のスギナが姿を現す。スギナ(杉菜)という名前は松葉状の姿が針葉樹のスギの枝葉に似ることから。このスギナの祖先は古生代まで遡り、他のシダ類とともに大森林をつくって石炭のもとになったトクサ類の子孫に当たるという。

 ツクシはワラビやゼンマイとともに野趣に富む春の摘み草として八百屋の店頭にも並ぶ。胞子を散らす前の若いツクシの袴(はかま)を取り除き茹でてアク抜きをしたうえで、和え物や酢の物、汁の実、佃煮、ツクシ飯などとして味わう。ツクシ料理を好んだといわれるのが明治天皇。新宿御苑で担当者が栽培していたそうだ。スギナは乾燥したものが問荊(もんけい)と呼ばれ、利尿、解熱などの民間薬として使われてきた。「われ死なば土葬となせや土筆野へ」(福田甲子雄)

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