【お殿様も奨励! 7月中旬~9月上旬に延べ32夜】
今年も盆踊りシーズンがやって来た。盆踊りといえば普通長くても3~4日間だが、岐阜県郡上市八幡町の「郡上おどり」は7月中旬から9月上旬まで延べ32夜も続く。盆踊りとしては文句なしに国内最長。中でも一番の盛り上がりを見せるのが8月13~16日の「徹夜踊り」だ。午後8時ごろから翌日の明け方まて夜を徹して踊りまくる。「奥美濃の小京都」ともいわれ、ふだんは清流の音が響く静かな町だが、この4日間は毎日4万~5万人が訪れ、一晩中「郡上節」のお囃子とゲタの音に包まれる。
郡上八幡は町を東西に貫く吉田川が長良川に合流する所にある旧城下町。戦国時代の武将・山内一豊の妻、千代の出身地ともいわれる。その夫唱婦随ぶりを描いた「功名が辻」の作者、司馬遼太郎は郡上八幡城を「日本で一番美しい山城」と形容した。郡上おどりは一説によると、江戸時代中期の百姓一揆後、郡上藩主の青山公が武士や町民農民の融和を図るため奨励したのが始まり。国の重要無形民俗文化財にも指定されている。
今年の郡上おどりは7月14日、郡上八幡旧庁舎記念館前での「おどり発祥祭」でスタートした。7月に7夜、8月には徹夜踊りも含めて22夜、9月には8日の「おどり納め」まで3夜を、目抜き通りや寺社の境内、公園など町内各所で踊る。輪の中心には囃子方と音頭とりを乗せた屋形。郡上節には有名な「かわさき」をはじめ、「春駒」「三百」「ヤッチク」「げんげんばらばら」「猫の子」など10曲ある。「郡上のな~八幡出てゆくときは(アソンレンセ)――」。踊りは通常この「かわさき」で始まり、「まつさか」で終わる。その間の選曲は「春駒」など動きが激しい曲の後に「ヤッチク」など遅めの曲を入れるなど、踊り手の様子を見ながら決めるそうだ。
ただ、いずれの曲も振り付けが素朴で覚えやすいため、見よう見まねで誰でも自由に輪に加わることができる。「郡上おどりは見る踊りではなく、参加する踊り」。郡上おどり保存会のメンバーもこう口をそろえる。保存会では毎晩1曲を選び、外部からやって来た踊り手を中心に審査。踊り上手にはその場で「免許皆伝」の木の札を渡し、事務所で札と引き換えに「免許状」を授与する。服装は自由だが、浴衣にゲタが基本。旧庁舎記念館や郡上八幡博覧館では土日曜や徹夜踊り期間中、踊り教室を開いて指導している。夜の本番に備え教室で特訓しておけば、自信をもって踊りの輪に参加できること請け合い。運が良ければ「免許状」をゲットできるかも?
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