【フィリピン原産、真冬に紅紫の長い筒状花を放射状に】
舌を噛みそうなこの和名は学名の音読みから。属名の「クレロデンドルム」はギリシャ語の「運命」と「樹木」の合成語。本属のある種が呪術に用いられたことに因むとも、病気治癒に優れた効能を持つことに因むともいわれる。種小名「クアドリロクラレ」は「4つ」と「葯(やく)」の意を持つ言葉を合わせたもの。
シソ科(旧分類クマツヅラ科)クサギ属の常緑低木で、フィリピンやマレーシア、ニューカレドニアなどに分布する。熱帯地方では庭園や公園樹としてよく植栽されるそうだが、日本では温室で栽培されることが多い。クサギ属は多くが夏に開花するが、この樹木は真冬の1月から2月にかけて開花する。
枝先に集散花序を出し、10~20cmほどもある紅紫白の花筒を放射状に伸ばす。白い花冠は5つに裂けて反り返り、中央から4本の長い雄しべが飛び出る。満開になると夜空を彩る大輪の花火のように。そのため英名では「ファイヤーワークス(花火)」とも呼ばれる。葉は細長い卵形で表面は暗緑色。
クサギ属はその名の「臭木」の通り、葉を切ったり揉んだりすると少し臭いが、花は美しく芳香を放つものも多い。仲間には日本各地に自生する「クサギ」のほか、熱帯アフリカ原産で紅白の花を源平の旗に見立てた「ゲンペイクサギ」、濃い桃色の花が美しい中国原産の「ボタンクサギ」、花が緋色で葉が桐に似て学名に「ヤポニクム(日本の)」の種小名を持つ「ヒギリ」などがある。
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