【109回目、京都御所から平安神宮まで練り歩く】
葵祭、祇園祭と並ぶ京都の3大祭りの1つ「時代祭」が22日行われ、都大路を舞台に華やかな時代絵巻が繰り広げられた。平安遷都1100年を記念して1895年にスタートし今年で109回目。明治維新から江戸、室町、鎌倉、平安と時代を遡る大行列は正午すぎに京都御所を出発し、3時間近くかけて平安神宮まで練り歩いた。(下の写真は女性でただ1人馬にまたがった女武将の巴御前)
行列の先頭は維新勤王隊列。鼓笛隊の「ピーヒャラ、ドンドンドン」が先導する。次いで幕末志士列。桂小五郎(木戸考允)、西郷吉之助(隆盛)、坂本龍馬、高杉晋作、吉田松陰、橋本左内らが続く。江戸時代婦人列は14代将軍徳川家茂の正室・皇女和宮を先頭に、女流歌人・大田垣蓮月や吉野太夫、出雲阿国たちが続いた。(下の写真は左から和宮、吉野太夫、常磐御前)
次いで豊臣家の朝廷参上の模様を再現した豊公参朝列、織田公上洛列、室町幕府執政列、楠公上洛列。この後の中世婦人列には淀君や静御前、大原女(おはらめ)、桂女(かつらめ)、平安時代婦人列は巴御前を先頭に横笛、常磐御前、清少納言、紫式部、小野小町、和気広虫たちが続いて行列に彩りを添えた。(下の写真は上段㊧羽柴秀吉、㊨織田信長、下段㊧滝川一益、㊨柴田勝家)
時代祭の特徴は綿密な時代考証を基に往時の衣装などを可能な限り忠実に再現していること。当時の女性のファッションや髪型などもそのまま今に伝えているわけだ。その中で今年注目を集めたのが歌舞伎の創始者ともいわれる出雲阿国(いずものおくに)。60年前に行列に加わって以来、巫女姿だったが、今年初めて華やかな舞台衣装に衣替えした。約400年前に描かれた「歌舞伎図巻」を基に再現したという。(下の写真は左から静御前、出雲阿国、桂女)
各婦人列の著名な人物には花街の芸舞妓が扮した。行列には多くの武将が馬に乗って登場したが、その中にただ1人、馬に乗った女性がいた。女武将として木曽義仲と共に戦った巴御前。太刀を手にきらびやかな衣装を身に着けた馬上の姿はひときわ目を引いた。その衣装には金襴や手描き友禅など京都の伝統技術が詰まっているという。
行列の途中で披露されたパフォーマンスも喝采を集めた。江戸城使上洛列では毛槍を高く投げ合い、室町洛中風流列は風流踊りを見せてくれた。風流踊りは後の盆踊りの原型ともいわれる。(下の写真は㊧豊公参朝列、㊨室町洛中風流列)
行列は烏丸通、御池通、三条通と目抜き通りを進んだが、沿道は天候に恵まれたこともあって多くの観客であふれた。行列の末尾は神幸列と白川女(しらかわめ)献花列。神幸列の御鳳輦(ごほうれん)には平安神宮の祭神、桓武天皇と孝明天皇(平安京で過ごされた最後の天皇)の御霊代が祀られている。桓武天皇も今日の時代祭の隆盛を喜ばれているに違いない。
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