く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<奈良公園> 猿沢池→荒池→鷺池・浮見堂→片岡梅林

2023年03月01日 | メモ

【梅林見ごろに、池の水質改善事業本格化!】

 2月最終日の28日は前日までの冷え込みがうそのような暖かい一日に。そんな春の陽気に誘われて奈良公園の散策に出かけた。まず向かったのは国宝の興福寺五重塔が水面に映える猿沢池。五重塔は藤原不比等の娘、光明皇后の発願で約1300年前に建てられた。現在の塔は室町時代の1426年の再建。傷みが激しいため昨年から約120年ぶりという大規模な保存修理工事が始まった。まもなく塔全体が素屋根で覆われる。工事完了は7年後の2030年の予定。これが見納めになるかもしれない。そんな思いから、猿沢池からの眺めを目に焼き付けている。

 五重塔は高さ約50mで、木造の塔としては京都の東寺に次いで2番目に高い。しかも小高い所に建っているため、遠くからでも望むことができる。下の写真は奈良公園の南端に位置する荒池からの眺望。荒池は「関西の迎賓館」として1909年に開業した奈良ホテルと料亭菊水楼(登録有形文化財)の間にある。荒池を見下ろす国道169号(天理街道)沿いに、池の由来を刻んだ黒御影石の石碑が立つ。それによると、約140年前に相次いた大旱魃に悩んだ3つの村の農民たちが灌漑用として苦難の末に築造したという。

 奈良市内を散策していると、たびたび朽ちかけた土塀に出合う。古都の景観に溶け込みなかなか風情があるが、中には長い風化によって今にも崩れ落ちそうなものも。その最たるものが荒池園地のそばにある土塀かもしれない。近くを通るとき、つい塀の前で立ち止まってしまう。サイクリング中の外国人の方もじっと見つめていた。どれほどの長い歴史を刻んできたのか。興福寺の塔頭寺院を囲んでいたのでは、などともいわれる。そんな遺物を取り壊さず遺しているのもさすが古都奈良!

 荒池園地を東に進むと、景勝地として名高い浮見堂が浮かぶ鷺池が広がる。浮見堂は檜皮拭きの六角形のお堂。100年以上前の1916年に建てられ、その後2回にわたって修復工事が行われた。この浮見堂は渥美清主演・山田洋次監督の映画『男はつらいよ』の第1作(1969年公開)のロケ地にもなった。橋の欄干の前、写真のこの場所で寅さんが御前様役の笠智衆と娘でマドンナ役の光本幸子の記念写真を撮る。寅さんの「笑って」に御前様が「(チーズじゃなくて)バター」と繰り返した場面が忘れられない。

 この後、浅茅が原園地の片岡梅林へ。約250本が植えられた梅林は白梅を中心に見ごろを迎えていた。奈良の梅林として有名な月ケ瀬などと比べると、規模は格段に小さい。だが鹿との2ショットを撮れる梅林は他にない。しかも東大寺や興福寺周辺と違って観光客もまだ少ない穴場だ。梅林の見ごろは例年3月中旬ごろまで続く。

 春日大社の一の鳥居に向かうと、参道沿いは水路整備工事中で青色の導水管が延々と伸びていた。奈良市は夏場を中心に水の濁りがひどい猿沢池などの水質改善事業に取り組んでいる。昨年秋、奈良国立博物館の井戸水を仮設水路で猿沢池まで流し込む実験を行った。

 その結果、水の透視度が実験前の35㎝から91㎝に改善するなど一定の効果があった。確かに、これまでたびたび猿沢池に来ているが、これほど池の底まではっきり見えたのは初めて。かつて我が物顔だった外来種アカミミガメは1匹も確認できなかった。浮見堂がある鷺池も水質改善に向けて池干し中だった。


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