く~にゃん雑記帳

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<ムジークフェストなら③> 「巴里の夜明け」仏作曲家の作品中心に

2014年06月23日 | 音楽

【サンサーンスの「白鳥」やフォーレの「ピアノ四重奏曲」など】

 フランスのクラシック作曲家の作品を中心に集めたコンサートが22日、斑鳩町の「いかるがホール」で開かれた。題して「巴里の夜明け」。出演者は日本、韓国、米国、フランスの4カ国5人。演奏前のプレトークで斑鳩出身の作曲家・児玉厚雄氏は「ドビュッシーとラヴェルはひとまとめにフランス印象派と呼ばれてきたが、ドビュッシーの音楽を漆塗りとしたらラヴェルは江戸切子。フォーレはフランス近代音楽の夜明けを告げた。それぞれの音楽を聴き比べてほしい」と話した。

 

 最初に登場したのはハープ奏者の福井麻衣。大阪生まれ、スウェーデン育ちで、パリ国立高等音楽院の大学院修士課程ハープ科を首席で卒業した逸材。パリ国際ハープコンテスト優勝という実績も持つ。ボッサ作曲の独奏曲に続いて、チェロの梁盛苑とサンサーンスの「白鳥」、ヴァイオリンのジェラール・プーレと同じくサンサーンスの「ファンタジー」を演奏、ハープの優雅で多彩な音色を堪能させてくれた。演奏後のキラキラ輝く笑顔も印象的だった。

 前半最後はラヴェルの「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」。チェロの梁盛苑は「白鳥」で深みのある演奏を聴かせてくれたが、この約20分に及ぶ大曲でも最後まで集中力が途切れない堂々たる名演奏だった。ヴァイオリンの澤和樹(東京芸術大学教授)との呼吸もぴったりで、とりわけ第2楽章の激しいピチカートの応酬は迫力があり圧巻だった。

 後半の主役は前半に「ファンタジー」でも登場したフランスのヴァイオリニスト、ジェラール・プーレ(1938年生まれ)と米国のピアニスト、アルバート・ロト(1946年生まれ)。プーレは天才少年といわれ18歳の時にパガニーニ国際コンクールで最優秀賞を受賞、これまで多くの国際コンクールで審査員を務めてきた。後半最初の演奏曲ドビュッシーの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」は、指揮者でヴァイオリニストだった父親ガストン・プーレのバイオリンとドビュッシー自身のピアノ演奏で1917年に初演された。ドビュッシーは翌年亡くなっており、公の場に姿を見せたのはこれが最後だったという。

 プーレとロトはこの曲とモーツァルトの「ヴァイオリンソナタk376ヘ長調」を演奏したが、2人合わせて優に140歳を超えるとはとても思えない若々しい演奏だった。プーレは曲に合わせて体を大きく左右に揺らし、時折、ピアノのすぐそばまで寄って演奏。ロトは終始少し笑みを浮かべながら楽しげに演奏していた。まさに円熟の味わい。締め括りはヴィオラの澤とチェロの梁も加わってフォーレの「ピアノ四重奏曲第1番」。第3楽章の叙情的な旋律の美しさと第4楽章のオーケストラのようなスケールの大きな演奏が印象に残った。 


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