【朱塗りの太鼓橋に映える満開のソメイヨシノ】
住宅街が広がる奈良市北西部の学園前の近くにソメイヨシノ約300本が咲き誇る花見の穴場がある。奈良県立大渕池公園(西地区)に隣接する「御嶽山大和本宮」。長野・岐阜県境にそびえる霊峰御嶽山を信仰の根本道場とする山岳宗教「御嶽教」の里の本部で、教団本部の大本庁もここに置く。本殿に通じる朱塗りの太鼓橋(長さ40m)と薄ピンク色の桜のコントラストが実に美しい。
大和本宮は1965年(昭和40年)に造営された。太鼓橋のたもとには御嶽教中興の祖、渡邊照吉九代管長が記した「遷座記念碑」が立つ。それによると「当地は皇祖神武天皇日本建国の御創業に際し、霊鳥金鵄(きんし)が発生して奇瑞を表した神秘の霊地」であり、「本宮への参拝は木曽御嶽登拝と同一の功徳」があるそうだ。境内には総間口70m・高さ23mの本殿をはじめ、巨大な神武天皇像や資料館、御嶽山頂上にあるものと同型の「まごころの塔」、御嶽山7合目から運んだお百度祈願の神石などもある。
長野県木曽町福島には御嶽山登拝の安全を祈願する木曽本宮がある。その御嶽山が4年前の2014年9月大噴火し、犠牲者が50人を超える戦後最悪の火山災害を起こした。その直後、大和本宮では毎朝、犠牲者の冥福や火山活動の鎮静化を祈り、同時に全国の教会・布教所にも祈祷を依頼した。大和本宮では今月7~8日「桜まつり」を開く。今回で25回目。境内では演芸大会などを行うが、同時に今年も御嶽山など災害被災地への復興支援のための募金活動もするという。