CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】中国と茶碗と日本と

2018-02-19 21:10:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
中国と茶碗と日本と  作:彭丹

日本にある国宝茶碗の大半が中国の茶碗である
これを不可思議と思い、また、茶の湯で珍重される茶碗の
良し悪しについて、これもまた、不可思議と思うがゆえ、
様々に調べて、中国と日本の文化、その差異を中国の人が探った
そういう本でありました

ところどころ、なんか、違うんじゃないかというか、
どうも、納得しづらい論調になったりするんだけども、
それもまた、私が日本人らしすぎるのかもと
思ったりしてしまうところ、
中国の模倣から始まり、日本文化の根底に中国の影響が大きいと
まぁ、そういうことが語られている部分が多くて、
確かにそうなんだろうけども、なんだろうかな、
中国ありき、と考えるべきかどうかは
またどうなんだと思ったりしたのでありました

茶の湯で珍重される様々な青磁の茶碗について、
それぞれに日本的な名前をつけているというのが、
中国からのものなのに、日本化させるためにしたのではないかと
そういうことも書かれていたけど、そうかなと
なんか、別にパクって、それを隠すといった意図は
ないんじゃないかと思うんだけども、
そう見えているのだとしたら、そういうものも
あったのかもしれないと、
なかなか考えさせられるのでありました

独特の美意識と、日本人が語る侘びであるとか、
雑器をよしとするところなんかが、
大変興味深いと調べられていて、これがまた、
整然としていた中国陶磁器のカウンターとして発生したのではないか、
そうすることで、はっきりと違うといえる
そういう文化を醸成したんじゃないかというのが
ひとつの論旨となっていまして、
そうなると、整然としたものがなければ
そういうカウンターが生まれないので、
どちらがなんだという話にと、なかなかうーん、そうかなぁ
どうかなぁと、考えながら読んだのでありましたとさ

そもそも、きっちりしているものが
さほどに好きではないという日本人の感性というのが、
どの時点で発生したのか、そのあたりが
キーポイントなのかなとも思ったりするのでありました
確かに、輸入品をありがたる傾向は
今もってあるわけで、宋のもの、唐のものというだけで
珍重していたという事実は間違いないんだろうと思うのだが、
そこへの憧れを国内に振り向けるために
カウンターとしたかどうかは、また別の話じゃないかとも
思ったりするんだが、

ともあれ、祥瑞の話だとか、天目の謎だとか、
様々な、中国になくて、日本に残っている
中国の美品についての謎探求など、読み応えのある
面白い本でありましたとさ
結局、何もわからなかったんだけども、
この不思議は、あるよなと思わされるだけでも
十分に面白い、そういうものであったと感じるのであります