CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】定窯瓷 鑑賞と鑑定

2018-02-28 21:10:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
定窯瓷 鑑賞と鑑定  著:王莉英・穆青

定窯白磁について書いた専門書であります
何年か前の台北で、定窯の名品展をやってて
相当に興奮して眺めたものでありましたけども
こういう、ちゃんとした本を読んでいなかったと
いまさらながらに勉強のためにと読み終えたのであります

副題の通り、鑑賞と鑑定のツボが書かれていまして、
定窯の磁器について、その成立と特徴が、
唐代から清朝にかけての流行や、隆盛なんかとともに
実に詳しく書かれていて、大変勉強になったのであります
私の頭では、残念ながら覚えることは叶わず
あー、そうなのか、
なんてぼんやりした感想を抱いただけで終わってしまったのでありますけども、
定窯と一口にいっても、様々な種類があるらしいと
それがわかっただけでも、立派なものだと
思ったりしている次第でありました

本の感想といっても、もう、本当にどこに窯があったかの発掘や、
見つかった器物の年代と解説に終始しているだけで
正直、興味がないと面白いとかそういうレベルではない
きわめて教科書的な本なのでありました
興味もって読んだから幸いではありましたが、
それでいても、なかなか、どこで見つかったとか、
こういう説があるだとか、そんなのが山ほど出てきて
定窯という窯ひとつとっても
まったく解明されていないことばかりなのだと
つくづく思い知らされたのでありました

見所というか、結局一番楽しみにして読めたのが、
カラー写真による、名品の紹介と、
それぞれの名品解説文でありました
特に、東洋陶磁美術館にある「洗」の話なんかが
興味深いというか、ああ、これだこれと
知っている器の話だと、なんとなく嬉しくなって読めてしまうと
そんなところくらいでありましたけども、
世の中には様々な定窯白磁があって、名品は写真で見ても
図抜けて凄いんだなと思い知らされたのでありました
精巧であるというのが、こういうものを示すのかと
しみじみ思い知る次第なのであったとさ

現代に近づくにつれて、模倣作品の話が出てきて
やがては、粗悪な贋物も出てきてというくだりは
これまた面白かったと思うのだけども
世の中、そういうのが多いんだろうなと
しみじみ、骨董の恐ろしさを垣間見たようにも思うのでありました
こういうのは、自分で手に入れるのではなく
美術館に見に行くべきでありますね