CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】緑茶の世界  日本茶と中国茶

2018-02-12 14:27:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
緑茶の世界  日本茶と中国茶  著:松下智

抹茶や煎茶といった、東洋のお茶について
歴史と来歴、それぞれの土地での利用方法などを解説した本でした
結構内容が重複している部分もあったりしながら、
学術書というほどでもないけども、
研究内容をまとめたものといった様相で、
興味深い一冊でありました

茶の始まりとして、中国が上げられる、
その起源がどこになるか、いつごろかというのは
なかなか定説が難しいというお話から、
まずは、茶といえば、茶経、そして陸羽というところから
話は始まりまして、ここで、その内容を解説というのではなく、
あくまで、資料をあたるということに注力された文章なので、
こここに書いてあった、ここで始まったらしいとか
そういう感じから、民族史、風俗といったものに
少し寄りながら、どうやって茶がたしなまれてきたかを
紐解いていました

中国のそれこれは、基本的に、大きな茶の木が
いわゆる荊巴の地と呼ばれる、三国志でも馴染み深いあたりに
多く自生していたものを漢族から見た蛮族にあたる
地の人間が様々に利用したのが発端とのこと
様々な部族が、それぞれの形で利用していたようで
その方法についての詳細な記述が、
正直読んでいるだけでは、違いがわからんのですけども、
蒸すよりも前には、炒ったりするのが多かったようで
その途中で、ちぢれさせたり、葉の枚数やなんやらがというところに
様々な違いがあったのだそうである

また、ピーナッツなんかと一緒に、練ってというか
擂り潰して使うということも一般的だったようで
このあたりから、薬膳、薬としての効能に注目が集まったそうな
時世が過ぎて、唐とか明とかの時代になって、
仏教と合体したり、様々な影響を受けて
僧がこれらをあちことに広めていくこととなったようで、
その際に、隠元禅師や、栄西禅師なんかが
日本に持ち込んで、日本でも栽培が始まったと
そういう解説でありました

このあたり、いつから、日本でも使われるようになったか、
その最初は、どうにも、高級食材といえばいいか、
奥の院で嗜まれるものだったようでありまして、
茶の栽培が免許制のようになって、
今でも名高い、宇治でのみ作ることが許されたとか
そういう歴史に触れていくのでありました

その後、中国では革命があって、ここ50年くらいの間に
茶の栽培が、劇的に効率化されたりしたとかいう話で、
歴史は古いが、実際栽培としてはつい最近なんだというのが
結構衝撃であったり、
日本の明治期における輸出品で、絹や生糸はよく言われていたが
この茶というのも、物凄く重要なものであったというところ
一時期は、アメリカで50%以上の人が抹茶なりの
緑茶を飲んでいたということまであったというのが
衝撃的なのでありました
その後、リプトンに敗れ去り、今では7%ほどのシェアなんだそうだが
それでも、アメリカ人の7%もが緑茶飲んでいるとは
にわかに信じがたいのだが、ともかくそういうお話でありました

茶を輸出品として考えたとき、
これも経済史において興味深いものなんだなと
紅茶騒動なんかもふくめて、面白く思えたのでありますが
この本では、そこまでなぞったりはせず
緑茶の過去、現在、そして未来を憂えるとそういう内容で
終わったのであります