CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】スタート!

2018-02-27 20:00:18 | 読書感想文とか読み物レビウー
スタート!  作:中山 七里

映画撮影を舞台にした小説でありました
途中で、不可解な事件が起こって、それも解決していくんだが
今回においては、正直事件そのものはどっちでもよくて、
映画を作っていくという、その際の熱量といざこざと
そんなところの描写が面白い物語でありました

助監督ともいえない地位で、意に沿わないものを撮り続けて
なんか腐ってきてしまっている男が主人公なのだけども、
それが、尊敬していて、また、何度も手伝ったことのある
巨匠監督の作品に携われることになって、
俄然やる気を取り戻して奮闘すると
まぁ、そういう始まりなのであります
映画人というのが、実際どういうものなのか
この物語で出てくるのは、まさに映画といっていいのか、
小説内でも言及されている昭和な感じが
ありありと、コテコテとといったほうがいいほど
濃厚に描写されていて、
気難しい監督が、わざとあれこれ揉め事をさせたり、
きっちりと演技指導や、なんだかんだを行ったりしつつ
参加している俳優人や、スタッフなんかも
それぞれに癖があるんだが、この巨匠の下で
バランスというか、作品を作るために結集している感じが
ステキなのでありました

序盤で、テレビのスポンサーから送り込まれてきた男が、
素人なのに権力をかさにきて、あーだこーだと
口を挟んできたりというお決まりのやりとりがあり、
そこをいとも簡単といってはなんだが、
見事にやりこめてしまう巨匠の凄さがかっこいいと
これが切欠で、事件が起きていくんだが
別に事件起こさなくても大丈夫だったんじゃないかとか
思わなくもないような見事さでありました

その後も、そのスポンサーのご意向で入ってきた
スキャンダル女優なんかが、悶着を起こしたりするのだけども、
次第にその本格に目覚めてきて、成長するとか
なかなか、本当にこんないいことばっかりじゃねぇだろうなと
散々なときは、本当に悲惨きわまりないのであろうと
リアルをちょっと思ったりしつつ読んだのでありました
そんな必要ないのに、なぜだか、悲観的になってしまう
最近の私のよくないところである、余談

ともかく、小説は作品を作るための熱量と真摯さが
見事に結合したという感じで、大変爽やかなんだが、
ミステリなので残念な事件なんかも起きたりするのだけども、
これが、思った以上にあっさりと解決してしまって
正直、ミステリにする必要なかったんじゃないかと
ちょっと思わなくもないほど、映画を撮るということに
かなりクローズアップした内容だったと思ったのでありました

いつだったかに読んだ、セイレーンのなんとかもそうだったように思うが、
マスコミや、映像業界に対して、何かしらフラストレーションがたまってるのか、
思いのたけが伝わるかのようなメッセージを受け取った
そういう小説でありました