CLASS3103 三十三組

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【読書】あいにくあんたのためじゃない

2024-07-03 21:07:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
あいにくあんたのためじゃない  作:柚木麻子

嫌な話だったり、人情話しだったり、
ちょっと不思議な短編集だった
共通するほどでもないが、割とコロナの頃、そういうのが要素として多く
実際、人といざこざがというのも、新しいパターンがこの頃に生成されたのかしらと
思わされたりするわけだが、その本質は寂しいとか、誰かと会うというイベント
それに対する経験値やら、慣れやらというものの欠如、欠乏によったのかもと
思わされたりして、ちょっと嫌だなと思う事件や、登場人物も
なんとなし、物悲しく哀れに見えたりして、
赦すではないが、不思議な気分になるもので面白かったのである

表題が、どの短編のタイトルでもなかったのが意外で、
さりとて、共通するワードだったか?というと、
まぁ、そうだったような、そんなことなかったような?と
ちょっと、さらっと読み過ぎたのか、意図をくみ取れていない可能性があるなと
大いなる反省を得たわけだけども、
それはそれとして、ラーメン評論家の話しやら、子供を煩いと思う男の話しやら、
なんとなく、自分は正しいというか、同情の余地がありそうでなさそうなラインの男が
可哀そうなような自業自得のような目にあっているという話しが目について
これは読み手である自分に、どこか似たところがあるからかと
居心地悪く思ったりもするのだけど、
その最後の哀れさの描写が、諦めとか、そういう境地の先にあるもので
どこか救いにも見えるような気がしたのである
なんてことはない、妻に見限られた男であったり、
過去の罪に焼かれている最中であったりするのに、その結果を受け入れている姿が
よいと思えたのが不思議である
受け入れたというでもないな、どうしようもなくそうなった、まさに結果でしかないのがよかったのか

ぎすぎすしたというのか、コロナによって
色々と狂ってしまった生活への愚痴とも異なる、不平までもない、
そんなことをうまく昇華した物語だったように思うのであった


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