CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】DV8 台北プライベートアイ2

2024-08-05 21:06:48 | 読書感想文とか読み物レビウー
DV8 台北プライベートアイ2  著:紀蔚然

1が、ちょっと前だと思ってたら、10年越しの2にあたるのだそうで
そんな前のものだったのかと衝撃を受けつつ、楽しみにして読んだ
1990年前後くらいの台湾、台北を舞台にした物語なんだが、
その頃の風俗というか、暮らし、治安、様々なものが見えて
とても面白い小説でありました

諸々あって、淡水に移り住んだというところから始まり、
また、怪しげな私立探偵として、のらりくらりの仕事をこなしていくのだが、
今回も、依頼としては一つなんだが、解決したのは、2つ、あるいは3つといったところで
割と長いけど、それぞれ面白いお話でありました
それぞれとか書いてしまうが、実際は連続事件みたいなものなので、
1つであるのだけども、解決までの道筋が、すんなりしているけど
答えの方が複雑で時間がかかるというのが
珍しいというか、面白い内容だなと思うのであった

舞台として、現在の新北市にあたる、三重(サンチョン)が舞台になってて
まぁ前の話しでも、そのあたりからバイクでやってくるやつは
だいたい悪い奴(不良)しかいないみたいな扱いだったので、
あんまり変わらない気がせんでもないが、
現在の三重あたりからは想像もつかないような田舎、畑なんかもいっぱいあって、
やくざ者がごろごろしてて、治安最悪というのは興味深いところ
そこにちょうど開発が始まるくらいというので、
まさに今の台湾に繋がってくる話しだなと、近代史ものとしても面白いと感じるところ

とはいえ、史実を扱うわけではなくて、
その頃に誘拐が流行っていたという、台湾の犯罪史的なものが興味深く、
実際そうだったんだろう様々な事件、その中の架空の一つとして
今回の依頼の発端があったりして、心理学的なアプローチとかも織り交ぜて、
過去と現在の、様々な点がつながっていくというのが面白かった

最終的に、ある種の運命論のような話しにまとまっていくのも
時代と地域性といったものを感じられて面白く、
そういうものかという、合点がいったのでありました

サポートしてくれる仲間たちというのが
これまたなかなか楽しくて、別に、アクションが派手に起こるわけではないので、
地道に情報を集めてくれるという様々な人たちが、
まさにその人間だからこそという特技というか、行動によって
色々な事実を集めてくるというのが面白い
武侠っぽさとは違うんだが、人の縁による解決というのが根っこにあって
とても楽しく読めるのであった
前回みたいに、もうちょっと民間信仰とかが溶け込んでる姿とか
多分この当時はもっと濃かったんじゃないかなと思うので、
そういうところが見たいようにも思うのであるが、これは私が外国人だから願うことなんだろうか
でも、18×2の時も、出社前にお参りしていく話しとか突っ込んでたしありそうなんだけどなぁ

また、続きが執筆されているとのことで
是非読みたいと思うばかりだが、
はたして刊行がいつになるやら、ともあれ、楽しく読んだとメモっておく