CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】八秒で跳べ

2024-08-07 20:50:52 | 読書感想文とか読み物レビウー
八秒で跳べ  作:坪田侑也

バレーボールを扱った青春部活小説でした
読み終わって、いかにも、思春期というか青春の時期にありそうな
浮き沈み、心の動きを描いた小説で、
ああそういうことが、あったような、なかったけどあるようなと
気持ちよく青春疑似体験できるのが素敵で
バレーボールなんてやったこともないくらいだけど、なんとなし、
男子学生が部活で、怪我で離脱してという不安と呼ぶのかわからない
自身がどうなのかわからなくなる状態というのを体験して、
その戸惑いの内に、同じような境遇の仲間が見つかったり、
あるいは、今までの友人とも異なる面から繋がるようになったりと
本当、よくある青春の一ページが、それこそ何ページもでてくるといった感じで
大変よかったのでありました

バレーボールに対する疑念ではないけども、
主人公が自分の立ち位置、生き方に疑問を持つというきっかけになっている、
でも、それはきっと、怪我というものによって表面化させられただけで
前からそうだったとは、本人は決して気づかないのだけども、
その中で、はっきりと自分を見つけ出していく、あるいはそう見えるように
成長のようなそれまでとの違いが生まれる瞬間が切り取られていて
凄くよかった、象徴的である、バレーボールにおける八秒というものが、
そのきっかけを与えるものになってるのも
なんというか、とてもかっこよくてステキだ

一方で、恋仲とはまた異なる感情を抱く、自身の夢に押しつぶされそうになっていた漫画家志望の女の子と、
その創作に行き詰ったところのやりとりだとか、そういう、異なるものとのふれあいもまた
自身の何かを埋めていくような、新たな部分を見出すような感じになっていて
まぁ、青春時期は全部が全部、そういう風になるもんだよなと
まばゆくてしかたないと思いつつ見るのだが、
どれも、まっすぐで、純粋な悩みであり、揺らぎであり、
そしてそれが不安というものだと改めて思い出すような
実によい青春小説を読んだと、しみじみかみしめたのでありました
気持ちがいい物語だった