CLASS3103 三十三組

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【読書】一度きりの大泉の話

2021-07-19 21:02:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
一度きりの大泉の話  著:萩尾望都

こんなことがあったのか、
少女マンガについての造詣が深くないで
まったく知らなかったんだが、大作家二人の間に何があったのか
その内実が描かれた本でした
読み終わって、いろいろ思ったんだが、外野がとやかく言うことではないけども、
これはもう、こういうものとするしかないんだろうな
そういう感想を持ったのでありました

以前に、この本の発端となった「少年の名はジルベール」を読んだけども、
その時には、竹宮先生側の話として面白いと読んだし、
その情熱を感じていたんだが、それとはまったく別のというか、
極北とでもいうように異なるところに、萩尾先生はいるんだなぁと
交わろうとすることが無理だということを
突きつけられたようで、なかなか辛い内容でありました
陰陽が、もしかすると、作風ままの対比として出てんじゃないか
萩尾先生の漫画も読んだことないから、なんともいえないが
そう思わされるほどの強いものを感じたのでありました

萩尾先生が、竹宮先生と過ごした大泉という場所、時代というのを
懐かしむ内容でもあるが、そこを解散した萩尾先生の真実が書かれていて、
これは、確執といえばそうなんだが、もっと違う、
もうどうともならぬものとなっているのだという
また、そうしたいのだという、強い意志を感じる内容でありました
歩み寄るという選択肢は、もうないのだ
その必要も、義務も義理も、なにもないのだな
そこに後悔とか、未練とか、なにかしらのものも存在しない
してはならないのだという強いものを感じて、
この本を出して、また、あれこれ考えたり、声をかけたりする人が
結局でてきてしまって、
それによって、萩尾先生がまた悩むんじゃないかなと
そんなことすら思わされたのでありました

解決しない問題だと思う
なんせ、問題だと思っているのが本人以外なんだから
本人が問題と捉えていない以上、存在しないのだな

そんなわけで、どれだけ言葉を尽くしても言葉が足らないであろうし、
状況を説明しきれるわけでもないそれを開陳した内容なので
これを読んで、そうだったのか、と萩尾先生が思ったことのみをかみ締めるのみであろうと
思うのでありましたとさ
批判や批評のための表明ではない、会話を拒絶した内容で
これは表現というものではないのだなと、潔さを感じたのであります

偉そうなことを言うと、察することに対する感受性の問題というか、
これが極まっているからこその、萩尾先生という天才なのかもしれんなと
思わされたりするのであった
ただ、騒動がわずらわしい、それだけを伝えたいと強く思っているんだと
感じたのでありました
竹宮先生に対してどうこうというものすらも、もうないのだ
そう伝えようというのが、わかった一本だった


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