CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】家族じまい

2021-02-13 20:27:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
家族じまい  作:桜木紫乃

読み終わって、なんでこんな気分になるものを読んだんだと
軽い後悔みたいなものを覚えたのであります
おひとりさまで生きている自分にはキツいというか、
積まされるものを感じる内容でありました

ごくありふれたというか、実際は、あれこれ問題のあった家族というか
親子なんだけども、それが年を経て離れ離れになっていく過程、
家族が解けていくといえばいいのか、
瓦解していく様が描かれた小説でありました
こうやって、家族というものは消えていくんだなと思わされたのであります

両親子供が死ぬわけではない、
なのに、それが近づいてくるにしたがって、
子供たちは自分たちの生活ができており、
両親は死に向いつつある状況を受け入れたり、抗ったりしながら
まるで人付き合いもなく生きてきた人も
そういう血縁に導かれて、新しい縁を得たかのように見えて
それは滅び行く最後を看取りにきただけのような
なんとも悲しい、何がとか、崩壊なんて凄いものではないけど
間違いなく、ひとつの共同体だった家族がなくなっていく様が
ありあり描かれていて悲しい気持ちになったのでありました

家族といえども、一人の人間でもあるし、
それぞれ個性があってという感じなのはわかるけど、
普通に生きて、普通に年をとっていくだけなのに
見方次第というか、この小説のような描かれ方をすると
凄い悲しくて仕方ないといった風情になったのでありました

救いではないけども、認知症というものが
何か明るいものにすら見えるような感じが
なんとも、終末に向う年齢の人全員に突き刺さるんじゃないかと
読んでいて、まだ峠を越えてもいないのに
思い知らされたのでありました
60歳くらいの人が読むと、いよいよ衝撃が強いんじゃなかろうか
考えさせられたのであります
自分の行く末を、どのように仕舞われるのかを