CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ある奴隷少女に起こった出来事

2016-12-07 17:53:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
ある奴隷少女に起こった出来事  作:ハリエット・アン・ジェイコブズ

近年アメリカで一大センセーションを起こした
隠れたというか、秘められた古典だそうであります
奴隷解放前のアメリカで、奴隷として生きた女性の半生を
自伝として描いていたノンフィクションであります
この本の成り立ちも含めて
非常に稀有なものでありました

内容は、アメリカで奴隷として生まれ、奴隷として生きていた
あるムラート(白人黒人のハーフ)の女性が
子供の頃からどんな扱いを受けてきたか、
そして出会った主人に追われるようになった悲劇の日々、
そこからの長い逃亡劇に悲惨な境遇などなど
奴隷とはこのような生き方をしていたのかと
伝えられてこなかったことが
克明に記されているというのが魅力であります

そもそも、こういったことが残らなかった事情に
奴隷に学がなかった、授けられなかったという問題があったようで
そのせいで、文章としてこのように残ったこともないらしく
ここまで書けた人が奴隷だったというのが
近年まで信じられていなかったんだとかなんとか
このあたりも含めて、人間の歴史が刻まれた一冊なんて
かっこいいことを感じるわけである

現代に生きていて、奴隷という言葉は知っていても
それがどういう仕組みで、どんな世界の下にあったのか
その当時の世界の認識みたいなのも含めて
まざまざ描かれているのが面白く
まぁ、こればっかりは仕方ないことだけども
ちょっと、一方的すぎる部分も含めて
その当時の差別のありかた、そこに根強い不満というか恐怖が
ありあり伝わってくるのでありました

物語というか、話としても大変で
主人公であり著者でもあるジェイコブさんの一生は
あまりにかわいそうだとも思うのだけども
それ以上に、この状況といえばいいのか
奴隷を雇う白人資本家が、
なんだかんだいいながら、奴隷に手を出してやめないというのが
不思議だったのであります
それでいて子供が出来ても知らないふりというのが
なんだろうかな、親のなんとかというのが
極めて薄いというのが、これもまた
時代なのかなと思わされるのである
日本でもまた、そんなことがあったのかもしれないと
人類のなんかとして思わされたりだったのである

と、まぁなんか難しいことを考えて読んでしまったけども
なかなか勉強になって楽しめた一冊でありました