定年退職後の生き様

定年退職後、残された人生を如何に意味有るものに、しようかと悩んでいます。

私は老婆を見捨てた。②

2008年06月27日 23時47分39秒 | お仕事関係
 職務上、私は老婆に質問しなければならなかった。最後の逃げ道を残して・・・
「お婆さん、ずっと橋の下で住んでいるの?」
(頷いてくれ、そうすれば、婆さんは、周りのゴミと一緒に、ここで住み続けられる・・・)

「近くのアパートに住んでいるの。今日は、天気が良いから、お日様のエネルギーをいただいているのよ。昔、私はスペインに住んでいてね。黄色いお日様からパワーをもらい続けていたからね。90歳近くになる今まで、病気一つしたことないのよ。」
 ダリ、ピカソ、闘牛、映画「大脱走」のラストシーン、滔々と話される彼女のスペインに関する話題は、信じられないくらい知的であった。
 もっと、色々な話を聞きたかった。


 しかし、私は、彼女をトラップに陥れるために、職場のマニュアルどおりの質問を続けなければならない時間が来ていた。
「それじゃあ、婆さんの回りにあるガラクタは、婆さんの物じゃないの?」
「こんなゴミ、私の物のわけないじゃない。」

老婆を発見した瞬間から、清掃作業を中止していたが、マニュアルどおり、清掃再開の号令を掛けなければならなかった。

老婆を隠してくれていた、ゴミや家具が次々と剥ぎ取られていた。

一時間後、ムシロや女性物の傘など、一部の家財道具と思われるものを残して全て取り払われた。

清掃部隊がみんな撤去し、跡地には私と老婆だけが残された。

私はいたたまれなかった。

近くのコンビニに行き、弁当とお茶を購入した後、老婆に渡した。

老婆は泣いて喜び、恐らく何日ぶりかであろう弁当をガツガツと食べた。

私は、彼女に静かに話した。

「ごめんね、婆さん。酷いことしてしまって。僕が死んだら、無間地獄に落ちて、永遠に苦しみの海でおぼれ続けるから・・・」
「どうして、あなたのようなきれいな目をした人が地獄に落ちたりしましょうか。ちゃんと成仏できますよ。そうだ。私、時間が出来たら、あなたを主人公にした小説を書いて、文壇に発表します。」

私は、その場を離れた。
間違いなく、自分がいつか、地獄の奈落に転落することを確信しつつ・・・

私は老婆を見捨てた。①

2008年06月19日 21時15分38秒 | お仕事関係
庇の大きい、いわば橋の下のような社有地が有った。
当時、私はその土地の管理を任されていた。
用途の無いその土地は、いつしか不法投棄のゴミがあふれ、ホームレスの人達の居住の場所になっていた。
冬。
役所から電話が入った。
「ホームレスの人達は居なくなっていますよ。南の町にでも移動したんでしょう。」
社内協議の結果、かねてより近所の住民から苦情が出ていたその敷地を一斉清掃することになった。
下見に行った。
ソファー、ドラム缶、毛布、雑誌。ホームレスの生活の跡が残っていた。
人の気配は無かったが、トラロープに掛けられていた女性用の傘が真新しかったのが少し気になった。

清掃当日。
委託業者によるパッカー車が何台も敷地の前にならんだ。
20人近くの人夫さんたちにも集まっていただいた。
私が現場監督である。通勤する自家用車のエンジン音がやたら耳についた。
「清掃開始」
号令を掛けた。

各人、敷地に広がり、ゴミをどんどんパッカー車に投入していく。
椅子もタンスも自転車も、バリバリと音を立てながら青いパッカー車に吸い込まれていく。
その時、敷地の奥のボロキレが少し動いたように見えた。

私が駆け寄っていくと、小さな老婆がうずくまっていた。

自分は善人か

2008年06月18日 21時51分19秒 | お仕事関係
自分は善人だろうか?
そんなわけは無い。
クレーマーと対峙する際に、最初の2~3分、表面では他愛も無い会話をしながら、一方では全神経を集中して、相手のウイークポイントを探っている。
それは、あるときには相手の家族構成であったり、またあるときには趣味であったりするが、要は相手の懐に入り込む隙を狙っているのである。
そんな、計算ずくの「雑談」をしている私が善人のわけは無い。

間違いなく将来は、無限地獄に落ちるであろう。




遺跡

2008年06月14日 11時24分15秒 | 家庭関係
昨日の新聞で、自宅近くの宅地造成地で6世紀頃の遺跡が出たと記事が有った。

本日10時から現地説明会があるとのことであったので、両親とともに話しを聞きに行った。
市役所の職員さんが丁寧に説明をしてくれていたのに、ギャラリーが「メガホンの音が小さい」だの「トイレは無いのか」だの、不満を大声でわめき散らしていた方が気になってしまった。

「モンスターペアレント」という言葉が流行している。

「一億総クレーマー」 自分の頭をよぎった。

家族からの独立

2008年06月08日 02時14分29秒 | 家庭関係
平成20年度に入って、初めて土曜日を休むことが出来た。

とは言え、子供達は部活で居らず、妻と二人で、老夫婦のごとく他愛も無い会話をして無聊を慰めた。
今年の夏も家族旅行は叶いそうにも無い。
そろそろ、息子、妻を軸としたライフスタイルから転換を図るべき時期が来たようだ。

今まで、色々と表面的にかじって来た趣味のうちの何に、ディープの取り組んでみようか。

最近、蚊が増えたのではなかろうか?

2008年06月01日 22時40分07秒 | 家庭関係
何でも地球温暖化のせいにするつもりは無いが、最近蚊が増えたような気がする。

2年前には、梅雨明け前に、城山でツクツクホウシの声を聞いてゾッとした。
昨年~今年の大晦日には、布団の中で、除夜の鐘と蚊の羽音がシンクロしながら聞こえていた。

近くに汚れた川が流れているので、今年はボウフラが大発生しているのかもしれない。

しかし、先述の季節はずれの虫と関連した事象なのかも知れない。