自宅に間違い電話がかかってきた。あいにく家には他に誰もいない。
「私、植林治文の母ですが」
第一声、上品そうな感じの中年女性の声が受話器から聞こえてきた。
「治文は私ですが・・」
「治ちゃん、やっと見つけた。探したのよ」
「私は植林治文という名前ですが、残念ながらあなたの息子さんではありません・・・」
「そうですか。すみません」
5分くらいして、その方から再び電話。
「植林治文さんいらっしゃいますか。」
「あ。治ちゃん、何してんのよ」
「先ほども電話を受けた者ですが、ここにあなたの息子さんはいらっしゃいません。」
「104で聞いたら、ここの電話番号を教えていただいたので・・・」
三度目の電話は掛かって来なかった。
溺愛している子供に巡り合えず、恐らくは少し心を病んでいるであろう、このお母さんがとても可哀想になった。
「あなたの息子じゃありません。」
悪意は無いにせよ、必死で子供を探す母親の愛情を踏みにじる残酷な言葉を重ねてしまったものである。
昔、女に振られたときを思い出した。
「私、付き合っている人がいるんです。」
両者とも、盲執的な愛を断ち切る決定打の一言という点では、似ているのかもしれない・・・
治ちゃん、早くお母さんに連絡を入れて安心させてあげてくれ。
「私、植林治文の母ですが」
第一声、上品そうな感じの中年女性の声が受話器から聞こえてきた。
「治文は私ですが・・」
「治ちゃん、やっと見つけた。探したのよ」
「私は植林治文という名前ですが、残念ながらあなたの息子さんではありません・・・」
「そうですか。すみません」
5分くらいして、その方から再び電話。
「植林治文さんいらっしゃいますか。」
「あ。治ちゃん、何してんのよ」
「先ほども電話を受けた者ですが、ここにあなたの息子さんはいらっしゃいません。」
「104で聞いたら、ここの電話番号を教えていただいたので・・・」
三度目の電話は掛かって来なかった。
溺愛している子供に巡り合えず、恐らくは少し心を病んでいるであろう、このお母さんがとても可哀想になった。
「あなたの息子じゃありません。」
悪意は無いにせよ、必死で子供を探す母親の愛情を踏みにじる残酷な言葉を重ねてしまったものである。
昔、女に振られたときを思い出した。
「私、付き合っている人がいるんです。」
両者とも、盲執的な愛を断ち切る決定打の一言という点では、似ているのかもしれない・・・
治ちゃん、早くお母さんに連絡を入れて安心させてあげてくれ。
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