毎週土曜日は歯医者通いを言い訳にして、最近休日出勤をサボっている。
午前9時過ぎ、受付を済ませて待合室で文藝春秋の芥川受賞作品を読んでいると、背の高い自分と同じ年くらいの中年が入ってきた。
風貌は至って普通だが、絶えず独りごとをしゃべり続けている。
看護婦さんに、次回に月更新の保険証を持ってきてくださいと言われると、席に着いた後も
小さな声で「はいわかりました。今度必ず持ってきます。」と繰り返している。
また、待合室備え付けのテレビでエミフル松前の宣伝をすると、エミフルにはまだ行ったことがないなあ。大きそうだなあ。今度機会があれば行ってみよう。」と言った具合。
恐らく「こころの声」を「こころ」に留めておけない性分なのであろう。
少し心を病み始めている自分としては、彼を笑うことも哀れむことも出来なかった。
ただ、他の待合客が温かい目で見守ってくれることを祈るばかりであった。
午前9時過ぎ、受付を済ませて待合室で文藝春秋の芥川受賞作品を読んでいると、背の高い自分と同じ年くらいの中年が入ってきた。
風貌は至って普通だが、絶えず独りごとをしゃべり続けている。
看護婦さんに、次回に月更新の保険証を持ってきてくださいと言われると、席に着いた後も
小さな声で「はいわかりました。今度必ず持ってきます。」と繰り返している。
また、待合室備え付けのテレビでエミフル松前の宣伝をすると、エミフルにはまだ行ったことがないなあ。大きそうだなあ。今度機会があれば行ってみよう。」と言った具合。
恐らく「こころの声」を「こころ」に留めておけない性分なのであろう。
少し心を病み始めている自分としては、彼を笑うことも哀れむことも出来なかった。
ただ、他の待合客が温かい目で見守ってくれることを祈るばかりであった。