この作品は、「太陽と月に背いて」や「敬愛なるベートーベン」などで著名な
ポーランドの女性監督アグニェシカ・ホランドの最新作であり、今年の第84回
アカデミー外国語映画賞にノミネートされた作品でもあり、大いに期待して見
ました。
物語の舞台は1943年3月、第二次世界大戦中にナチス占領下のポーランド
東部ルヴフです。
地下水道で働くソハ(ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ)は、迷路のように入り組ん
だ地下水道の修理と、戦争で誰もいなくなった家から物品を持ち出したりして
妻子を養っています。
そんなある日、ゲットーからトンネルを掘って逃げてきたユダヤ人たちを見つけた
ソハは、最初は隠れていることの口止め料を貰い、加えて一日500ズロチを要求
しますが、彼らの実状を知るにつれて段々と気持ちが変わって行くのでした。
そして町に大雨が降り、彼らが隠れている地下水道が水があふれ危機に瀕する
事態が起こり・・・。
作品の中には残酷極まりないナチの仕打ちや、よくぞこんな場所に隠れていたと
思うような場所での描写など、これが本当に女性監督の演出なのかと一瞬考える
ほど生々しいしド迫力ありますし、実話の強さがまじまじと見る者に迫ります。
そしてどんどんユダヤ人側の立場に傾き、彼らに一筋の希望の光になって行く主
人公役の渋い演技に唸ることにもなるのです。
この年のアカデミー賞外国映画賞はイランの「別離」が獲りましたが、私は「ソハの
地下水道」が獲ってもおかしくなかったと思っています。
少々長くって145分の上映時間ですが佳作です。是非ご覧ください。
(10/13 TOHOシネマズ天神 初日 9:45の回 25人)