そもそもパリのルーヴル美術館のことを知らない。
ミロのヴィーナス、サモトロラケのニケ、ダヴィンチのモナリザが収蔵されていること、
昔の宮殿の前に、ミスマッチなガラス張りのピラミッドが建設されたことしか知らない。
それがなんの前知識も持たずに行ったものだから、かなり面喰ってしまった。
サブタイトルに~地中海 四千年のものがたり、とある。
中国四千年、伝説時代・夏・殷・周…歴代中国王朝の名は暗記しているけど、地中海四千年ねえ。
こんなサブタイトルだから疑問符がつく。
早い話が、古代ギリシャ、エジプト、ローマ、オリエント時代の、博物展と言えば、納得できるのに。
でも、それじゃ、これまであちこちでやってるから、各時代を縦断する地中海の歴史として目を向けたのだろう。
おかげで、ほぼ断片的にしか覚えていない、古代がつながって見えてきた。
そうか欧州の古代は地中海沿岸に集中していたのだ。
そして多神教の時代から、キリスト教・イスラム教の一神教の時代へ。
芸術・文化の交流は、新しい時代をつくっていったが、それぞれの原理主義の宗教的対立は、今もって解決されない。
話を元に戻そう。
圧巻だったのは、メインとしてポスターなどに掲載している通称「ギャビーのディアナ」ではなく、ミケランジェロのダビデ像を思い出させる、後のローマ皇帝アウグストゥスの裸身像である。
こちらは、ダビデ像と違って頭は小さいものの、胸板、力強い足指、臀部、官能的でさえある。
小物では、金とダイヤモンドをちりばめた煙草入れ、懐中時計。
四方に光を放つダイヤに、時の権力者の威力を感じさせられた。