酢豚のひとりごと

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『象』

2010-03-31 23:06:29 | 演劇
「象」 新国立劇場
 作:別役 実  演出:深津篤史 出演:稲垣吾郎/奥菜 恵/神野三鈴/大杉 漣

原爆の被爆者を描いた物語で、内容は結構重い。ただ舞台上でのセリフのやりとりは、その深刻さを感じさせない。

ともに被爆者である男(大杉 漣)とその甥(稲垣吾郎)。男は入院中であるが、肩のケロイドを見せて自分を誇示した昔が忘れられず、もう一度人前に立つ機会を狙っている。甥の方はひっそりと生きようと男を説得する。
二人の病人の生き方から、被爆者を見る世間の目がちょっと皮肉に語られる。

稲垣吾郎、奥菜恵(看護婦)、神野三鈴(妻)などが役にはまった演技を見せているのだが、それを上回って大杉 漣の熱演が目立つ。あまりに力が入り過ぎて、大衆演劇の座長芝居風に見えるところもあったほど。悲しいまでに一途な男を演じきる。

全体に面白かったのだが、一つだけ不満がある。
見知らぬ通行人同士が何気ない会話をしている内に、その会話のずれからいつかステッキで殺し合いになる場面。一番別役芝居らしいところなのだが少し空回りしている。セリフはしっかりしているから、二人の掛け合いの間合いに問題があるのだろう。



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