酢豚のひとりごと

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『渇き』

2010-03-06 11:53:52 | 映画
「渇き」 横浜ニューテアトル
カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した韓国の吸血鬼映画である。

私の吸血鬼(ドラキュラ)狂いは結構古い。ドイツ文学の授業でムルナウ監督のサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」を見たのがきっかけ。それ以来、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」はもちろんのこと「夜明けのヴァンパイア」「ドラキュラ紀元」などの小説を読み、「魔人ドラキュラ」や「ドラキュリア」などの映画、海老蔵の舞台「ドラクル」、そして銀座の居酒屋「ヴァンパイアカフェ」まで、関係あればどこでも出かけるという状態に。ドラキュラ城のルーマニアにはまだ行けてないが。

吸血鬼映画は過去、日本では苦戦している。アメリカで大ヒットの「トワイライト」もパッとしなかったようだ。吸血という動物的行為が、日本人の嗜好に合わないのかもしれない。

ではこの韓国の吸血鬼映画「渇き」はどうか。監督は「オールドボーイ」などで有名なパク・チャヌク。
最近は吸血鬼との戦い中心のパターンは少ない。この映画も人間を愛し、そして人間性を捨てられない吸血鬼の苦悩を描く。

神父として行き詰まったサンヒョン(ソン・ガンホ) は別の形で人に役立ちたいと、ある研究所の人体実験に身を投ずる。次々死んで行くなかで彼だけが生き残るが、体は吸血鬼になってしまっていた。奇跡の生き残りの神父として崇められるのだが、人に言えない苦悩が・・・。
いつか友人ガンウの妻テジュ(キム・オクビン)と愛し合うように。そしてテジュも吸血鬼になるが、テジュの割り切りは早い。「人間じゃないんだから、人間らしく考えなくていい」と奔放に振る舞う。しかし男は人間性を捨てきれない上、テジュのために犯した罪の意識にもさいなまれる。吸血鬼を楽しむテジュと、それを止めようとする二人の行き着くところは・・・。

吸血鬼を下敷にウェットな男性とドライな女性との愛の物語になっている。筋は結構荒く、血の飛び散る凄惨なシーンも多いが、色のトーンの変化や小道具が画面を引き締めている。

ラストで二人の思い出の靴が、落ちるシーンがオシャレ。




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