新進作家、待居の作品「凍て鶴」を、
映画化しようとする話がもちあがる。
監督として手をあげたのは、
人気脚本家の小野川。
独特の自分の世界を持ち、
相手を自分の思いこみの中に、
追い込む強引さを感じさせる…。
この小野川に、
待居は気味悪さと、
相容れなさを感じ始める。
あまり内容に変化がないのと、
全編に漂う重苦しい雰囲気の中、
暗い底に沈んで行きそうな気がする
不気味な湿った空気感があって
読み進めるのがつらかったです。
このまま最後までこの調子で行くのは、
とても精神力が持たないなと
感じ始めていましたが…。
本の半分ぐらい読み進めたところ、
そこで表れた「落花の会」の、
ハンドルネームに関する情報。
待居のスランプ時代の「落花の会」の
サイトとのつながり。
俄然面白くなってきました。
小野川と待居、そして今泉
作家と映画監督、ライター。
同じ物書きとしての感性。
この世からフェード・アウトしそうな
感じのあぶない人達。
フィクションとは大いなる嘘。
信じ得る登場人物は一体誰なのか?
ハンドルネームがたどり着く真相。
面白い構成だと思います。
でも暗いストーリー。
今回は我慢して気になるラストを
かいま見ることなく読み終えました。
先に読んでいたら面白さが
半減するところでした。