議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

念のため

2009年06月12日 05時12分55秒 | 余談コーナー
 先々週一度ご案内しましたが、金曜日はしばらくお休みします。最近アクセスが急に増えたので、念のため。
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低炭素ばっかりですが・・・

2009年06月11日 06時21分55秒 | コンサル日誌
 昨日は、日経BPさん主催の日経エコロジー10周年記念シンポジウムに参加してきました。“エネルギー戦略と低炭素社会の実現”がテーマでした。

 奇しくも麻生総理が05年比15%削減の発表をする日ということもあり、循環型社会や生物多様性についてはほぼ誰も触れませんでした。

■環境問題の全体最適を
 もし、世界中のエネルギーをすべて自然エネルギーでまかない、CO2の排出量をゼロにしたとしても、循環型社会や生物多様性の問題が解決されるとは限りません。これらの問題は密接に関係しており、CO2のことだけを考えた政策を立ててもらっては、個別最適は図れても全体最適にはならないと思うのです。

 その方法は、資源消費~廃棄の量を劇的に減らすことです(ここでいう廃棄とは、固体や液体なら廃棄物・化学物質、気体ならCO2などに該当します)。つまり、モノの生産量(=消費量)を減らすということです。それでも生活の質を下げないためには、どうすればよいのかを考える必要があります。CO2の排出量の問題は、ここでは主役ではなく全体の大きな問題のごく一部のはずです。

■今回の目標の立て方の問題点
 2050年までに半減させるということですが、そのためにはバックキャスティングが必要といわれています。しかし、2020年の中期目標はそのバックキャスティングの考え方から出てきていないようです。どうみても、積み上げただけです。
 そしてもし2050年目標のためにバックキャスティングをするのであれば、そこでは循環型社会(資源生産性)と生物多様性の問題から考えなくてはなりません。そこではCO2は主役ではなく、資源生産性を向上させた結果でしかないはずです。

 と、思うのですが、皆様のご意見賜りたく。
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一般廃棄物を委託する際の注意点

2009年06月10日 05時34分12秒 | コンサル日誌
 一般廃棄物を事業者が処理委託する際には、法第6条の2第6項、第7項にあるとおり、一般廃棄物の許可業者や市町村などに委託し、許可証に記載されている事業の範囲(焼却、埋立など)に合う委託をする必要があります。ということで、一般廃棄物の委託基準は以下の2点だけです(特管は省略します)。

○一般廃棄物許可業者に委託(市町村か市町村の委託を受けたものでも可)
○許可の事業の範囲に合う処理方法を委託する

 しかし、実際には以下のような点に注意されるとよいでしょう。

○一般廃棄物の許可業者に委託する必要があるので、許可証のコピーを保存しておくべきでしょう。ただ、法的には保存義務はありません。念のため。
○一般廃棄物処理業の許可は2年更新です。つまり、2年に一回は許可証が更新されますので忘れずにチェック。
○産業廃棄物用の契約書やマニフェストを使って管理するのはよいアイデアですが、あくまで契約書には一般廃棄物であることを明確に。誤解が生じないようにしましょう。
○「燃えないゴミ」は産業廃棄物である可能性が高いです。その他、明らかに産業廃棄物なのに一般廃棄物の業者さんがなんとなく(??!)持っていっているケースもありますので、ご注意ください。
○現地確認もするとよいでしょう。許可業者にキチンと委託していれば、不法投棄されても措置命令を受けることはありませんが(産業廃棄物のような注意義務違反はない、ということです)。
○市町村の越境委託は、問題ありません。よく禁止であると勘違いされていますが、そんなことはありません。例えば施行令第4条第9号の規定などを気にされることもありますが、この規定は市町村が委託する場合の話で、排出事業者が委託する場合の規定ではありません。
○再委託は例外なく禁止です。産業廃棄物のように承諾書をもらえばOKという話ではありません。ま、あくまでこれは処理業者に対する規定ですが。
 知らない収集運搬業者が取りに来ていたら「おやっ」と思ってください。ただ、書面契約をしていないと、再委託だかなんだか表面上はなかなか分からないんですけどね。。。
○ぼったくられていないか注意。特に一般廃棄物はドンブリ勘定=定額制のことも多いです。重量を測ることで処理費削減につなげているケースが増えています。

こんなところでしょうか。他にも何かあったら、コメントください。

■アクセスが増えています
全くの別件ですが、昨日このブログで初めて1日の訪問者数が500を超えました。皆様ありがとうございます。最近アクセスが急に増えているのですが、どうしてでしょうか?ネタのせい?
社内の関係者に教えているなど、心当たりのある方、是非ご一報ください。
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一連の下取りネタについて

2009年06月09日 06時10分58秒 | コンサル日誌
 最近、下取りのネタが続きましたが、少し整理します。

■大原則
 そもそも、下取りについては通知があるだけです。通知というのは法律でもなんでもなく、単なる環境省の法解釈でしかありません。それが法律上正しいという保証は全くありませんし、それ以外の解釈、拡大解釈が法律違反であるということでもありません。これ、大原則ですので、お忘れなく。

■記事の紹介

下取りは納入業者でもできるのか?

この記事では、下取りは販売者本人だけでなく、納入業者でもできるという解釈を紹介しています。ちなみに、私個人としてはこの考え方は正当だと考えています。

下取りの件、続報
この記事では、全国の自治体の会議で環境省が下取りについて説明した資料をご紹介しました。引き取りのタイミング“際”というキーワードを柔軟に解釈するという説明があります。一方、下取りは引き取る時点から廃棄物なので処理基準が適用され、販売者以外の第三者が運搬する場合は許可がいる、ということでした。自社運搬の場合でも、処理基準の適用=車両表示や書面携帯が必要です。むちゃくちゃ厳しい解釈です。

■事業活動の一環での回収でいいのでは??
 しかしこれって、そもそも単なる通知の文言について、さらに掘り下げて解釈した、ということになります。でも本当に通知の文言を厳密に受け止めて解釈する必要はあるのでしょうか?通知の主旨を踏まえて現在の社会情勢に合った法解釈をするべきなのではないでしょうか。

 で、思うにこの通知は「メーカーや販売店が業務の流れの中で発生したモノを持ち帰るという行為は問題ない。特に納入時に使用済み品を回収するケースは明文化しても差し支えない分かりやすい例である」みたいな感じで書かれたのではないでしょうか。

例えば、以下のような業務で発生したモノはどうでしょうか?

 ・工事
 ・設置
 ・部品交換
 ・下取り
 ・メンテナンス
 ・洗浄
 ・修理
 ・返品
 ・リコール

 上記いずれの場合であっても、サービス、業務に伴って出てきたものを、いったん自社の管理する拠点に持ち帰ることはよくあります(というより一般的です)。そしてこれらは、単にサービスや業務に付随する行為でしかないと思います。「自分の仕事で出たものはすべて持ち帰る」という、非常にまっとうな感覚です。そして通常、持ち帰ってから「ゴミが出たから捨てよう」という意思を持つのだと思います。総合判断説でいう「占有者の意思」というアレがココで出てきます。この段階から廃棄物なのです。

 当初の下取りの通知はこんな例を踏まえて書かれた、ということではないのでしょうか?ただ、書面としての通知は分かりやすく類型化しやすい例を少し詳しく書いたのであって、他の方法がすべてNGであるという主旨ではなかったのだと想像しているのです。

 いかがでしょうか?

 もう、下取りの通知や環境省の超安全解釈に不必要に振り回されずに、事業者の判断・解釈でいっちゃいましょうよ。
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マニフェストの保存義務違反で排出事業者が書類送検

2009年06月08日 05時54分10秒 | ニュースクリッピング
産廃業者など書類送検 名古屋・中村署、管理票虚偽記載容疑で
 マニフェストの保存をしていなかった(捨てた)ということで、排出事業者が書類送検されました。不法投棄があったのではなく、処理は終了しているようです。つまり、マニフェストの保存義務違反だけで書類送検されたことになります。

 一方中間処理業者は、処分が終わる前に処分完了としてマニフェストを返送していたたそうです。同様に書類送検になりました。
 
 理由については、排出事業者は「帳簿があり、(マニフェストの保存は)必要ないと思った」、中間処理業者は「事務簡素化のため」だそうです。

■初めての事例?
 理由はともかく、不法投棄がないのにマニフェスト違反だけで書類送検になったという事例は、過去に聞いたことがありません。よく「不法投棄されなければ、少々の違反があってもどうということはない」という意識の方をお見受けします。しかし、今後は契約書の作成は当然のこと、マニフェストについても法順守に努めていくべきでしょう。
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基礎編を今月も実施します!!

2009年06月04日 05時13分27秒 | 余談コーナー
 基礎編は前回5/21(木)に、新型インフルエンザ騒動の真っ最中にも関わらずほぼ満席と大好評でしたが、その勢いを駆って6/23(火)にも実施します。次の6/24(水)には「行政対策セミナー」も行われます。

廃棄物管理の法と実務セミナー【基礎編】(6/23東京開催) 特別講演付き!

 特に異動後で“????”が増え始めた新任担当の方にとっては、体系的な学習により業務が進めやすくなるでしょう。また、前回に引き続き今回も特別講演を行います。前回のアンケートによると、不法投棄に関する生々しいデータで、ショックを受けた方が多かったようです。廃棄物の仕事の重要性を認識していただくよい機会だと思います。

「廃棄物管理の行政対策」スキルアップセミナー(6/24東京開催)
 
 このセミナーは前評判が非常によいです。今回初めての企画なのですが、お申込みが順調に増えています。満席になる前に、お早めにお申込みください。廃棄物処理法にそれほど詳しい必要はありませんので、基礎編とセットで受けられてもよいでしょう。

■オマケ
 今頃気付いたのですが、アミタのサイトで「廃棄物のサンプルを採取する際に気をつけることはありますか?【説明動画付き】」というものがありました。廃棄物のサンプリング方法について、動画で説明しています。アミタさん、そこまでやってしまうとは、マニアですねぇ。
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やはり携帯電話を回収したら一般廃棄物のようです

2009年06月03日 05時53分57秒 | ニュースクリッピング
下記のような報道発表がなされていたことはご存知でしょうか。こんな記事を見ると、好奇心がむらむらと沸き起こってきます。

(お知らせ)使用済携帯電話回収促進キャンペーンについて

環境月間に合わせたキャンペーンだそうです。

<質問>
で、このキャンペーンの窓口の「環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室」にお電話し、回収した携帯電話の廃棄物の区分は?排出事業者は?という質問をしました。

<回答>
模範解答を立て板に水のごとく、いただきました。ちゃんと検討したのでしょう。
「横浜と京都で回収したものは一般廃棄物です。市の委託業者が処理します。」だそうです。そりゃそうですよね。一般廃棄物の広域認定の対象として、「廃携帯電話用装置」を追加したのはつい最近ですし(報道発表資料はこちら、本ブログの関連記事はこちら)。

なお、携帯電話各社が新しい携帯電話を販売する際に下取りして回収した携帯電話は、下取りしたものなので産業廃棄物になる=携帯電話各社が排出事業者になる、ということでした。

おっしゃるとおり、現在の制度においては、これが正解なんですよね。

■私が期待していた回答は。。。
でも、私が期待していたのは「いや~、これはキャンペーンですから、キャンペーン実施主体の携帯電話各社が排出事業者になります。もちろん、産業廃棄物になります」という回答だったのです。環境省がこの解釈で走っているということが確認できれば、コンサルをする上でも重要な参考情報になるはずだったのですが、残念です。え、そりゃ無理ですって?そうかもしれませんねぇ。

■すごい話
つまり、今回のキャンペーンのように、新しい製品を購入する以外のタイミングで(=下取りでない)、消費者が携帯電話を地元のショップに持ち込んだ場合、それは一般廃棄物になるわけです。ショップとしても、それをリサイクルできるところまで運搬するためには、一般廃棄物の収集運搬業者に委託しなければなりません。排出者は消費者なので、自社運搬になりませんし。それか、今回のように市町村にお願いですね。

・下取り品とそうでないものは別車両で運搬??
 したがって、ショップとしては下取りした携帯電話(産業廃棄物)と、そうでない携帯電話(一般廃棄物)を分けて管理することになります。もちろん、産業廃棄物と一般廃棄物の両方の許可を持った車両がなければ、別々の車両で運ぶことになります。ひゃー、馬鹿馬鹿しいですね。
だから、広域認定なのでしょうか。ただ、現時点で携帯電話の広域認定は出ていません。審査中なのでしょうか。

■やって欲しい改正
 産業廃棄物と一般廃棄物の業の区分をなくして、収集運搬業は国が許可を出す、という改正ですね。これで、広域認定なんて不要になり、社会的コストが著しく軽減されます。皆様、どう思われますか?
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消費期限が近い食品の販売方法

2009年06月02日 05時32分36秒 | ニュースクリッピング
セブン―イレブンに排除命令へ、値引き販売制限で…公取委

以下、記事の一部抜粋です。
***********
 コンビニエンスストア最大手「セブン―イレブン・ジャパン」が加盟店に対し、消費期限の近づいた弁当や総菜などの値引き販売を制限したのは、独占禁止法で禁じられている「優越的地位の乱用」に当たるとして、公正取引委員会は同社に、同法違反(不公正な取引方法)で排除措置命令を出す方針を固めた。
***********

ということで、コンビニの店頭での値引き販売は禁止されてきたようです。そういえば、スーパーでは値引き販売が当たり前でしたが、コンビニでは見たことがないですね。しかし、食品廃棄物の削減方法として、値引き販売は素人目にも相当効果的だと思います。実際、食品リサイクル法のいわゆる判断基準省令でもこんなことが言われています。
***************
(食品廃棄物等の発生の抑制)
第三条  食品関連事業者は、食品廃棄物等の発生の抑制を実施するに当たっては、主として次に掲げる措置を講ずるものとする。
一  食品の製造又は加工の過程における原材料の使用の合理化を行うこと。
二  食品の流通の過程における食品の品質管理の高度化その他配送及び保管の方法の改善を行うこと。
三  食品の販売の過程における食品の売れ残りを減少させるための仕入れ及び販売の方法の工夫を行うこと。
四  食品の調理及び食事の提供の過程における調理残さを減少させるための調理方法の改善及び食べ残しを減少させるためのメニューの工夫を行うこと。
五  売れ残り、調理残さその他の食品廃棄物等の発生形態ごとに定期的に発生量を計測し、その変動の状況の把握に努めること。
六  食品の販売を行う食品関連事業者にあっては売れ残りの、食事の提供を行う食品関連事業者にあっては食べ残しの量に関する削減目標を定める等必要に応じ細分化した実施目標を定め、計画的な食品廃棄物等の発生の抑制に努めること。
***************

ここでは、販売の方法の工夫について具体的に規定していませんが、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」では、ちゃんと記載されています。

「~食品卸売業及び食品小売業にあっては、食品の廃棄につながりかねない製品の過剰な仕入れ、売れ残り製品や本来の賞味期限より早期の時点に設定された販売期限を経過した製品の食品製造業者等への安易な返品を抑制するとともに、食品小売業においては、購入者の持ち帰りの時間や鮮度、見映え等を考慮して消費期限の数時間前に商品棚から商品を撤去・廃棄する等の商慣行を見直し、きめ細かな配送や消費期限が近づいている商品の値引き販売等、食品が廃棄物とならないような販売方法を工夫するものとする。」

 このようなことは強制できるものではないのでしょう。しかし、今回のこの措置によって、コンビニ業界全体で値引き販売が広がるとよいですね。リサイクルよりリデュース(発生抑制)ですから。
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日経エコロジーの読者評価

2009年06月01日 05時37分52秒 | 日経エコロジー
 日経BPさんは、毎月読者にアンケートを取って、どの記事がよかったかを調査されています。その調査によると、日経エコロジーの「廃棄物処理法Q&A」でここ1年で役に立った度合いが高かったものは、以下の3回だそうです。

 08年7月号「排出事業者は誰か①使用済み製品の下取り」
 09年3月号「処理委託先のチェック③現地確認をする際の注意点は?」
 09年5月号「処理委託先のチェック④現場を見る際の注意点は(下)」

 やはり、排出事業者が誰かを問うテーマは人気が高いようです。この下取りの記事に反した内容の文書を先日ご紹介したばかりですが。。。
 そういえば、先週は4日連続でセミナーでしたが、頂いたご質問の半分近くがこのテーマに関するものでした。今行われている改正論議で、「建設廃棄物の排出者責任の所在を明確化すべし」という問題が挙げられているとおり、皆さん本当に悩まれています。

 そしてこれは狙い通りでしたが、「処理委託先のチェック」シリーズは評判が高かったようです。実は「処理委託先のチェック」は4回シリーズの予定だったのですが、書き始めたら終わらず、結局5回になってしまったものです。書く側としても色々と物申したいところが多かった、ということですね。もちろん、これでも語りつくしてはいませんが。

■これからは・・・
 現地確認はこのように人気の高い分野でもありますが、これまでは排出事業者を主な対象として支援してきました。しかし、これからは処理業者さんを対象にした現地確認対応やコンプライアンス支援も強化していきたいと考えています。コンセプトは「排出事業者に信頼され、選ばれるためにどうすべきか」です。廃棄物の適正処理・リサイクルを実施するのは処理業者なんですから、本来ここが最も重要と言うべきなのでしょうね。
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