議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

規制改革推進のための第2次答申

2007年12月28日 05時33分57秒 | ニュースクリッピング
規制改革推進のための第2次答申が出ました。

これの(5)生活環境分野で、以下のように記載されています。ちょっと長いですがそのまま引用します。

*p.65より抜粋*****
① 廃棄物・リサイクル分野
ア 中間処理前における廃棄物の選別【平成20 年度措置】
廃棄物処理法においては、廃棄物の選別を行う行為は廃棄物の処理に当たるこ
とから、廃棄物処理業許可を取得した上で行う必要がある。その際、排出事業者
とあらかじめ委託契約において合意していれば、処理業者が収集運搬、処理の段
階で選別した有価物については処理業者の意思で売却することが可能であり、無
価物については、排出事業者が性状ごとに指定した最適な処理業者で処理するこ
とが可能である。
しかしながら現状では、廃棄物処理業者がかかる処理が現行法で可能であると
認識しておらず躊躇する事例もあるため、適正かつ効率的な廃棄物処理及び再生
利用を促す観点から、可能であることを周知するべきである。
************

少し分かりにくかったので、内閣府の方に電話で確認しました。「処理業者が処理の過程で選別して有価物として取り出せたものを売却することができないと思われていることがあるので、それが可能であることを周知させましょう」ということだそうです。それだけの話だそうです。

産業廃棄物の排出事業者として大きく関係しそうな内容はここだけでした。これ以外にも案はあったのですが、事前の環境省とのすり合わせでポシャってしまったそうです。「色々難しいのは分かるのですが、何とかしなければなりませんよね~」ということで電話を切りました。ちょっと拍子抜け+残念でした。

来年は進展があることを期待しましょう。

この他、在宅医療廃棄物の適正処理や広域認定の話、排出権取引に関係する話がありました。

ということで、本年のブログ更新はここまでとしたいと思います。来年はおそらく7日再開になると思います。
本年はどうもありがとうございました、来年もどうぞよろしくお願いします。では、皆様よいお年を。
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様々な事前協議

2007年12月26日 05時43分03秒 | コンサル日誌
 産業廃棄物の排出事業者にとっての事前協議というと、一般に「産業廃棄物の処理委託にあたって都道府県境を越境する場合、持ち込み先の自治体が事前の協議を求める制度」を指しています。しかしこれは廃棄物処理法で定められた制度ではなく、各自治体が独自に定めているもので、その内容はまちまちです。昨日はこれを一覧表にまとめたもののご紹介を簡単にしましたが、今日は事前協議のイロイロをご紹介します。

■協議の主体
 まず、協議を行う主体は、排出事業者の場合だけでなく、処理業者の場合があります。処理業者が排出事業者の代わりに行くのではなく、処理業者が協議することを求められているのです。事前協議の有無を処理業者から聞いているだけの場合は、このような制度があることを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

■47都道府県の越境のみを対象とする場合
 「104自治体を越境する場合」という理解をされていることがありますが、政令で定める市が事前協議を求める場合として、その市が属している県境の越境を対象とし、県内から市内へ持ち込む場合を対象としていないこともあります。

■協議の対象となる処分方法
 やはり、埋立の場合だけ協議を求めているケースがあります。もちろん、処分方法を問わず求めることも多いようです。

■原則持ち込み禁止
 「県内の特殊な処分施設を使う場合はやむをえないが、基本的には県外からの持込を禁止している」なんていうケースがあります。廃棄物処理法の主旨に反した流入規制で、問題があるという指摘もありますが・・・。また、周囲の数県はよいが、それ以外からの持込を禁止していることもあります。

■更新
 いちど協議をしたら、内容が変わらない限りその後何もしなくてよいという場合があります。一方、毎年更新、3年ごと更新、5年ごと更新、処分方法によって違うなど色々あります。

■事前協議の根拠
 条例の場合と、指導要綱の場合があります。さらに指導要綱を作っていない、公開していないという場合もあります。公開してない場合は自治体に直接聞くか、業者さんに教えてもらうことになりますね。

■事前協議がない自治体
 都市部の自治体は、事前協議がない傾向にあります。流入にあたって協議しなさいなどと言える立場ではないから、という説もあります。そもそも越境して流入してくるより流出することが多く、他の自治地体に処理をお願いする立場にありますからね。

以上、思いつくままに書きましたが、何しろいろんなタイプがあります。他にも取り上げるべき視点があるのですが、きりがないのでこの辺で。もう少し統一してもらえると嬉しいんですけどね~。
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自治体の事前協議の一覧表

2007年12月25日 05時09分37秒 | 余談コーナー
 アミタで自治体の事前協議の有無やその内容をまとめた一覧表を販売しています。条例や要綱を確認し、直接自治体に電話して内容を確認しています。要綱が公表されていない所もありますから、直接確認は必須です。
 今年は条例がなくなったり、要綱が条例になったりしたところがあるなど、変化が少しありました。内容は今月更新したばかりです。ご興味あるかたは、簡単な問い合わせならこのメールアドレスか、アミタのソリューション課までお問い合わせください。
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外部の専門家としての一言が社員へ与える影響

2007年12月21日 05時37分54秒 | コンサル日誌
 お客様がセミナーに期待されることのひとつとして、「外部の専門家からの指摘による社員への影響」をあげることができます。
 本社の環境部の方がいくら指摘しても、社内の人間はそれを真に受けず、テキトーに流しているので困っていることがよくあるようです。そこを外部の専門家が、「それはダメです!!」とはっきり指摘することで、その方に「ちゃんとやらないといけないんだ」と思ってもらいたいようなのです。外圧のひとつですね。それにセミナーであれば、沢山の方に一度に影響を与えることができるのもポイントです。

 つい最近のセミナーでも、「先生にあそこで断言してもらったのが、とてもよかったです」ととても喜ばれました。特に質疑応答でこれができると、効果が大きいようです。セミナー本編より、質疑応答のほうが参加者の方はよく聞かれていますしね。
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今日は九州でセミナーです

2007年12月20日 00時40分27秒 | コンサル日誌
 今日は九州で処理業者さん向けの研修を行います(今は現地近くのホテルにいます)。研修は3時間のプログラムを午前と午後で2回行います。参加者は合計80名あまり、大変な熱の入れようです。

 最近は、排出事業者のコンプライアンス面での要望が強いためもあってか、処理業者さんからのセミナー・コンサルの要望が増えてきつつあります。今日のセミナーで処理業者さんの更なるレベルアップに役立てればと思います。

 ただ、3時間のセミナーだけでは、実務面での改善に結びつけるのは難しいでしょう。今後直接コンサルティングをしていく必要があるかもしれません。
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三者契約

2007年12月19日 05時56分48秒 | 日経エコロジー
 今月の日経エコロジー(1月号)ですが、三者契約は問題ないという記事について、日経へも質問があったり、アミタに直接質問があったり、EICネットでも投稿があったり、なかなか話題となっているようです。そろそろ説明しなければなりませんね。

 そもそも、廃棄物処理法12条第3項では、「事業者はその産業廃棄物の運搬については産業廃棄物収集運搬業者、処分については産業廃棄物処分業者にそれぞれ委託しなければならない。(以上抜粋)」とされています。

 ポイントは、「それぞれ」です。

 収集運搬業者、処分業者のそれぞれと処理方法、契約内容を確認、合意の上、委託契約する必要があります。

 やってはいけないことは、「運搬についても処分についても収集運搬業者に委託」することです。

 下記通知が参考となります。
******************
【産業廃棄物の運搬、処分等の委託及び再委託の基準に係る廃棄物の処理及び清掃に関する法律適用上の疑義について】平成6年2月17日 衛産20

 問16 排出事業者が産業廃棄物処分業者Aと直接接触してAの能力等を確認することなく、産業廃棄物収集運搬業者Bの説明を聞いたのみで、AとBを契約相手とする、いわゆる三者契約を締結することは委託基準に反すると考えるがどうか。
 答 お見込みのとおり。
******************

 三者契約は禁止であるという説は、この通知がその起源であると思われます。このため廃棄物処理法で三者契約というと、この契約形態を指すことが多いようです。でもこれはいわば廃棄物処理法の世界での狭義の三者契約で、普通に三者契約というと、契約書に当事者が三者いる場合を指します。

 このような契約を禁止するために、廃棄物処理法の指導方法としては、「二者間契約」や「直接契約」という説明がされることがあります。つまり、「運搬と処分が同じ会社でない限りは、運搬と処分は別の契約書面を作成すること」ということです。

 では、この指導方法は本当に効果があるのでしょうか。例えば、運搬業者が排出事業者と契約を締結するときのやり取りを見てみましょう。

=========
運搬業者A:「では、運搬の契約書がこちらで、処分の契約書がこちらです」
排出事業者C:「へぇ~この業者さんで処分するんですね」
運搬業者A:「そうです、ちゃんと許可がある業者ですよ」
排出事業者C:「じゃぁ、安心なんですね。ちなみに、なんで契約書は分かれているんですか?」
運搬業者A:「廃棄物処理法でそうなっているんです」
排出事業者C:「なんでですか?」
運搬業者A:「理由はよくわかんないんですが、廃棄物処理法で三者契約は駄目と書かれていますので。」
排出事業者C:「ふ~ん、まぁ廃棄物処理法のことはよく分からないのでお任せしますね。」
=========

 「三者契約は駄目」と指導しても、その主旨ではなく言葉だけが一人歩きして、関係者の誤解を招くだけです。とりあえずの指導方法として、悪くない方法だったかもしれませんが、この記事があちこちで話題となっているということ自体が、業界全体がこの法律、通知を誤解、、、というより理解していないことの何よりの証拠です。

 問題は書面が2つに分かれているか、一緒になっているか、ということではないのです。それよりも契約に至るまでのプロセスのほうが重要です。処分業者がどんな業者で、どういった処理をしてくれるのか、きちんと説明を聞いて、できれば現場を確認した上で契約するようにしてください。
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マニフェストの保存期間_答え

2007年12月18日 05時13分10秒 | コンサル日誌
昨日の問題の答えです。


Q1:マニフェストは「いつから」「どれくらいの期間」保存しなければならないのでしょうか。

A1:返送されてから5年間保存しなければならない。

それぞれB2,D,E票は戻ってきてから5年間保存です。ですから、B2,D,E票の返送日がバラバラであれば、保存期間も厳密にはバラバラとなります。

**法第12条の3第5項**********
管理票交付者は、前三項又は第十二条の五第五項の規定による管理票の写しの送付を受けたときは、当該運搬又は処分が終了したことを当該管理票の写しにより確認し、かつ、当該管理票の写しを当該送付を受けた日から環境省令で定める期間保存しなければならない。
********************

5年保存の期間については、施行規則第8条の26にあります。

Q2:来年から始まる交付等状況報告書ですが、これは「いつから」「どれくらいの期間」保存しなければならないのでしょうか。

A2:保存については定められていない。

これについては何も規定がありません。保存しなくてもよいということになりますが、それこそ5年くらいは取っておいたほうがよいでしょうね。

**法第12条の3第6項**********
管理票交付者は、環境省令で定めるところにより、当該管理票に関する報告書を作成し、これを都道府県知事に提出しなければならない。
********************

**規則第8条の27************
法第十二条の三第六項 の規定による管理票に関する報告書は、産業廃棄物を排出する事業場(同一の都道府県(令第二十七条 に規定する市にあつては、市)の区域内に設置が短期間であり、又は所在地が一定しない事業場が二以上ある場合には、当該二以上の事業場を一の事業場とする。)ごとに、毎年六月三十日までに、その年の三月三十一日以前の一年間において交付した管理票の交付等の状況に関し、様式第三号により作成し、当該事業場の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとする。
********************
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マニフェストの保存期間

2007年12月17日 05時45分18秒 | コンサル日誌
先日の「5年保管しなくてよいマニフェスト」がちょっと反応がよかったので、またマニフェストネタです。

では問題です。

Q1:マニフェストは「いつから」「どれくらいの期間」保存しなければならないのでしょうか。

 う~ん、コレは条文を見れば簡単ですね。是非条文にあたってください。さらに、

Q2:来年から始まる交付等状況報告書ですが、これは「いつから」「どれくらいの期間」保存しなければならないのでしょうか。

答えはまた明日。
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メールによる問い合わせ・ご連絡について

2007年12月13日 05時08分08秒 | はじめての方へ
 「議論de廃棄物」をご訪問いただいた方々へ

 これまで本ブログについての問い合わせは、記事のコメント欄での受付の他、公開しにくい個別具体的な問い合わせやご依頼については、以下のメールアドレスで受付をすることとしました。

 ただし、時間的制約、勤務先との競業避止義務に抵触する恐れ等により無料でのお問い合わせの対応ができないこともあります。その場合ご了承のうえ、堀口の勤務先の「ヴェオリア」への問い合わせ、ご依頼という形をとらせていただくこともあります。
 なお、頂いた個人情報は、私からのご連絡とご相談対応のために使用するものとし、無断で第三者に提供することはありません。

■メールアドレス
 jizokukanou@gmail.com

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議論de廃棄物/堀口
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昨日は富士山の麓へ行きました

2007年12月12日 05時44分50秒 | コンサル日誌
 昨日も含め、この2ヶ月で富士山の近くに3回ほど出かける機会がありました。ところが近くまで行っても、富士山を一度も見ていないんですよね。昨日も麓まで行ったのですが、天候が悪く何も見えませんでした。ちょっと残念。

 昨日はある業界団体の集まりにコンサルとして参加しました。誰もが知っている超優良企業の環境部の方が揃っていたのですが、おかげさまで皆さんこのブログのことをご存知だったようでした。

 非常にレベルの高い方が多かったのですが、皆さんやはり同じような悩みを抱えているようでした(ここでは内容には触れませんが・・)。法解釈が難しく、実際には"だいたい"でやってきた業界(他の業界も似たり寄ったりのようですが)ですが、法令順守を徹底するという世間の流れを受けて、現場は本当に困っています。

 オフ会では、「他の方(業種)が困っていること」の共有もできたらいいな~と思っています。解決策のディスカッションはあまり時間が取れないかもしれませんが、「みんな同じように悩んでいるんだ」ということが分かるだけでも、一歩前進なのではないかと考えています。
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