議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

困った事件

2008年09月30日 08時37分54秒 | ニュースクリッピング
 昨日少々体調不良で、今朝はゆっくり起きました。ということで、今日は軽~く最近の困った事件を幾つかご紹介します。

三重県、松下電工旧工場に立ち入り調査=廃棄物の違法処理で
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200809/2008092600497

東横イン関連会社社長ら逮捕=不法投棄で硫化水素発生-島根県警
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008091800453


廃棄物処理法違反のタマホームと社員に有罪判決
http://wbs-news.net/article/11569765.html
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一般廃棄物の広域認定

2008年09月29日 05時37分11秒 | ニュースクリッピング
 古い話で申し訳ないのですが、一般廃棄物の広域認定として、コピー機、プリンタ、携帯電話が加わります(化学工業日報8/21)。こちらが関連するパブリックコメント(締め切っちゃってます)です。
 ご紹介が遅くなったのは、「環境省にちょっと確認をしてから」と思っていたのが、環境省の担当者と連絡が取れずにズルズルときてしまったからです。

■一般廃棄物の広域認定の告示
 さて、一般廃棄物の広域認定の告示を受けるには、これまで市町村から適正処理困難物(適困物)とされて、処理ができないという声が上がっていることが事実上の条件となっていました。しかし、先の家庭系PCリサイクルの指定を皮切りに、今回の一連の指定を見る限り、どうも様子が変わってきたようです。PCや携帯電話は、処理困難物ではないはずだからです。これについて環境省に確認をしたところ「別に基準は変わっていない」とのことでした。曰く、
*****
製造、加工又は販売の事業を行う者が処理を行うことにより、当該廃棄物の減量その他その適正な処理が確保されるもの
*****
というのが明文化された基準で、そこは変わっていないということです。そうはいっても、我々としては、運用・解釈が変わったんだな、と受け取るべきでしょう。まぁ、よい変化であることは確かです。
 さらに、「メーカーが回収の要望を出してくれば、市町村の要望がなくても検討する」とのこと。これも以前とスタンスは変わっていない、ということなのでしょうが・・・。

 そこで、
「でも、結局は全都清との調整とかは入るんですよね」
と確認したところ
「それは、そんなこともあり得るでしょうね」
とのことでした。そりゃ、そんな答えになるんでしょうね。

 ということで、消費者から回収した一般廃棄物と思われる廃棄物でも、メーカー、おそらくはできれば業界として回収したいのであれば、交渉の余地アリ、ということのようです。

■総合判断説
 もうひとつ確認したのは、
「そもそも、携帯電話の回収って、あれは廃棄物の回収だったんですか?」という点。使用済みのインクカートリッジも同様ですが、あれほど昔から大々的に堂々と回収していたのに、いまさら何故なんでしょうか。環境省としては、消費者が使った後のものなので、あれはやはり廃棄物ということだそうです。「環境省が総合判断した!」ということなのでしょう。放っておいてくれれば良かったのですが。

 おかげで今後はメーカーによる“有用物”の回収がしにくくなるかもしれません。

 ということで、現時点で携帯電話やインクカートリッジを回収すると、廃棄物処理法違反ということになるのでしょう。無許可営業で5年以下の懲役1000万円以下の罰金、法人は1億円の罰金の対象です。もちろん、目をつぶってくれるのでしょうが。ただし、消費者が委託する分には委託基準の適用はないので、こちらは違反になりません。

 ちなみに本件、環境省に電話でしたところ担当者がいないということで、質問を伝言していただき、後日改めて回答いただきました。したがって、ほぼ公式見解と考えて良いかと思います。
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夏休みです

2008年09月23日 14時26分50秒 | 余談コーナー
今週は、水~金までお休みをきますので、ブログの更新はお休みです。
また来週月曜から再開しますので、宜しくお願いします。
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テナントの廃棄物

2008年09月22日 07時10分50秒 | ウィークリー・トピックス
 先週は、合計で470名ほどの方々の前で講演をする機会に恵まれました。さすがに最後の日は帰宅してからどっと疲れが出ましたが。

 そのうちの2日間は、「テナントが店子としてビルに入っている場合の産業廃棄物の処理委託契約の仕方」について触れました。各テナントは独自で収集運搬、処分業者と契約を結ばなければならないという、あの話です。ご存じない方は、こちらをご覧ください。→産業廃棄物管理票制度の運用について(通知) 平成13年3月23日 環廃産116号
 念のため、最後に該当部分を引用しました。

 実はこのテーマは、ほんの1ページの“参考情報”程度の扱いだったのですが、2日間ともこの部分について同じ質問を受けました。参加者全員が聞いている、質疑応答の時間でです。曰く「ビル管理会社が契約を結んでいれば、テナントは契約は不要なんですよね」というものです。しかし通知を読めば一目瞭然、テナントは独自で契約が必要です。
 そんなのおかしいじゃないか、という反論をされたのですが、一応環境省の立場で回答をしました。しかも講演後にこっそり「ウチやってないんですけど・・・」と相談に来られた方もいました。「まずいですね~、でも、実はほとんどの会社がやっていないんですよ」とこっそり(?)教えてあげました。それにしてもこの規定、現実的ではないんですよね。知られていない、守られていない規定は、そのまま放置しておくと環境省としてもよくないはずです。何かあったときに事業者だけでなく環境省も糾弾されかねませんからね。

以下、一応引用
**********
管理票の交付については、例えば農業協同組合、農業用廃プラスチック類の適正な処理の確保を目的とした協議会又は当該協議会を構成する市町村が農業者の排出する廃プラスチック類の集荷場所を提供する場合、ビルの管理者等が当該ビルの賃借人の産業廃棄物の集荷場所を提供する場合、自動車のディーラーが顧客である事業者の排出した使用済み自動車の集荷場所を提供する場合のように、産業廃棄物を運搬受託者に引き渡すまでの集荷場所を事業者に提供しているという実態がある場合であって、当該産業廃棄物が適正に回収・処理されるシステムが確立している場合には、事業者の依頼を受けて、当該集荷場所の提供者が自らの名義において管理票の交付等の事務を行っても差し支えないこと。なお、この場合においても、処理責任は個々の事業者にあり、産業廃棄物の処理に係る委託契約は、事業者の名義において別途行わなければならないこと。
**********
コメント (7)
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リビアがベーシックインカム導入??

2008年09月19日 06時00分23秒 | ベーシックインカム
 独裁者であるということは、裏を返すと実行力があるということなのでしょう。カダフィ大佐のリビアで、もしかするとベーシックインカム制度に似た(同じ?)制度が始まる可能性があります。たまに購読しているクーリエジャポンという雑誌の「“お騒がせ”カダフィ大佐による究極の「省庁再編」計画」に掲載されています。

 曰く、「無能な政府のサービスにはウンザリした。そこで、政府の予算を国民に振り分け、国民が(民間の)サービスも選択できるようにする。そうすれば、適正な競争に基づくサービスが提供されるだろう」という考えのようです。確か松下幸之助も似たような感じのことを言っていたような気がします。教育バウチャーを全領域に広げたような感じです。
 ベーシックインカムは、社会保障以外の政府のサービスは変わりません。しかしこのリビアの制度は、教育、医療、それとおそらく上下水道などの公共インフラについての政府の予算を、国民が代わりに受け取るという形です。国民にとっては選択肢が増えますが、そのサービスを購入することになるので収入が増えるわけではありません。社会保障やその他の予算がどうなるのか詳細が分からないので、なんともいえませんがベーシックインカムとは少し違うような気もします。

 ただ、政府のサービスのあり方に一石を投じるものとして興味深い取組みです。究極の小さな政府ともいえるかもしれませんね。無駄な外郭団体などは、市場原理によってなくなるでしょうから。ただ、これでなくなってしまう団体でも、必要な組織、サービスはあるかもしれません。ここをどう選別するのかは、やはり難しいところなのでしょう。
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荏原さんのCSR報告書

2008年09月18日 05時59分00秒 | 余談コーナー
 荏原製作所さんのCSRレポートに、昨年実施したセミナーが紹介されています。こちらの報告書の「45 環境教育、環境法規制遵守」というところです。

 それにしても、今の時期CSRレポートなどがあちこちの企業から送られてきます。皆さん口々に「大変だった」とおっしゃっていますが、本当にお疲れ様でした。まだあんまり読めていませんが。。。

 今日はこれから大阪日帰りです。今週は大型の講演が多く、総計400名程度の方の前で話すことになりそうです。行ってきます。
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収集運搬業者の現地確認

2008年09月17日 05時40分16秒 | はみ出しアドバイス
 「はみ出しアドバイス」というカテゴリーを追加しました。アミタの「おしえて!アミタさん」というサイトでまとめているQ&Aを参照しつつ、そこにないアドバイスをこのブログで展開するという試みです。カテゴリー名は、Q&A集からも「はみ出した(載せられない??)」アドバイス、という意味です。

 このブログは、読者の方がある程度の基礎知識を持っている前提で話を進めて来ました。しかし、そうは言っても基礎知識についても触れるべきだろう、という意図もあります。

 ということで、今回は収集運搬業者の現地確認についてです(基礎知識じゃないかも・・・)。
アミタのサイトではこんな説明です。よくまとまってはいますね。

■はみ出しアドバイス
他に考えられるポイントは、
・本当に契約、マニフェストで指定したところに運ばれているかをチェックする(後ろをこっそり追尾する)。
・積替え保管の許可がない場合でも、駐車場や事務所を覗いてみる。実は廃棄物が置いてあるかもしれません。
車両表示や書面携帯のチェックもお忘れなく
・洗車場と、そこからの排水管理を確認。何しろ、廃棄物の運搬車両を洗うんですから、それなりの配慮が必要です。
・マニフェストの管理担当者がいたら管理方法についてヒアリングしてみます。事前に聞いている説明と違うかもしれません。

といったところでしょうか。他にも皆さんで注意されている点があれば、是非教えてください。
◆◇お知らせ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
10月1日に「廃棄物管理の法と実務 お困りごと相談会」を実施します
10月10日にオフ会を実施します
ふるってご参加ください!!
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福島県産業廃棄物適正処理担当者研修会

2008年09月16日 05時49分43秒 | ウィークリー・トピックス
 先週はセミナーの打合せを2件と、それとは全く別のセミナーを2件行いました。打合せをした2件のセミナーは、いずれも個別企業向けの研修で、廃棄物処理法だけでなく、他の環境関連の法律も概観したものをご要望でした。このブログでも何度か言っていますが、最近の傾向として「多くの方に廃棄物処理法をしっかり知っていただきたい」というニーズに加えて、「その他の環境問題についても知っておいて欲しい」という要望が増えてきているような気がします。企業内における環境問題についての問題意識が、いよいよ高まってきたのかもしれません。

■参加費無料のセミナーについて
 一方、先週おこなったセミナーはいずれも公開形式のもので、廃棄物処理法に絞ったものでした。そのうちのひとつが、福島県で行った「福島県産業廃棄物適正処理担当者研修会」というものです。日本環境衛生センターで先月29日に行ったものと同様の内容で実施しました。これは県内の排出事業者に対して無料で行われるものでした(私はちゃんと頂いてます、念のため)。

 セミナーでの反応、質問の数を見る限り、無料のセミナーは余り参加者の意欲が高くないようでした。今回のセミナーに限らず、一般的傾向としてそう感じます。

■社会的意義の高いセミナーは?
 では、みなさんはどちらのセミナーのほうが社会的意義が高いと思われますか?「参加者の意欲が高いほうが、意義が高い」と思われますか?私はそう単純ではないと思います。
 「意欲が低い」→「そんな方ほど参加して欲しい」→「そんな方ほど料金が高いと参加しない」のだと思います。であれば「料金を安く(無料に)する」→「それなら参加する」→「ある程度の意欲は持っている方が来る」とできれば、意味はあると思います。たとえその場で積極的に質問が来なくても、問題意識を持って、少しでも正しい知識を身につけて帰っていただければ、とりあえずは成功だと思っています。

 問題は、無料のセミナーにも参加しない方をどうするかです。これは難題ですね。。。何か良いアイデアがあれば、教えてください。
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保険と貯蓄と、給付のタイムラグ

2008年09月12日 05時58分51秒 | ベーシックインカム
■いろんな保険
 健康保険、介護保険、失業保険は、読んで字のごとく保険です。だから、加入していないこともあります。保険の適用は受けないほうがもちろん良いはずですが、モラルハザードが起こり得ます。それに制度がややこしく、支払い漏れがあるかもしれません。

■貯蓄的な年金
 一方年金は、貯蓄に近いでしょう。現在の負担で現在の給付をしているので、厳密に言うと貯蓄ではないかもしれませんが、現在の負担で将来の給付額が決まるので、貯蓄に似ています。しかし、払った額よりもらえる額が少ない(世代間格差)という話もありますが、そんな貯蓄ってありませんよね。払わない人が出てくるのは当然です。

■ベーシックインカム
 ベーシックインカムは、保険ではなく、全員に給付されます。給付額の計算は単純なので払い忘れは少なくなるはずです。また、負担と給付のタイムラグが事実上ありませんので、世代間の不公平感も解消されるでしょう。つまり、「みんなが、みんなの今のために、助け合いをしている」ことになります。発想がシンプルですよね。
 また、財源が税金ですので払わない、加入しないということはなくなります。民主党が言うように、年金の財源を全額税金とすれば同じ話になりますが。財源を消費税でやったら、これまた比較的計算が簡単ですし、脱税は減るはずです。

■抜本的に考え直す
 なんてコトを考えていると、健康保険も失業保険も年金も、「きめ細かく制度設計している」のかもしれませんが、かえってそれが歪みを招いているような気がします。小手先の対策や調整ではない、「そもそも論」から考える抜本解決が必要なのではないでしょうか。廃棄物処理法も同じですね。
 でも、どの分野ももう少し行き詰まらないと、動かないような気がします。その時のためにも、今からよくよく議論しておきたいですね。
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未必の故意で不法投棄の共犯

2008年09月11日 06時05分13秒 | ニュースクリッピング
■不法投棄されても刑罰はない
セミナーでは、「排出事業者は、処理業者が不法投棄しても刑罰には問われませんが、行政処分を受ける可能性があります」と説明しています。この行政処分は、19条の5か、19条の6に該当した場合に受けることになります。それぞれ、委託基準やマニフェストの管理義務違反と、注意義務違反(不適正処理されることを知りつつ委託、適正料金を払っていないなど)の場合です。
刑罰がないからと言って安心している方はいないと思いますが、以下のような事例があるので、注意してください。

■共犯扱い
未必(みひつ)の故意って、ご存知でしょうか。ある行為の結果、犯罪につながる可能性があることが分かっていながら、「そうなっても別にい~や」、ということでその行為に及ぶことです。
このページにも説明があります。

排出事業者が、「不法投棄されそうだな~、でもいいか」ということで処理委託した場合、不法投棄の共犯者として罰を受けたという最高裁判決があります(資料がすぐに見つかりません、おってご紹介します←“ふつうのおじさん”様からリンク先をご紹介いただきました。)。つまり、処理業者に不法投棄されちゃった、というのでは罰則はありませんが、共犯だと判断されたら罰則を受けるかもしれないということです。前科持ちになっちゃいます。

もちろんこんなケースでは、当然19条の6の注意義務違反を問われそうですね。しかしこっちはあくまで行政処分の話なので、前科とかにはなりません。
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