議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

熊本清掃社の件

2019年04月26日 10時47分25秒 | 廃棄物事件簿
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皆さんこんにちは。

ご存知の方も多いと思いますが、熊本清掃社の汚水排出事件では、
刑事処分が出る前に許可の取り消しがされました。

いわゆる欠格要件では、法人や役員の環境関連法違反について
有罪判決が確定すると義務的に許可取り消しとなりますが、今回は
それを待たずに、法第7条第5項第4号トの「おそれ条項」により
「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると
 認めるに足りる相当の理由がある者」
であるとして、産業廃棄物処理業、一般廃棄物処理業の許可が
取消となりました。

おそれがあるかどうかについては、定量判断できる基準がなく、
義務的な取消ではないため、私のセミナーでは、これを欠格要件とは
扱っていません。

“おそれ”があるとした理由は、
 「株式会社熊本清掃社及び元役員が水質汚濁防止法違反
 の疑いで逮捕、起訴された事実と、繰り返し排水基準を超
 過したことによる行政庁の指導の累積があった」
からだそうです。

名古屋市の行政処分資料はこちら


これは、実際には許可事務通知にある「おそれ条項」の解説にのっとった
ものと思われます。


ということで、有罪判決が確定する前に許可が取消になる
可能性はあります。義務的取り消しはもちろん怖いですが、
特に最近は行政処分が厳しくなってきていますので、委託者も、
許可業者もそのつもりでいたほうが良いでしょう。

判決がなくても、この表の違反があれば、行政処分を出すことに
なっていますので。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3等に係る
 法定受託事務に関する処理基準について



●問題は、、、
ビーフカツ横流し事件がそうであったように、この業者も廃棄物処理法の
優良認定と食品リサイクル法の登録再生利用事業者でした。
それにもかかわらず、このような違反を防げなかったということです。

どうやら、繰り返し指導があったようですが、行政指導の状況は一般には
公表されませんので、排出事業者は知る由もありません。

しかも、その業者が夜間や大雨の時に意図的に汚水を排出する
マニュアルまで作成していたのであれば、排出事業者が独自でそれを
見抜くのは至難の業です。

結局、下記の2つは処理業者評価の重要な判断基準になると
いうべきなのでしょう。
①コンプライアンスに厳しい企業文化が感じられること
 →見えないところでも違反をしない
②苦し紛れに違反する恐れがない健全な財務状態にあること
 →財政的に追い込まれていない

②は一般に知られている基準です。
①は、定量基準とは言い難く、判断基準としてそれほど普及は
していません。
あくまで、言動の端々に感じられるか、という感覚的なものです。

しかし、儲かっているのに、こっそり違反してさらに儲けようとする
会社が世間に沢山あることを踏まえると、コンプライアンス意識の
高さは重要なポイントだと思います。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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サボりにサボっていましたが、平成最後の配信です。

私は普段西暦しか使いませんし、和暦など日本国内だけに通じる人工的な
“何か”、でしかないとは思うのですが、日本人の多くが時代の区切りだと
思うのであれば、やはり何かが変わっていくきっかけになるかもしれません。

令和という元号から、思わず連想するのですが、
 冷え冷えとした、空気ばかり読む、同質化圧力がやたら強く
 “和”を強制されるような、変革を恐れる、緩慢に滅びゆく社会
にならないように、
言うべきこと、すべきことから逃げない、責任ある行動をとるように
心して生きたいと思います。
コメント

廃棄物処理法改正セミナーをやります

2018年01月29日 11時29分53秒 | 廃棄物事件簿
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こんにちは

私の勤務先のメジャーヴィーナス・ジャパンで、廃棄物処理法改正の
解説をするセミナーを開催しますので、そのお知らせです。

「かゆいところに手が届く 廃棄物処理法 虎の巻」の2017年改訂版の
出版記念を兼ね、4月に施行する廃棄物処理法改正と昨年10月施行の
水銀廃棄物について解説します。
もちろん、著者でもある私がメインスピーカーです。

また、「虎の巻」の出版元の、日経エコロジーの田中編集長からも、
ご挨拶いただきます。

<第1回 MVJ“わかる 学べる”エコセミナー>
 テーマ:廃棄物処理法改正

■日時:2月28日(金)14時~17時 
■場所:TKP秋葉原カンファレンスセンター
 https://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/cc-akihabara/access/
■内容抜粋:「虎の巻」改定内容について
      廃棄物処理法改正(水銀含む)
      廃棄物リスク 他
■参加費用:無料

とってもお得なセミナーです。
是非ご参加ください。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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「はれのひ」の破綻の件、先にお金をもらって、後でサービス提供するって
産廃業界とよく似てます。

もちろん、サービス内容が、思い出につながる大切なもので、
そのタイミングを逃したら意味がない、というところが大きく
違いますが。
コメント (1)

食品廃棄物の不正転売防止に関する立入検査マニュアル

2017年01月24日 08時52分47秒 | 廃棄物事件簿
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一部の産業廃棄物協会くらいでしか紹介されていないようですので、
取り上げたいと思います。
もう少し注目されてもよさそうなもんですが・・・。

環境省HPで出ていないので、鳥取産廃協にリンクします。

食品廃棄物の不正転売防止に関する産業廃棄物処理業者等への
立入検査マニュアル


個人的には、p.4の
 「食品廃棄物の形態としては、冷凍食品やレトルト食品のような、
 原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物である
 動植物性残さ」
という謎の日本語が気になります。

何故こうなったのか、お分かりでしょうか。

動植物性残さは、施行令第2条で
 「食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において
 原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物」
と定義されています。

この表現にのっとっているのですが、冷凍食品やレトルト食品って
原料として使用するのでしょうか?それも、食品製造業で。
そんなわけありません。冷凍食品は、原料ではなく、製品でしょう。

ここで“冷凍食品”とは、ダイコー事件で横流しされたビーフカツを
指していると思われますが、事件では産業廃棄物として扱われて
いました。

しかし、定義をしっかり読めば、一度冷凍食品として完成したものは、
「食品製造業で原料として使用した」ものには、もはや該当しえない
ことは明らかです。
該当するとしたら、ビーフカツの原料として使用した、牛肉や小麦粉
などでしょう。つまり、横流しされたビーフカツは、そもそも
一般廃棄物として処理委託すべきだったのです。ただ、実態としては
この手の物は産業廃棄物扱いになっているケースがほとんどですから、
「実は一般廃棄物です。市町村に処理責任があります」
なんて話にしてしまうと、全国の市町村が困るので、産業廃棄物説を
保持したかったのでしょう。

ということで、意味不明な日本語になってしまったのだと思います。
とりあえずは苦肉の策で良しとしますが、どこかの段階でこの施行令の
文言を修正してほしいと思います。

例えば、他に習って
 「食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業に係る動物又は植物に
 係る固形状の不要物」
とかです。
“係る”がダブルのが気になりますが。。。

他に気になったのは、

 「事前連絡なしで立入するべき」

と書かれているすぐ後で、

 「立入検査者は、事業場等の管理に責任を有する者及び技術管理者を
 立ち会わせて、立入検査等を行うこと」

と書かれている所です。事前連絡なして立入に行ったところ、
責任者か技術管理者のどちらかが外出中だったら、出直すのでしょうか。。。

ということで、ところどころ疑問がもありますが、立入に使える様々な
要素がたくさん盛り込まれています。
驚くべき内容ではないですが、備忘録としてはよいものだと思います。
ただし、量が多すぎて、これをすべてやろうとすると、行政とはいえ
大変でしょう(このマニュアルは立入検査をする自治体のためのものです)。

もちろん、排出事業者としても参考にはなりますが、全部はできない
と思いますので、そのつもりでご覧ください。

ちなみに、全国産業廃棄物連合会では、排出事業者向けに
廃棄食品 実地確認チェックリスト」を出しています。こちらの方が
一応現実的でしょうか。

でも、全ての排出事業者がすべからくこのチェックをするとなると、
ナンセンスですね。誰かが代表して実施すべきでしょう。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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豊洲で環境基準の79倍のベンゼン。当初の予定通り昨年11月に移転
しなくてよかったです。

建物の地下水ですから、害を及ぼすことは到底ありえないと思うのですが、
これまでの経緯からして東京都という組織がどこかで害を及ぼしそう、
安心できない、という懸念が生じるのも無理からぬこと。

しっかりと説明しつくして、納得してもらって、最終的には予定通り
豊洲移転するのがよいと思います。
コメント

ビーフカツ横流し事件の排出事業者責任について

2016年02月04日 13時32分08秒 | 廃棄物事件簿
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廃棄食品を処理業者に横流しされてしまった場合に、
排出事業者は廃棄物処理法違反に問われるのかという
ご質問をいくつも頂いていますので、解説したいと思います。

■処理委託時に気を付けること
排出事業者は、産業廃棄物の処理委託をする際には、
①委託基準と②マニフェストの他、不法投棄などがあった場合に
受ける可能性がある③措置命令(行政処分)に気を付けなければ
なりません。

■ケース設定
それでは、
「処理委託したものが、横流しされてしまった」
という場合で、不法投棄のような環境への悪影響は発生していない
ものとします。

まず、委託基準(契約書作成)とマニフェスト等の基本的な違反は
なかったものとします。

①委託基準=シロ
②マニフェスト=シロ

しかし、処理業者のホームページを確認せず、条例で義務化されているのに
現地確認もやっていないとしましょう。しかも、処理費はやたら安い。
これは、注意義務違反を問われて③措置命令を受ける可能性はあります。
詳しくは、「行政処分の指針について」のp.29の「第9」をご覧ください。


さて問題は、そもそも横流しが③措置命令(行政処分)の対象になるかどうか
です。

■措置命令の発出の条件
措置命令発出には、「違反+生活環境への支障」のセットが条件です。

「委託基準違反」(法第19条の5)
「マニフェスト違反」(法第19条の5)
「注意義務違反」(法第19条の6)

のどれかに該当していることと、
さらに、

「生活環境の保全上の支障」

が発生しているか、その恐れがある場合に措置命令が出ます。

■措置命令の可能性は?
今回のケースは、委託基準とマニフェストは大丈夫だけど、注意義務違反に
引っかかるかも、とご心配かもしれませんが、大丈夫。

横流しでは、生活環境に支障は発生しません。
(食品の安全や衛生は、生活環境とは違います)

従って、③措置命令(行政処分)を受ける可能性は全くありません。

つまり、今回の事件では、排出事業者は廃棄物処理法上は何の罰則も、
行政処分も受けることはありません。
しかし、今回は、横流しということで生活環境に支障は生じませんが、
もちろん、これが不適正処理なら支障が生じますので、誤解なきよう。

■リスクマネジメントの問題
今回の事件は、廃棄物処理の問題というより、リスクマネジメントの問題です。
普通の産廃ではないのですから、普段の処理委託と同等の管理ではダメなのです。

ダイコーについては、横流ししたのに、処分したとしてマニフェスト報告をした
(虚偽記載)ことで捜索を受けていますが、そっちは本丸ではないでしょう。
実際、警察は不正競争防止法違反の方向で動いています。

では、排出事業者には責任はないのか?
確かに、マニフェストの虚偽報告があったのに措置内容等報告書の提出を
していなかったのですが、虚偽だったなんて分かりっこありませんから、
そこは違反とは考えません。

したがって、法的には責任を問えないかもしれません。
被害者といえば、被害者ですしねー。
もちろん、実は担当者は横流しされることを気付いていた、というのであれば
共犯になるかもしれませんが、仮にそうだとしても立証は難しいでしょう。

違反は問われなくても、ブランドリスクではあったはずです。
マニフェストは、何もないよりマシ、という程度のものだと認識すべき
かもしれません。
そうだったとしても、マニフェストに問題があれば突っ込むべきですが、
普通は虚偽記載を見抜くことはできないでしょう。
では、鵜呑みにするのか、ということですが、その都度疑っていたのではキリが
ないです。基本記載は正しい前提でやるしかありません。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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なお、今回のビーフカツは産業廃棄物の動植物性残さという扱いでした。

・施行令第2条第4号(動植物性残さ)
 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として
 使用した
動物又は植物に係る固形状の不要物

厳密に言えば、原料として使用したモノだけが産業廃棄物で、いったん
食料品になったモノが廃棄物になったとしても、産業廃棄物ではありません。
一般廃棄物です。

ダイコーは一般廃棄物の許可を持っていないでしょう。
そうなると、壱番屋は無許可業者への委託になるので、思いっきり
違反(委託基準違反)になります。
もちろん、ダイコーも違反(無許可営業)です。

でも、これの適用はできないでしょう。

なぜなら、ほとんどの会社で、この手の物は産業廃棄物として
処理しているからです。もし、これを一般廃棄物だとすると、
全国の一般廃棄物処理がひっくり返ります。

はい、この話は聞かなかったことにしてください。
コメント

ビーフカツ横流し事件が業界に与えるプラスの影響

2016年02月01日 12時02分58秒 | 廃棄物事件簿
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ココイチのビーフカツ横流し事件を受けて、業界の評判が
地に落ちたという関係者の嘆きが聞こえてきます。

安倍総理が言っているとおり、築城3年落城1日ということで、
今後色々と仕事がやりにくくなる面は出てくるかもしれません。

しかし、キチンとした仕事をしている処理業者にとっては、
追い風になっているはずです。なぜなら、排出事業者は、処理業界
が信頼できないからといって、廃棄物を処理委託しないわけには
いきません。その代わり、報道でもあるとおり管理に力を入れる
ことになるからです。

例えば、同様に廃棄製品を横流しされたニチレイのプレスリリースは
こんな感じです。
産業廃棄物委託プロセスの見直しについて

つまり、問題がある(ありそうな)業者への仕事がますます細っていく
のです。もしかすると、まともに仕事をしていても、選ぶ側が
「100%の安心ができない」ということで、取引を控える
ことも出てくるかもしれません。処理業者は、これまで以上に上手に
アピールする必要があります。

そして、「どう見てもこの会社は大丈夫だ」という処理業者に仕事
が集中していくはず、です、希望的観測ではありますが。

実際、今回の事件を受けて、処理業者選定方法についての相談や、
代行監査についての問い合わせが沢山来ているところです。

当然、取材の依頼もありました。(都合で私は対応できませんでしたが)

今回の事件が、どれほど大きな影響を及ぼすかは分かりませんが、
処理業界の優良化を進展させる方向にあるのは間違いないと
思います。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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今回の事件での壱番屋の対応のすばやさが評価され、株価を上昇させた
側面もあったようですが、長期的に見て壱番屋にプラスに働くとは
ちょっと思えません。

ダイコーから横流しされていたのは、ニチレイの他にもコンビニ各社
イオン、マルコメの製品がありましたが、この事件は最初に発表した
“ココイチの事件”という印象を植え付けました。あくまで他の会社は
オマケという扱いです。

もし、セブンイレブンが最初に発表していたら、
「セブンの豚バラ蒲焼き横流し事件」
として人々の記憶に残ったことでしょう。

いい話も、悪い話も、1番目が最も目立ちます。
その意味では、壱番屋はアンラッキーだったと言うべきでしょう。
コメント

ビーフカツ横流し業者を環境省が優良認定していた???

2016年01月27日 17時05分48秒 | 廃棄物事件簿
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■ダイコーに優良認定??
三重県から行政指導を受けていたのに、国(環境省・農水省)が
ダイコーに「優良」認定を与えていたという記事が出ています。

<廃棄カツ転売>国がダイコー「優良」認定 県行政指導直後
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160122-00000010-mai-soci

まず誤解があります。
「優良」も「認定」も与えていません。ダイコーが受けていたのは、
食品リサイクル法の再生利用事業者の登録でしかありません。
記事のほうが恣意的な表現にしています。

【登録再生利用事業者一覧表】
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syokuhin/pdf/ichiran.pdf

確かに、ダイコーが登録されています。
環境省は、あわてて?立ち入りをして、取り消しをしようとしていますので、
そのうちこの一覧表から削除されるでしょう。

■経緯としては・・・

まず、ダイコーは三重県で2008年6月に指導を受けました。無許可で堆肥
を製造していたということで、指導を受けて結局やめたそうです。

その2か月後に愛知県の施設で食品リサイクルの登録を受けています。

個人的には、「登録しちゃったのは仕方がないでしょ」と思います。
行政処分でもないですし、別の県であったことです。これをいちいち
三重県が環境省に報告するはずもないですし。

国は登録したら、管轄の自治体(この場合愛知県)に通知することに
なっていますが、愛知県が三重県の指導まで把握していなくても、
仕方ないでしょう。

ということで、記事のように本件について国・環境省を批判する
のは、かわいそうです。

それに、「優良」かどうかは問われていないのです。

参考までに、再生利用者の登録に関する条文です。面倒な方は飛ばしてください。
***************
食品リサイクル法

第十一条  
1 食品循環資源を原材料とする肥料、飼料その他
  第二条第五項第一号の政令で定める製品(以下「特定肥飼料等」
  という。)の製造を業として行う者は、その事業場について、
  主務大臣の登録を受けることができる。

2  前項の登録の申請をしようとする者は、主務省令で定める
  ところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を主務大臣に
  提出しなければならない。

 一  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 二  再生利用事業(特定肥飼料等の製造の事業をいう。以下同じ。)の内容
 三  再生利用事業を行う事業場の名称及び所在地
 四  特定肥飼料等の製造の用に供する施設の種類及び規模
 五  特定肥飼料等を保管する施設及びこれを販売する事業場の所在地
 六  その他主務省令で定める事項

3  主務大臣は、第一項の登録の申請が次の各号のいずれにも適合
  していると認めるときは、その登録をしなければならない。

 一  再生利用事業の内容が、生活環境の保全上支障のないものとして
    主務省令で定める基準に適合するものであること。
 二  前項第四号に掲げる事項が、再生利用事業を効率的に実施するに
    足りるものとして主務省令で定める基準に適合するものであること。
 三  当該申請をした者が、再生利用事業を適確かつ円滑に実施するのに
    十分な経理的基礎を有するものであること。

4~5 省略
6  主務大臣は、第一項の登録をしたとき、又は前項の届出を受理した
   ときは、遅滞なく、その旨を第二項第三号の事業場の所在地を管轄する
   都道府県知事に通知しなければならない。
***************

つまり、再生利用できる施設、事業内容、財務基盤があれば登録しなければ
ならないのです。優良だとか言ってませんし、認定でもないのです。
更新は5年に一回で、毎年現地確認するわけでもないのでしょうから
横流しを見抜けなくても仕方ないのです。

という制度なので、ちょっとあの記事はいただけません。
とはいえ、環境省としても当然放置するわけにも行かないので立入することに
なりました、ということですね。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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■電子マニフェストの評価が下がった?

実は、今回の事件で、電子マニフェストの信頼性が傷ついたという
ポイントを忘れてはいけません。
なにしろ、壱番屋はダイコーから電子マニフェストで「堆肥化終了」
という報告を受けていたのですから。

環境省は、ことあるごとに電子マニフェストで不法投棄を防止すると
言って来ましたが、今回の事件でそのお題目を唱えにくくなりました。

電子化で不法投棄防止ができるなんて、そんなわけないことは、
業界関係者、実務担当者は分かっていたのですが、お役所、ISO審査員
あたりは勘違いしている方が多いのかもしれません。

ということで、
「電子マニフェストでは順法も適正処理も確保できるとは限らない」
のです。

電子マニフェストを導入している排出事業者さん、電子化したからと
言って安心しないでくださいね。
コメント

ビーフカツ横流し問題への環境省の無茶な対応

2016年01月26日 01時01分10秒 | 廃棄物事件簿
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環境省が、全国の都道府県に対して、食品廃棄物を扱う処理業者に
立ち入りをして、その結果を報告するようにという通知を出したそうです。

まぁ、妥当な対策だと思わなくもないのですが、問題はスケジュール
です。

22日にこの通知が出たのですが、29日までに報告させるという計画です。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO96414930S6A120C1000000/

通知を受けてもその日のうちに動けるわけではないので、稼動開始は
早くて次の日の23日って、それ土曜なので、実際は月曜の25日ですね。
28日までの4日間で立ち入りをして、最後の29日は結果を取りまとめて
報告というスケジュールでしょうか。

できるのでしょうか?
廃棄物部局の人って、暇なんだろうか?
しょうがないから、形だけでもやるのだろうか(だろうね)。

そんな調査で、何が分かるんだろうか。

書類管理の不備以外は何もなかった、という落としどころを考えて
いるのかもしれません。

でもね、ダイコーには隠し倉庫があったという話が、事件発覚後
13日後に出てきたのですから、ちょっとした立入で分かりっこ
ないんです。
http://toyokeizai.net/articles/-/102114

まぁ、今回はパフォーマンス目的で初回調査としてやってもらっても
いいですが、後でじっくりと対処してもらうことを期待しましょう。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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委託する側として、「どう見ても大丈夫な業者」を選ぶのは、それほど
大変ではありません。一方の行政は、グレーな業者にどう対応する
のかが問われるので、結構大変な仕事です。

先ほどは「じっくり対処」と書きましたが、実際にはなかなか
難しい仕事です。でも、やれることはあるはずなので、無理な
スケジュールを組まずに、「じっくり対処」してほしいと思います。
コメント

ビーフカツ横流しとスキーツアーバス問題の類似性と相違点

2016年01月19日 20時48分08秒 | 廃棄物事件簿
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ビーフカツ横流しとスキーツアーバス事故、流行りネタだからと言って
無理やり一緒に取り上げている訳ではない。全く別の話題であるようでいて
基本構造は似ている。が、一方で注目すべき相違点もある。

■類似点

いずれも業界の構造的問題へと話は拡大している。

発注者としては
「ちゃんとやっているはず」
と思っていたが、
「やっていない業者は結構沢山いた」
という話である。

ビーフカツ横流しを受けて、愛知県は県内の処理業者の立ち入りに、
スキーツアーバス事故で国土交通省も他のバス会社を抜き打ち監査
することになった。

つまり、
「品質より価格」
を重視した結果、問題が起こったので、品質をチェックするぞ、
ということになったのである。

なぜ価格重視になったのか。
発注者としては

 ビーフカツ→「持って行ってくれればいい」
 バス→「目的地に着けばいい」

という最低限の品質があれば満足するので、他の差別化要因は
価格しかないからだ。

規制が行き届かない中で価格競争すると、品質が徐々に劣化
していき、臨界点を超えた時に問題として表面化するのである。

対策は、発注者側の意識を変えること。「安かろう、ヤバかろう」
という認識を持って、安心できる業者を選定すること。
そのためには、業者を選定するための情報やお墨付きが欲しいのであるが、
その情報やお墨を準備するのは行政の仕事。

ということで、行政側のチェック機能が重要になってくる。

産業廃棄物については、優良認定制度があるので、それを参考に
できる。
バス会社についても日本バス協会の「安全性評価認定制度」という
ものがある。

ということで、問題業者の取締りまでは行政の手が回っていないのは
仕方ないとして、優良な業者を認定する制度はどちらもあるのだ。

ということは、話は元に戻って、発注者側の意識、知識の問題に
なってくるのだろう。

■相違点
ところが、ここがこの2つの問題の大きな違いである。

 片やBtoC
 片やBtoB

なのである。

Cである大学生がバスの認定制度を知らなかったのは、まぁ仕方ないだろう。

ところが、Bの壱番屋が、そのまま転売できる姿の廃棄品を処理するというのに、
認定どころかまともなHPもない業者に委託しているというのは信じ難い。
現地確認をした結果、それでも安心できると判断したのだろうか。

もう一つの違い、

 片や人が死んでいるが、直接関係のある人は多くない。
 片や死者はいないが、この問題を身近に感じる人はかなり多い。

そして、最大の相違点は、被害者だ。

 片や発注者自身
 片や他人(消費者全体)

なのだ。

半年後、人々の意識に残っている事件は果たしてどちらだろうか。
おそらく、ビーフカツの横流し・転売なのでなかろうか。

我々日本人はこれから、スーパーの陳列棚に日々疑いの目を向ける
ことになるのかもしれない。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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えー、一番悪いのは、「ダイコー」と「みのりフーズ」ですから。
そこんとこ、誤解のないようにお願いします。

それと、食品以外でも横流ししてる処理業者なんて、他にもいますから。
廃棄物の処理を委託する場合は、重々ご注意あれ。
コメント

ココイチのビーフカツ横流し事件

2016年01月14日 11時45分22秒 | 廃棄物事件簿
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最近の処理業者のお騒がせネタとしては、やたらと火事が多いですが、
久々に派手な事件をおこしてくれました。

ご存知のように、CoCO壱番屋(ココイチ)のビーフカツに異物混入の可能性が
あったため、これを処理委託したところ、なぜかスーパーで売られていた
という事件です。

要は、処理業者に処理費を払って委託したのに、それがそのまま転売されていた
ということです。もちろん、その処理業者が直接スーパーに売ることはできない
ので、複数の仲介業者経由だったようです。ということは、既にそのような
ルートを持っていた可能性もありますね。前科ありかも?

処理業者による転売、横流し事件は、それほど珍しくありません。
メディアに取り上げられた事件としては、再春館製薬所の化粧品の横流しが
2006年ごろにありますが、表面化しない事件も少なからずあります。

当然、化粧品や食品のように、多くの人に影響がある、それも健康上の
問題が生じかねないものについては、特に大きく取り上げられます。

■対策のポイント
ということで、横流しなどされる可能性のある廃棄物の処理委託には、
十分な注意が必要です。

処理業者をどのように選定、委託するのかがポイントとなってきます。

・会社としてそもそも信頼できるか
 →廃棄物処理法を知っていてもいなくても、担当者と話して、現場を見れば
  それなりに分かるはずです。

・施設のセキュリティはどうか
 →外部からの侵入が容易にできない施設であるべきでしょう。

・社員教育をしているか
 →使えるモノ、食べれるモノを廃棄するというのは、良心がとがめます。
  よいことと思って、社員が持ち帰ったり、転売したりしている可能性
  もありますので、徹底した教育が必要です。

・コンプライアンス意識はあるか
 →処理業者のコンプライアンス意識を測る方法としては、廃棄物処理法の
  遵守状況がベストでしょう。意識が高ければ、転売や横流しを
  会社ぐるみでやろうということにはならないでしょう。

今回、ココイチ(壱番屋)が委託していた、ダイコーという会社は、
「さんぱいくん」にも情報登録していませんでした。HPもありません。
私だったら、恐ろしくてこの時点で検討リストから削除します。
もちろん、優良認定を受けている訳でもありません。

この様なリスクの高い廃棄商品を委託するのであれば、相当なチェックをして
しかるべきです。排出事業者によっては、処理施設に投入するところまで、
同行して目視確認していることもあります。


●ベストな方法
・処理委託する前に、破砕などをしてしまう。
 →どの業者に出すのであっても、リスクは残ります。自社で破砕などをする
  ことで、横流しされる可能性はなくなります。
  もちろん、自社で作業するのであっても、自社の作業員をちゃんと教育
  する必要は残りますが。。。


■廃棄物処理法

・実は、廃棄物処理法上の問題には、なりにくい案件です。
 なぜなら、受け取った段階では廃棄物という形ではありましたが、
 実際には有価売却されていたからです。廃棄物処理法は廃棄物だけを規制
 する法律ですから。
 具体的には、無許可で廃棄物を処理をすることを禁止しているのですが、
 廃棄物ではありませんし、転売してしまって、処分をしていませんから。

・処理業者は、廃棄物処理法では、契約書通りの処理をする義務は負っていません。
 なので、転売しても廃棄物処理法上は問題なしです。

・マニフェストは、中間処理、最終処分をした場合にだけ返送すればいいのであって
 していないのであれば出さなくていいのです。というより、処理していないのに
 マニフェストを返送したら、そっちのほうが違反です。

 もちろん、マニフェストが戻ってこなければ、排出事業者は措置内容等報告書を
 提出しなければならないですけど。それだって、処理業者の違反にはなりません。
 ただ、処理業者としてはそんな面倒なことを避けるために、処理していなくても
 マニフェストを返送するでしょうけどね。実際には、ここで廃棄物処理法違反
 で警察、行政の出番があるかもしれません。

■民事
・お気づきかもしれませんが、契約違反(不履行)になりますね。
 損害賠償請求の対象にはなると思います。ココイチがそれをやるかどうかは
 ともかく、ココイチがダイコーに法的な制裁を与えるとすれば、そこでしょう。

■刑事
・先ほどのマニフェストの虚偽記載(未処理返送)の他には、詐欺ですね。
 処理するということで、処理費まで受け取っておいて、転売して転売益まで
 懐に入れているのですから。

■ココイチへの影響
直接的な業績への影響ったって、実際はどうってことないでしょう。
スーパーでビーフコロッケ売られたからと言って、ココイチの販売には影響
しないでしょうから。

だた、イメージですよね。問題はスーパーで買う場合であって、ココイチで食べる
分には何ら問題ないのですが、なんかやな感じはあります。

あとは、担当者、大変な心労でしょうね。
自分が担当者になるかも、と思われる方、お気を付けください。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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今のところウェブで出ているリンク、貼っておきます。

ココイチプレスリリース
http://www.ichibanya.co.jp/comp/whatsnew/sangyouhaikibutusyorigyousyaniyoru%2Ctousyaseihin%28bi-fukatu%29fuseitenbainoosirase.pdf

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160113-OYT1T50135.html

http://www.asahi.com/articles/ASJ1F66YLJ1FOIPE01M.html

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6187458

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016011402000124.html


ちなみに、ココイチはハウス食品の傘下に入るはずです。
http://toyokeizai.net/articles/-/91566
コメント (8)

誤変換・誤記載を見つけてください!!

2015年09月14日 12時56分48秒 | 廃棄物事件簿
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今月(2015年10月号)の日経エコロジーの記事に誤変換、誤記載
があることをお気づきになったでしょうか。それも2ヶ所(T_T)

p.84の「事件に学ぶ廃棄物処理 第4回 産業廃棄物の委託基準」
をご覧ください。

私が原稿を作成して、日経BPの記者の方が内容をチェック、
編集したものが記事になるのですが、編集の段階で誤変換、
誤記載してしまったようです。

もちろん、記事になる前に私もゲラの確認をしましたので、
連帯責任です。申し訳ありませんでした...m(__)m

■間違い募集中!!
ということで、間違いを見つけられた方は、このメールに返信
してお知らせください。2か所(もし私がまだ気づいていない
間違いがあれば、増えますが)全ての間違いを見つけられた
方の中から抽選で1名の方に、、、この記事の初稿をお送りします。

いらない??いやいや、この連載では以前の連載と比べて内容を
かなり編集していただいているので、
「この初稿が最終的にはここまで変わるのか!!」
と見ていただくだけでも、面白いと思います。

まぁ、いらなかったら、そう言ってください。無理やり送り付け
たりはしません。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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景品の初稿は、頂いたメールに返信する形でお送りします。

次回、正解と当選者(イニシャル)の発表をしますので、お楽しみに。
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