議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

経済成長は何で必要??

2009年12月11日 07時14分29秒 | ベーシックインカム
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 先週の「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」とは逆に、こんな本を読みました。

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)
芹沢 一也,荻上 チキ,飯田 泰之,岡田 靖,赤木 智弘,湯浅 誠
光文社

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 本のタイトルから連想するに、経済成長の必要性について経済学者が説明しているのかと思ったのですが、そんな話はちょっとだけでした。
 どちらかというと、メーンテーマは貧困問題と経済、社会保障問題についてで、その話の流れの中で「格差や貧困など現代社会の多くの問題を解決するために経済成長は不可欠です」ということでした(←ちょっと乱暴なまとめ方です)。

 確かに短期的には景気が回復しないと何をするにしても厳しいでしょう。ただ、経済成長と資源消費が完全にデカップリングするのでなければ、いつか必ず経済成長はできなくなります。そのときまでに、「経済成長がなくても格差や貧困などの問題が生じない社会」に組み替なければならないと思います。

 また、この本の中で普通にベーシックインカムについても軽く触れられていました。ベーシックインカムがこんなタイトルの本で取上げられているなんて、ちょっと不思議な感じでした。
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暇がなければ民主主義は成り立たない

2009年12月04日 05時33分07秒 | ベーシックインカム
 少し気になっていた本を読みました。

経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか (平凡社ライブラリー)
C.ダグラス ラミス
平凡社

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 平和憲法に対する考え方が少し変わったのですが、まぁそれはここでは置いておきましょう。この本の中に「暇がなければ民主主義は成り立たない」という項があります。

 アリストテレスが言うには、民主主義の必要条件は社会に余暇、自由時間があるということだそうです。確かに、自由時間がなければ政治について知識を得たり、議論したり、デモに参加したり、勉強会に出たり、陳情したり、意見を述べたりする時間も持てません。
 「自由時間を確保するために奴隷が必要なんだ」という主張に続くそうです。。。その主張の是非はともかく、奴隷の定義は「自由時間がないこと」ということになりそうです。するともしかすると、我々の社会ではみんな多かれ少なかれ奴隷なのではないか?という話です。

 確かに、十分な自由時間を確保できているのは一部の人だけで、他の人は政治になど影響力を及ぼせていないのではないか?ということになりそうです。いるのは仕事としてロビーイングしている人だけです。ほとんどの人は、数年に一回投票できるだけで、生活者としてはそれ以外には何もしていません。これを民主主義と言ってしまっていいのか、大いに疑問です。

 ちなみに、先日NHKで見たゴミ屋敷の特集では、「自宅は寝るだけの場所で、朝は出勤時間ギリギリまで寝ていたくて、帰宅したらすぐに寝たいので、ゴミを捨てる時間がもったいなかった」という人がいたそうです。ゴミ屋敷の原因には色々あるようですが、働きすぎも原因のひとつのようです。最近ゴミ屋敷が増えているそうですが、こんなことでは、日本の民主主義は死んでしまいます。

 ベーシックインカムを導入したら、この状況は少しは改善するでしょうか?私はすると思っています。でもたぶん、ベーシックインカムを導入できるころまでには、民主主義は相当レベルアップしているはずですけどね。ん、これって、鶏と卵の関係なのかも。
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ベーシックインカムの紹介フィルム

2009年11月20日 05時42分39秒 | ベーシックインカム
 ドイツで作られたベーシックインカムのフィルムが、日本語字幕版となってインターネットで公開されています。まだすべては見ていませんが、よく工夫されているようです。

ドイツフィルム「文化衝動としてのベーシックインカム」

 ベーシックインカムに関する主な疑問について、しっかり取上げられているようです。このフィルムを見ていると、ベーシックインカムというのは、やっぱり革命なんだと感じます。
 それにしても、ベーシックインカムはドイツではかなり進んでいるようです。これだけ議論が進んでいるなら、最初に実現するのはドイツなのかもしれません。

 環境問題への取組みが比較的進んでいる国でもありますし、個人的にとても注目してます。ドイツ語、もっとちゃんと勉強しておけばよかった・・・。
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経済成長は本当に必要?

2009年11月13日 06時08分33秒 | ベーシックインカム
 失業率を下げるために経済成長をする、国の財政を健全化するために経済成長をする、という話がよくされています。

 でも、所得配分をちゃんとやれば、仮に失業率が上がっても、経済成長しなくてもOKですよね。一方、財政健全化のために経済成長しなければならないなんて、予算の無駄遣いをしたい人の勝手な言い訳のような気がします。
 そもそも有限である地球においては、経済成長なんて永遠に続けることができません。ですから経済成長という指標は、(経済成長と環境負荷が切り離せるならともかく)いつか捨てなければならないことは誰の目にも明らかです。

 でも、菅さんは経済成長戦略を策定するなんていっています。

・・・・
 もう聞き飽きた方も多いでしょうが、GNH(Gross National Happiness=国民総幸福量)という考え方があります。経済成長やGDPを目標とするのであなく、本来の人間の目的である幸福量を増やすことを目標とする、ということです。これが正しい目標であることは、誰の目にも明らかです(言いすぎ?)。

 さて、これを我国の主要な政策目標に取り入れる可能性はあるのでしょうか。ベーシックインカムを導入するのと、どちらがハードルが高いのでしょうか。どちらも人の幸福や生活の安定を目的としたものです。もしかすると、ほとんど同じタイミング、文脈で検討されるテーマになるかもしれません。

 GNHとベーシックインカム導入を一緒に検討、実現できると面白いんですが。格差問題、環境問題の深刻化を考えると、すぐにでも検討したいところです。
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増税しましょう

2009年11月06日 05時35分09秒 | ベーシックインカム
 年の瀬が近づくにつれ、派遣村が話題になっています。賛否両論あるようですが、少なくとも住むところがなくて困っている人がいるのは事実です。

 一方で、住居は余っています。仮に全員分には足りなかったとしても、この国にはホームレスの方の住居を提供するだけの資源と技術は十分あるはずです。問題は、税金をホームレスの方のために使うかどうかという我々の選択にあります。

 私は、すべての日本人が失業など将来への不安がなく、仮に失業したとしても尊厳を持って生きることができるのであれば、その分増税しても国民にとってプラスだと思います。

 税金は、使い道さえ適切であれば、まわりまわってプラスになるはずです。だからこそ税金を払うのです。廃棄物の世界を例に取ると「処理業者の監視強化を要望するので、その分の税負担はする」ということです。

 そろそろ「増税は悪」という発想をやめ、むしろ「税金の使い道をチェックしないのは悪」に切り替えるべきだと思います。こっちの方が大変なんですが、民主主義ってこれが基本なんだと思います。
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戸別所得補償制度

2009年10月30日 05時50分11秒 | ベーシックインカム
 民主党の「戸別所得保障制度」ですが、どう思われますか?『米などの農産物の販売価格が生産費を下回った場合、差額を国が補填する』ということですが、農家のやる気をそぐという議論も多いようです。

■ベーシックインカムとの類似点
・生活保障をしてくれる
・直接給付である
・人より努力すれば報われる

■ベーシックインカムとの相違点
・対象は農家のみに限定
・給付単位が個人ではなく戸別である
・給付額の計算が複雑と思われる

 実際にはどれくらいの保障なのでしょうか。農業を続けることができるための最低レベルまでの保障なのでしょうか。それとも、それなりにリッチな生活ができるレベルなのでしょうか。現段階ではまだ分かっていないのだと思いますが、そこがとても重要なポイントだと思います。

 少なくとも、農家の収入が低く、若手が安心して就農できないという問題へのひとつの解決策だとも思います。農業が好きな方は、安心して前向きに頑張ることができそうです。

 ただ、「人より努力すれば報われる」かどうかが問題です。農作物の輸入自由化の動きに伴い、農作物の価格下落は進むでしょう。これでは、どう頑張っても赤字(=補填してもらえる)となりそうです。それならば頑張るのはムダだと思う農家が増えるかもしれません。これでは意味がありません。これを避けるためには、関税はある程度必要なのかもしれませんが、難しいところです。

 いずれにせよ、ベーシックインカムとは似て非なるものですが、所得保障をするこの制度が人々のやる気にどのような結果を生むのか、それがベーシックインカム導入論議にどんな影響を与えるのか、非常に興味深いところです。
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電気自動車で部品が減ると・・・

2009年10月23日 05時48分30秒 | ベーシックインカム
 電気自動車はガソリン車に比べて部品点数が少なく、下請けメーカーがこれまでより少なくてすむという話があります。これまでガソリン車用の部品を作ってきたメーカーは仕事がなくなる、ということです。さぁエライこっちゃ、雇用がなくなる、という話になりかねません。
 しかし、同じ品質(で、なおかつ環境負荷が低い)の製品を、労力をかけずに作れるのであれば、社会は豊かになるはずです。仕事の量が減って、享受できる財やサービスの量(社会の富)は変わらないのですから、みんなハッピーなはずです。

 でもそうならないのは、やり方に問題があるからです。つまり仕事が減ったら、その分従業員を解雇するだけで、解雇になった従業員は収入がなくなり、その結果、その人たちには富は行き渡らないのです。

 解雇された方は、最低限の生活保障はされたとしても、前より不幸になるでしょう。みんなハッピーになるどころか、逆に不幸が増えてしまいそうです。

 そう、富の再配分の話です。だって、富は十分にあるのですから、あとは山分けにするだけです。そのためには1人10万円程度のベーシックインカムを、と思うのですがいかがでしょうか。
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「給付付き税額控除制度」検討へ

2009年10月09日 05時30分21秒 | ベーシックインカム
以前から取上げている給付付税額控除ですが、民主党は早速検討に入りました。「社会全体が補い合い、支え合う新しい社会モデルの構築」を目指すんだそうです。

新政府税調がスタート、「給付付き税額控除制度」検討へ


この制度はつまり、一定以下の収入しかない人には、減税ではなく現金給付をする、ということです。ベーシックインカムの考え方に近くなります。

違いがあるとすれば、
・「給付付~」の給付単位は世帯であるが、ベーシックインカムは個人が対象
・「給付付~」は収入が下がってからの給付なので、苦しくなった後でもらえるが、ベーシックインカムは誰でも定期的に受け取れる。
・「給付付~」はベーシックインカムより制度がずっと複雑。
といった点でしょうか。

 給付する額がいくらであるかにもよりますが、社会保障制度としては重要な第一歩だと思います。今後どうなるか楽しみです。民主党さん、必要なら環境税なんかで増税してね。
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地産地消を進める消費税増税+法人税減税

2009年10月02日 06時06分32秒 | ベーシックインカム
 基本的に、地産地消が地域の活性化、持続可能社会、環境保護にプラスに働きますので、積極的に推進されていることになっています。ところが、中国や東南アジアから安い商品が入ってくるため、地産地消を妨げているケースがあります。近年の貿易自由化の流れがこれを悪化させるのではないかと懸念されています。

 だからと言ってこの流れに逆行して、輸入品にさらに課税するというのは非現実的でしょう。そこで、消費税率を増税して、その代わりに国内企業の法人税などを減税するという方法が考えられるます。

 こうすると、国産の製品価格は増税と減税が相殺されますが、外国産の製品は消費税を増税した分だけ高くなります。これって、事実上の関税です。このやり方は以前ご紹介した下記の本で、ベーシックインカムの財源のあり方として紹介されていました。
ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ
ゲッツ・W. ヴェルナー,小沢 修司
現代書館

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ベーシックインカムの導入で、経済活動が今より非活性化する可能性があります。持続可能社会のためにはそのほうがよいと思うのですが、輸入への依存(特に農産物の)が高まってはやはりマズイと思います。それを避けるためにも、ベーシックインカムの財源は消費税がよいと思っています。何と言っても、企業業績に左右されにくい安定財源ですし。

なお、「消費税アップ、法人税減税」だけ聞くと、企業優遇、消費者いじめのようですが、ベーシックインカム(か、給付付税額控除)で消費者に還元すれば全く問題なしです。
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桃花鳥が7羽に減ってしまったと・・・

2009年09月25日 05時37分16秒 | ベーシックインカム
 さだまさしさんの曲に「前夜(桃花鳥)」という歌があります。読めませんか?そうですよね、私も読めませんでした。“トキ”と読みます。
 1982年のアルバムに収録されているこの曲では、トキが7羽に減ってしまったという記事を読んで、そんな小さな出来事より明日の献立の方が大切だ、今の生活を守るので手一杯だという気持ちと、それではいけないという思いが交錯しています。歌詞はこちらからどうぞ(←この曲のメロディーが流れますので、ご注意ください)。途中コメントが沢山入っていますが、JASRAC許諾済みだそうですので。。。

 ご存知の通り、トキの野生復帰が進んでいます。幸運なことに、トキの問題は国民1人1人が特段の関心を持つことがなくてもここまで改善してきました。このような、特定の地域で関係者が頑張ればなんとかなる問題については、国や専門家にアウトソーシング・丸投げできます。しかし、現在の環境問題の多くは国民全員が多かれ少なかれコミットしなければならないんですよね。

 この歌を聴くたびに、私の持論である「社会保障なくして環境対策なし」に思い至ります。それだけではないディープな歌詞なのですが、、、良かったら聞いてみてください。
 「前夜(桃花鳥)」←少し試聴できます。

 さだまさしさん、結構好きなんですよね。何度聴いても泣ける歌が多くて、新幹線なんかで一人でウルウルすることも・・・。
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