議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

下取りは納入業者でもできるのか?

2009年04月30日 05時39分26秒 | 日経エコロジー
過去(確か2008年7月号)の日経エコロジーに掲載したテーマを、もう少し深堀したいと思います

■下取りとは
「新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。(平成12.9.29 衛産79より。)」

■納入業者でも下取りしてもよいのか?
さて、販売者自らが下取りをするのでなく、販売者が納入業者を使って納入した場合に、その納入業者は使用済みのものの引き取ることは可能なのでしょうか?


■大丈夫なはず!!
以下すべて私見ですが・・・

この通知では、販売する際に「引き取り」と「収集運搬」を他者に委託してはならないという記載はありません。委託を禁止するのであれば、「自ら」という言葉を入れるべきでしょう。
通常、納入業者は販売行為に付随する納入行為だけを受託しているのであり、販売行為の“履行補助”をしているに過ぎないと考えることができると思います。(履行補助者は、手足となって動くだけで、その責任はあくまで履行者である販売者にあります。)
従って、納入業者が下取りをすることは、販売者の手足としての行為であり、勝手な下取りはダメですが、販売者の指示の下での下取りは十分可能だと考えます。

■では、納入業者が下取りしたものを、そのまま処理業者のところに持っていってもよいのか?

気持ちが悪いのですが、これがダメであるという理由がどこにも見つかりません。いったん販売者の保管場所に持って帰ってそこから再度搬出すると、外見上なんとなくよさそうですが・・・無駄なコストと温室効果ガスを排出しているだけです。

ただ、処理業者に持っていくときには、当然マニフェストの交付(処分の部分のみ)が必要となります。販売者はマニフェストの交付についても納入業者に委託することになりますね。

車両表示の話については、この記事をご参照ください。

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4 コメント

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解釈はいろいろとできますね (真茶香)
2009-04-30 20:40:26
堀口様

http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=6988&new=0

をご覧ください。
問には「自ら」の文言があるものの、通知文にはその文言が含まれていないのはおっしゃられるとおりです。
 そうすると?この文章解釈は間違っているでしょうか。
返信する
拡大解釈でしょうか (堀口昌澄)
2009-05-01 00:34:39
真茶香様

コメントありがとうございます。

ご紹介のQAは以前より拝見していますが、、、

事業者側としては「委託する場合は~」という規定がなく、「自ら」と書かれているわけでもないのであれば、委託は自由であると考えたいところです。

しかもご存知の通り、最近では下取りのタイミングをかなり柔軟に考えるということになっていますので、「新しい製品を販売する」という条件さえあれば、誰がいつどう回収してもよいということになり、、、だったらリサイクル法とか広域認定なんかいらないよね~ということに・・・。

広域認定が厳格すぎて、下取りは緩すぎて、その中間に位置する処理業の許可制度は109自治体も許可を取れず、でもEPRは勧めたいし、、、ということで行き詰るわけです。(一廃も産廃も)収集運搬は全国1つの許可でOKにすればこの問題は相当解決するのですが。
返信する
衛産79にて (廃棄物担当者)
2009-05-21 19:57:45
文章の冒頭に、「(前略)…これらに留意の上、厳格な運用に努め…(以下略)」とあります。

ここから、「第三者が運ぶ」なら、「許可業者に委託をする」という解釈になるというのを、ある行政担当者に聞いたことがあります。

解釈が自治体によって違う以上、これもOne of themなのでしょうが…。
返信する
困りました (堀口昌澄)
2009-05-21 23:54:20
廃棄物担当者様

そんな解釈もあるんですね。

さて、下取りについて説明されている、自治体の環境部局長会議の資料を入手しました。
法律の解釈としては妥当かつ現実に即していない内容が記載されていました。詳しくは近いうちにこのブログでご紹介します。

困ったことが書かれています。
返信する

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