議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

熊本清掃社の件

2019年04月26日 10時47分25秒 | 廃棄物事件簿
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皆さんこんにちは。

ご存知の方も多いと思いますが、熊本清掃社の汚水排出事件では、
刑事処分が出る前に許可の取り消しがされました。

いわゆる欠格要件では、法人や役員の環境関連法違反について
有罪判決が確定すると義務的に許可取り消しとなりますが、今回は
それを待たずに、法第7条第5項第4号トの「おそれ条項」により
「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると
 認めるに足りる相当の理由がある者」
であるとして、産業廃棄物処理業、一般廃棄物処理業の許可が
取消となりました。

おそれがあるかどうかについては、定量判断できる基準がなく、
義務的な取消ではないため、私のセミナーでは、これを欠格要件とは
扱っていません。

“おそれ”があるとした理由は、
 「株式会社熊本清掃社及び元役員が水質汚濁防止法違反
 の疑いで逮捕、起訴された事実と、繰り返し排水基準を超
 過したことによる行政庁の指導の累積があった」
からだそうです。

名古屋市の行政処分資料はこちら


これは、実際には許可事務通知にある「おそれ条項」の解説にのっとった
ものと思われます。


ということで、有罪判決が確定する前に許可が取消になる
可能性はあります。義務的取り消しはもちろん怖いですが、
特に最近は行政処分が厳しくなってきていますので、委託者も、
許可業者もそのつもりでいたほうが良いでしょう。

判決がなくても、この表の違反があれば、行政処分を出すことに
なっていますので。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3等に係る
 法定受託事務に関する処理基準について



●問題は、、、
ビーフカツ横流し事件がそうであったように、この業者も廃棄物処理法の
優良認定と食品リサイクル法の登録再生利用事業者でした。
それにもかかわらず、このような違反を防げなかったということです。

どうやら、繰り返し指導があったようですが、行政指導の状況は一般には
公表されませんので、排出事業者は知る由もありません。

しかも、その業者が夜間や大雨の時に意図的に汚水を排出する
マニュアルまで作成していたのであれば、排出事業者が独自でそれを
見抜くのは至難の業です。

結局、下記の2つは処理業者評価の重要な判断基準になると
いうべきなのでしょう。
①コンプライアンスに厳しい企業文化が感じられること
 →見えないところでも違反をしない
②苦し紛れに違反する恐れがない健全な財務状態にあること
 →財政的に追い込まれていない

②は一般に知られている基準です。
①は、定量基準とは言い難く、判断基準としてそれほど普及は
していません。
あくまで、言動の端々に感じられるか、という感覚的なものです。

しかし、儲かっているのに、こっそり違反してさらに儲けようとする
会社が世間に沢山あることを踏まえると、コンプライアンス意識の
高さは重要なポイントだと思います。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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サボりにサボっていましたが、平成最後の配信です。

私は普段西暦しか使いませんし、和暦など日本国内だけに通じる人工的な
“何か”、でしかないとは思うのですが、日本人の多くが時代の区切りだと
思うのであれば、やはり何かが変わっていくきっかけになるかもしれません。

令和という元号から、思わず連想するのですが、
 冷え冷えとした、空気ばかり読む、同質化圧力がやたら強く
 “和”を強制されるような、変革を恐れる、緩慢に滅びゆく社会
にならないように、
言うべきこと、すべきことから逃げない、責任ある行動をとるように
心して生きたいと思います。
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