議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

優良性評価制度がダメな理由

2009年06月30日 05時37分53秒 | 政策提言
 環境省の「廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門委員会」では優良性評価制度について、

「優良な産業廃棄物処理業者を育成し、市場の健全化のため、優良性評価制度を充実することが必要である。そのため、学識者による検討の結果を踏まえ、優良性認定の基準の見直し(電子マニフェスト活用等)や、優良性が認定された者であることがわかりやすくなるようにすることなどを行うとともに、環境省をはじめとする国、地方公共団体、産業界等が、優良性認定業者を積極的に活用していくべきであると考えられる。」

 とされています。

 さらに、この記事では、4~5月に改正すると書かれています(??)。まぁ、いいでしょう。


 うまくいっていないので、改正するということなのですが、、、そもそも

■大前提として
 「市場の健全化」というものは、処理業者の選定・選別が進んだ結果として実現するものだと思います。ということは、排出事業者がこの制度を使って処理業者を選定できるかどうかにかかってくるわけです。

■処理業者の選定に使える制度(ツール)であるか?
 では、この優良性評価制度を選定のためのツールとして使えるとしたら、どんな利用方法があるのでしょうか。おそらく①制度の認定を受けているかどうかで選定する、または②情報公開の内容を参考にする、の2つのパターンが考えられるでしょう。

 ①について
優良性評価制度Q&Aでも記載されているように
「基準適合と認めた業者に処理を委託したからと言って、排出事業者としての責任や注意義務が自動的に免除されるものではありません。 」ので、このパターンはナシですね。

 ②について
行政処分指針では、「優良性評価制度に従って公開された情報を十分に比較・吟味した上で委託先を選定している場合には、排出事業者としての注意義務が果たされていることを示す一つの要素として考慮できること。逆に、これらの措置を行わず委託先の選定を行う場合には、その分、他の手段を講ずることにより排出事業者としての注意義務を果たすべきことが求められること。」
 とされています。

 公開情報は参考にするといいかもしれませんよ、ということですが、、、

○どれだけ使われているのか??
 そもそも、この情報を踏まえて処理業者の選定をしているところはどれくらいあるのでしょうか?ちゃんと真面目にやっているところでも「ここに挙がっている情報も悪くはないけど、現場を見るのが一番!!」「現地確認をせずにこの情報だけで業者選定をするなんて考えられない」という方が多いのではないでしょうか。

 超真面目にやっている場合は、この公開情報を踏まえて現地確認をするのかもしれませんが、一部のレアケースだと思います。

 つまり、この公開情報は使えそうでいて、実際には使う人があまりいない、というシロモノなんだと思います。たぶん排出事業者の「あったらいい」という声に応えて作っては見たものの、「でも、別になくてもいい」というのが現場の本音だったのではないでしょうか。

■この制度の問題点
 100点満点で処理業者が評価できるとして、「処理委託してもとりあえず大丈夫だな」と思われるラインを50点としましょう。そして処理業者の8割はこの50点以上だとしましょう。では、優良性評価制度に認定され得る処理業者の最低ラインは、何点だと思いますか?
 意見の分かれるところだと思いますが、個人的には70点くらいなのではないかと思います。(もっとも、優良性認定業者が許可取消を受けたこともあったそうですが、それは置いときましょう。)

 理由のひとつは、優良性認定を受けている事業者は391(平成20年10月末現在)しかないということ。もうひとつは、ボーダーラインの50点より少し点数がよいだけの処理業者に認定を出すわけにはいかないはずだからです。たかがペーパーベースの認定制度でそんなことをしたら、違反で摘発される認定業者が沢山出てしまい、制度の信頼性が揺らぎます。認定するからには、それなりに厳しい要件せざるを得ません(といっても現状は大した要件ではないのですが)。

 これでは、「比較的よい業者のうちでも、さらによい業者」を探すことができても、選定には使えません。かくしてこの制度は、どんなに改正しようとも「市場の健全化」のお役に立ちようがないという宿命を背負わされているのです。

■情報の公開が目的なのか?
 この制度の目的が、「処理業者の情報公開を進めて、その情報を排出事業者に活用して欲しい」ということであれば、「産業廃棄物処理業者が公表すべき情報のガイドライン」を作って、出す業者は出す、そうでない業者はださない、それで十分だと思います。制度化したら、大変じゃないですか。

■行政処分を受けた処理業者を、市場から締め出すことが目的なのか?
 確かに、行政処分を受けたら優良性評価制度の認定が取り消されます。しかし、これが目的であるならば、もっといい方法があります。例えば、排出事業者がネットで取引業者の許可番号下6桁を登録しておき、行政処分があればメールで通知が来る、という仕組みが考えられます。
 行政処分の情報は、誰もが簡単に無料で入手できるべき情報だと思います。環境省と各自治体には、それくらいの仕組みへの対応を要望してもよいと思います。


みなさん、どう思われますか?
コメント (3)
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日経エコロジー編集部よりお言葉を頂戴しました

2009年06月29日 05時07分19秒 | 日経エコロジー
日経エコロジーで私が連載している「廃棄物処理法Q&A」が、2009年7月号でなんと3年目に入りました。この記念すべき(?)タイミングで、日経エコロジーの編集部から過分なお言葉を頂いておりますので、ご紹介したいと思います。

*****************
日経エコロジーで好評の「廃棄物処理法Q&A」が連載を開始したのは2007年7月号。2009年7月号で連載3年目を迎えました。弊誌も今年、創刊10周年となり、これまで数多くの連載記事を読者に提供してきましたが、同じ執筆者が、同じ形式で2年以上も連載を続けた例は、実はそれほど多くありません。それだけ「廃棄物処理法Q&A」が読者に支持されてきたということでしょう。

もともと日経エコロジーでは廃棄物関連の特集をすると読者の反応がよく、関心の高い分野でした。それをQ&A方式でわかりやすく、実務的な情報に絞り込んだことが高い評価を受けた理由だと思います。読者の関心がどこにあるかをつかみ、しかも的確なアドバイスを提供してくれた堀口さんの力量と努力に敬意を表するとともに、あらためてお礼を申し上げます。

ちなみに、連載の中で読者から評価が高かった記事ベスト3はこの3本でした。

1位
「無償で譲渡するものは廃棄物には当たらない?」(2007年8月号)
廃棄物の法律上の定義はありますが、それだけでは判断しにくい場合も少なくありませんね。実際に迷う場面が多いテーマですし、読者から非常によく読まれ、「役立った」という評価も高かった記事です。

2位
「処理委託先のチェック② 現地確認をする際の注意点は?」(2009年3月号)
処理業者の事務所などを訪問し、現地確認をする際に、どこを重点的にチェックすべきかをアドバイスした内容です。具体的な指摘が多く、読者からの「役立った」という評価が最も高かった記事です。

3位
「誤解だらけのマニフェスト 3つの原則に忠実に交付」(2008年2月号)
マニフェストの処理は廃棄物処理においては基本ですが、間違って理解しているケースも意外に多いようです。3大原則を、事例を交えながら解説したわかりやすさが好評でした。

3年目を迎え、編集部としても読者にさらに役立つコラムにしたいと考えております。今後ともご協力をよろしくお願いいたします。


日経エコロジー編集部
*****************

えっ?!!日経エコロジーを読んでいないですって?では是非ともこの機会に定期購読の申込みをしてください。上記のベスト3についても、バックナンバーを購入できますヨ。
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「廃棄物管理の行政対策」スキルアップセミナーの振り返り

2009年06月25日 05時37分34秒 | コンサル日誌
 昨日は、「廃棄物管理の行政対策」スキルアップセミナーを実施しました。始めて企画するセミナーでしたが、アンケートの結果は上々でした。皆さんご満足いただけたようです。参加された方、お疲れ様でした。

 持続研の特別顧問である元山形県職員の長岡さん(通称BUNさん)をお招きして実施しました。私と2名のダブル講師ということで、少々贅沢なセミナーでしたが、かえって私にとっては不完全燃焼でした。普段のセミナーの三分の一も話していませんし、質問への回答はBUNさんに譲って、少々異論があっても時間の関係もあり口を挟まず。。。まぁ、予定通りなのですが。おかげでいつものような心地よい疲労感もなく・・・。

 ただ、全般的に内容はよかったと思います。特に行政との相談場面についてのロールプレイングは、実際にありそうなやり取りが再現され、よりよい方法についてもお話することができました。事前の準備がいかに重要か、現場ではどのような点に気をつけたらよいのかが伝わったのではないでしょうか。今年もう一度実施したいと思いますので、今回参加できなかった方はぜひご検討ください。
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持続研の新HP

2009年06月24日 05時30分55秒 | 余談コーナー
 私の勤務先の持続研のHPが新しくなりました。よろしければご覧ください。
http://aise.jp/index.html

 で、今日の記事はこのご案内でオシマイです。

 それよりなにより、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、一般廃棄物の委託基準の話が盛り上がっています。今日は是非ここのコメントをご覧ください。
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4立米の不法投棄で逮捕

2009年06月23日 05時10分53秒 | ニュースクリッピング
 少し前の事件ですが、やたらあちこちで取上げられているので、一応ご紹介を。
 asahi.com ISO取得の名門ゴルフ場 不法投棄容疑で支配人逮捕
 西日本新聞 ゴルフ場支配人逮捕、新潟 廃棄物処理法違反疑い
 毎日jp ゴルフ場隣接地の不法投棄:ずさんな廃棄物管理 周辺農家、不安の声 /新潟

 昨年10月「日本女子オープン選手権」が開催された新潟県のゴルフ場「紫雲ゴルフ倶楽部」で発覚した不法投棄で、ゴルフ場の支配人が逮捕されました。帳簿やボールを入れるかごなど約4立方メートルを、ゴルフ場に隣接する山林に捨てたとのことです。記事によってはアスファルトも含めて10トンとされています。

 おくりびとの葬祭会社同様、日本女子オープンの会場という知名度が、このニュースを大きくしたのかもしれません。6/13の記事ですが、今検索をしても結構ヒットします。

 たかがと言ってはいけないのでしょうが、4立米もしくは10トンです。有害物質が垂れ流されているわけではないでしょうし。。。もちろん、してはいけないことなのですが、有名税というのは安くはないですね。大企業の皆様、くれぐれもお気をつけください。
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中間処理と最終処分

2009年06月22日 05時21分29秒 | コンサル日誌
 中間処理と最終処分について、過去にも何度か取上げてますが少し丁寧に解説します。非常によく誤解が発生する場所ですので。
 まずは原文を引用して分解していきます。法第12条第3項の5文字目以降より・・・

*原文引用=法第12条第3項より**
中間処理業者(発生から最終処分(埋立処分、海洋投入処分(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 に基づき定められた海洋への投入の場所及び方法に関する基準に従つて行う処分をいう。)又は再生をいう。以下同じ。)が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう。以下同じ。)
*****************

 括弧を外すと、
*分解1=中間処理業者とは******
中間処理業者(発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう。以下同じ。)
*****************

 ということは、中間処理業者とは最終処分以外の処分を行う処分業者すべてを指す、ということになります。

 さらに、
*分解2=最終処分とは******
 最終処分(埋立処分、海洋投入処分又は再生をいう。以下同じ。)
*****************

 つまり、最終処分とは、①埋立処分、②海洋投入処分、③再生のいずれかを指すということになります。したがって、この①~③以外の処分をする業者はすべて中間処理業者、ということになります。

■中間処理業者が最終処分をすることも
 ところが③の再生とは、なんらかの処理によって廃棄物を有価物に変化させる行為ですが、具体的な方法が特に法律で定められているわけではありません。市況の変化によって有価物になったりならなかったりもします。
 行政が通常出している処理業の許可(14条関連)は、具体的な行為を対象にしており、その行為の結果が有価物を生み出すのかどうかは問題ではありません(一部の特例制度を除く)。ですから、“再生”という許可は出されず、破砕、焼却、堆肥化、溶融固化という行為そのものについて許可が出されます。
 これら破砕、焼却、堆肥化など「埋立以外の処分」をする処理業者に対して「中間処理業」という許可が出されることがあります。しかし、これらの処理の結果が“再生”となることがありますので、中間処理業者が最終処分を行う、なんてことにもなります。

■契約書について
 契約書の法定記載事項(施行令第6条の2第3号ニ)には
「産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第三項 に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力」
があります。

 またまた括弧を外すと、
産業廃棄物の処分(最終処分を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力」
となります。
 最初の青地の部分は、中間処理のことを指しますので、「中間処理を委託する場合は、最終処分の場所の所在地等」を記載すること、ということになります。逆に言うと、最終処分を委託する場合は、改めて「最終処分の場所の所在地~」を書く必要はありません。

・中間処理業者が最終処分をする場合の契約書の書き方
 堆肥化の結果が再生になる(肥料を販売できる)場合を考えてみます。よくある雛形には、直接契約している業者との処分内容(この場合“堆肥化”と記載)以外に、最終処分の場所の所在地の2つが入っています。このため、最終処分の場所には、何を書けばよいのか迷われることが多いようですが、法律上は記載の必要はありません。なぜなら、最終処分(もちろん再生を含みます)を委託する場合には、「最終処分の場所の所在地~」を書く必要はないからです。それこそこの欄は単に削除しても構いません。
 ただ、堆肥化が再生になるかどうかが明記されていないと、最終処分がどこで行われるかわからなくなってしまいます。委託する処分方法の欄に、堆肥化(再生)と記載するか、「最終処分の場所の所在地」の欄に「上記堆肥化の結果再生される」などの記載をされるとよいでしょう。
 肥料を販売する先の会社名を記載しないようにしてください。

■同様にマニフェストについて
 「最終処分を行った場所の所在地」等をE票に書くことになっています(施行規則第8条の24、第8条の25の2)。ところがここに「再生」であったり「有価物として販売するため最終処分は行わない」という記載がされていることがあります。
 しかし、「再生」は最終処分です。「再生」の場合は「最終処分の場所の所在地」を書かないでよい、ということではありません。再生を行った処分業者(中間処理業の許可であっても)の場所を記載しなくてはなりません。
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持続可能な安心社会

2009年06月18日 05時58分54秒 | ニュースクリッピング
6/15に、安心社会実現会議の報告書が出ました。

そこには、以下のようなコメントがあります。
***********
安心社会はそれ自体が持続可能なものでなければならない、ということである。次世代がそのつけを回されるだけ、ということがあってはならない。次世代もまた安心を享受し、活力を発揮し続けることができる基盤を構築することが、我々の世代の責務である。
***********

 「持続可能」というキーワードは環境問題の専売特許ではなくなってきています。持続可能性、つまり次世代のことを配慮しているかどうかという意味では、「環境問題」も「社会保障の問題」も、根はひとつです。我々の考え方、行動様式の問題です。
 従って、どちらか片方だけが解決するということにはならないと思います。対症療法により解決したように見えても、すぐに別の問題が持ち上がると思います。逆に言えば、片方が根本解決されるということは、もう片方もいずれ解決されるはずです。

 相当根が深い問題ですが、我々は結局ここを問われているのだと思います。

 子供は何も文句を言えません。大人の責任は重大です。
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環境省不法投棄ホットライン

2009年06月17日 05時47分04秒 | 余談コーナー
 何年か前に環境省が「不法投棄ホットライン」を設置しました。環境省HPのトップからバナーでリンクが貼ってあります。不法投棄があった場合には、疑わしいものを含めて環境省に通報することができます。

 過去の件数などはこちらです。集計期間は、平成16年6月16日~平成20年 8月31日でこれまでのところ、100件近く来ています。都道府県ごとの件数グラフもありますので、ちょっと面白いです。大阪なんて面積狭いのに、たくさん来ているようです。

 皆さんも、妙な山を見つけたら通報してみてください。携帯からも通報できるようです。
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「捨てる」の方言

2009年06月16日 05時55分55秒 | 余談コーナー
 「捨てる」という言葉の方言は色々あります。ネットで色々検索したものを、ここでまとめます。地方に行って話しについていけないと困りますよね。ご参考ください。

関西:ほかす
名古屋:ほかる

 「ほかす」は有名なのでしょうか。私はアミタに入社するまでこの言葉を知りませんでした。ちなみに、アミタという会社は、姫路が発祥の地だけあって社内でも関西弁が多く、私は「ほかす」という方言をいつの間にか自然に理解していました。

北海道、東北:なげる

 「なげる」には参りました。始めて北海道で仕事をしたときに、全く分かりませんでした。「ほかす」という言葉は他の意味はありませんが、「なげる」は立派に他の意味がありますので、かえって混乱します。それにしても「なげる」とは、広いからなんでしょうねぇ。

新潟、山梨:ぶちゃる

 だそうです。ぶっちゃけた話、という言葉と関係があるのかも。

東京下町:うっちゃる

 相撲の決まり手と関係あるとか。


他にも、

長崎:すつる

高知:ふてる

鹿児島:うっせる、うっすい、うっすっ

福岡:ほたる、ほたらかす


そして、この3つは独立系です。特に「とろく」って言っている現場を見てみたいです。

愛媛:まくる

鳥取:とろく

茨城:かっぽる

 いやはや、思ったよりたくさんあります。
 言語の多様性、生物多様性、どちらも根本は同じことです。守っていかなければなりませんね。
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事業者による一般廃棄物の越境委託

2009年06月15日 05時21分33秒 | コンサル日誌
 先日の「一般廃棄物を委託する際の注意点」という記事で、一般廃棄物の越境委託は問題ないと説明しました。これについて質問が来ていますので、もう少し詳しく説明します。

■一般廃棄物処理計画の調和(=市町村の事務)
 法第6条は、一般廃棄物処理計画について記載されています。第4項では、以下のように記載されています。
*法第6条第4項*******
 市町村は、その一般廃棄物処理計画を定めるに当たつては、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し関係を有する他の市町村の一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めなければならない。
**************

 一般廃棄物の流出や流入を把握しておかないと、周辺の市町村の一般廃棄物処理計画との調和など取れるはずもありません。各市町村の区域内での処理が望ましいので、原則越境移動がNGと(指導)されていてもおかしくはありません。
 しかし、この規定は市町村に向けてのものであって、排出事業者には関係はありません。

■市町村の委託基準(=事業者とは無関係)
 一般廃棄物は市町村がちゃんと計画を立てて、責任を持って処理しなければなりません(法第6条の2第1項)。その際には、処理基準を守る必要がありますし、もし委託するのであれば委託基準を守らなければなりません(法第6条の2第2項)。その委託基準については、施行令第4条に記載されており、市町村外にある処分場に委託する(つまり越境委託する)場合について下記のように記載されています。

*施行令第4条第9号************
第七号の規定に基づき指定された一般廃棄物の処分又は再生の場所(広域臨海環境整備センター法第二条第一項 に規定する広域処理場を除く。)が当該処分又は再生を委託した市町村以外の市町村の区域内にあるときは、次によること。
イ 当該処分又は再生の場所がその区域内に含まれる市町村に対し、あらかじめ、次の事項を通知すること。
(1) 処分又は再生の場所の所在地(埋立処分を委託する場合にあつては、埋立地の所在地、面積及び残余の埋立容量)
(2) 受託者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては代表者の氏名
(3) 処分又は再生に係る一般廃棄物の種類及び数量並びにその処分又は再生の方法
(4) 処分又は再生を開始する年月日
ロ 一般廃棄物の処分又は再生を一年以上にわたり継続して委託するときは、当該委託に係る処分又は再生の実施の状況を環境省令で定めるところにより確認すること
*************

 〔赤字部分〕持ち込み先の市町村に事前通知しなければなりません。さらに〔青字部分〕1年に1回以上実地に状況確認することとされています(施行規則第1条の8参照)。
 しかし、そもそもこの話の大前提である法第6条の2第1項、同条第2項は市町村の責務について述べたものであり、事業者が処理を委託する場合は適用を受けません。そりゃそうですよね、毎年の実地確認を法律で事務付けられるなんて、産業廃棄物より厳しいです。

■事業者の委託基準
 事業者が処理を委託する際の基準は、法第6条の2第6項と同条第7項に記載されています。許可業者に許可の事業の範囲内で委託してください、といういつもの内容でそれ以外にはありません。ただ、条例については別途規定がある可能性がありますので、確認されるとよいでしょう。
 なお、数年前にいくつかの自治体(市町村も含む)に電話で確認したところ、「越境して委託しても特に問題はない」という回答がほとんどでした。持ち込み先の市町村に一言伝えておくとよいかもしれない、条例がないか気をつけたほうがよい、というアドバイスはありましたが、法律で禁止されているという説明は受けていません。

■結論
 ということで、越境を禁止する規定はどこにも見つかりませんので、禁止はされていないと思います。越境委託する場合は、収集運搬の許可が積む場所と卸す場所にあることを確認してください。それが一番大変なんですけどね・・・。
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