議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

小型家電と契約書、マニフェスト

2012年02月17日 23時30分48秒 | ニュースクリッピング
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今年の目玉でもある、小型家電のリサイクル制度。
基本的にはよい方向だと思っています。

ただ、ひとつだけナンセンスな規制が残ります。

■マニフェストがいる
それは、小型家電が産業廃棄物となったもの(つまり、工場、事務所から排出
された場合)もこの制度の対象となるのですが、家電リサイクル法とは異なり
マニフェストが必要となる、という点です。

パブリックコメントでも、不要とすべきではないかとの意見があったのですが
(というか、私も書きました)、対応方針として以下のような回答でした。

「産業廃棄物については、排出者は排出事業者責任を全う
する必要があるため、これまで通り産業廃棄物である小型
電気電子機器は、マニフェストの交付が必要となります。」

この理由が通るのであれば、すべての産業廃棄物についてマニフェストの交付が
必要となります。

しかし、繰り返しになりますが、家電リサイクル法では契約書もマニフェストも不要です。
また、市町村に委託する場合や専ら物の場合もマニフェスト不要です。「これらは例外
として認めたが、小型家電ごときは例外として認められない」ということなのでしょうか。
どう考えても、国が認定する小型家電のリサイクルの方が、チェックされない専ら物より
ずっと安心できる制度だと思いませんか?

なお、答申では契約書については触れていませんが、マニフェストがいるなら、
当然必要になるでしょう。「契約書=必要 マニフェスト=不要」というパターンは
これまでに存在しましたが、「契約書=不要 マニフェスト=必要」というパターン
はありません。

■それにしても・・・・
この制度が成功するためには、回収率を高めないといけないと言っておきながら、
この制度に協力して出そうとすると、契約書とマニフェストをわざわざ別途運用
しなければならないという手間が生じるのです。
回収を受ける側としても、産業廃棄物で来たものは、個別で管理しなければ
ならないのですから、相当な負担になるのではないでしょうか。

今国会で、法が成立して、1年かけて政省令を作るのですから、その間に方針
転換されることを望みます。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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そういえば、電子マニフェストのEDI事業者の一覧表があるのをご存知でしょうか。
いわゆる、ASP/クラウドの形で一般向けにサービス提供をしているところと、そうでない
ところの両方が掲載されているのだと思います。

アミタでもサービス展開しています。

建設廃棄物系のイーリバースは別として、排出事業者向けの電子マニフェスト、廃棄物
管理システムとしては、アミタのe-廃棄物管理はシェアNo1なのではないかと、営業
から聞いたことがあります。
もちろん、市場調査をしている会社があるわけではないので、担当者個人の感触らしいの
ですが。。。

ま、でも、きっとそうなんだと思います。皆さんよかったらお問い合わせを。
 →e-廃棄物管理 
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放射性物質に汚染された廃棄物と契約、マニフェスト

2012年02月10日 17時50分41秒 | コンサル日誌
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特定産業廃棄物って、知ってますか?
あと、特定廃棄物はどうですか?
指定廃棄物っていうものあるんですが?
もちろん、特別管理産業廃棄物のことじゃないですよ。

これらは、放射性物質汚染対処特措法という、つまりは原発事故で
放出された放射性物質による環境汚染に対処するための法律で
規定された言葉です。

パッと見、特定とか、指定とか、何がどうなっているのか
ワケが分かりません。

なお、この法律の正式名称は
「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」
です。ひたすら長いです。

この記事で「法」とか「規則」とかいった場合は、上記法律を指します。
廃棄物処理法ではないので、ご注意ください。


さて、この法律で重要な用語について“簡単に”まとめると、
(分かりやすいように、本当に簡易化していますので、ご了承ください。)

■指定廃棄物 [法第16条、17条あたり]
⇒(セシウム134、137合計値が)8000Bq/kgを超える廃棄物です。
 一般廃棄物とか産業廃棄物という概念はありません。

■対策地域内廃棄物 [法第11条あたり]
⇒警戒区域などの高濃度の汚染がされている区域から出る廃棄物

■特定廃棄物 [法第20条]
⇒上記、指定廃棄物と対策地域内廃棄物を合わせて、特定廃棄物といいます。
 これは、国が処分(委託)することになります(廃棄物処理法を外れます)。

■特定産業廃棄物、特定一般廃棄物 [法第23条]
⇒8000Bq/kg以下の産業廃棄物または一般廃棄物で、放射性物質に
 汚染されている廃棄物です。これは、廃棄物処理法の範囲内で
 処理します。

警戒区域など以外で、普通に企業活動をされているのであれば、最後の
特定産業廃棄物に関わる可能性だけを考慮すればよいでしょう。

また、これについても東京より東の地域の工業用水道施設から
生じた脱水汚泥・乾燥汚泥と、産業廃棄物の焼却灰だけが対象です。
(他にもありますが、普通の企業活動としてはこの認識でいいでしょう)

名前は似ていますが、特定廃棄物とは、汚染度合いも規制を受ける法律も
全く違いますのでご注意ください。


■ここから本題です。

まずは、特定産業廃棄物を排出される場合の注意点です。

・処理基準について
あくまで廃棄物処理法の範疇内で処理をするのですが、処理基準が追加
されています。
詳しくは、下記をご覧ください。

第二部 特定一般廃棄物・特定産業廃棄物関係ガイドライン
 
基本的には処理業者が準拠することになります。保管場所の掲示板の表示とか、
放射線量の測定とか、少々ややこしいことになっていますので、簡単に受け入れ
はできません。当たり前ですが。

排出事業者としては、これらを守れる処理業者に委託すべきでしょう。

ただ、排出事業者には、処理業者が処理基準を遵守しているかどうかを
確かめる直接の義務規定はありません。

・排出事業者の直接の義務
排出事業者の保管基準の改正がないため、掲示板を変える必要はないと思います。
ただし、契約書とマニフェストに「特定産業廃棄物が含まれる旨」を記載しなければ
なりません。
これが、規則附則第5条にあります。ナント分かりにくいところにある
のでしょうか。附則って、条文のホントに一番最後のところにあります。

一応、下記通知の一番最後に説明があります。

「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電
所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特
別措置法の施行について」


契約書とマニフェストの改正については、ほとんど忘れ去られそうに
なったのを、最後にあわてて気付き、無理やり、変なところに入れた
のかもしれません。
契約書を再締結しなくても、覚書や発注・請書で代替できます。念のため。

また、放射性物質に汚染されていても、特定産業廃棄物、特定一般廃棄物に
該当しない場合は、法律上はこれまで通り普通に処理して構いません。
あとは、処理業者さんの受け入れ条件次第です。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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