議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

除染土壌を建材に再利用の件からオーフス条約まで

2015年12月25日 20時10分05秒 | 持続可能社会
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突然ですが、除染土壌の話です。

除染土壌は、各県で確保した中間貯蔵施設で保管することになっています。
そして、中間貯蔵開始から30年以内に、別の場所で最終処分することに
なります。

ただ、ご存知のように、中間貯蔵施設は福島県の大熊町と双葉町で
合意が取れている以外、他の県では話がまとまっていません。
そのため、仮置き場に積まれたままという状態で、袋が破れたりして
問題となっています。

そこで、除染土壌から、放射性物質を除去し、建材として再利用しよう
という案があります。路盤材とかの類に使うのでしょう。

除染で出た土を建設資材に 環境省がモデル事業

基本、いいんじゃないかと思います。
ちゃんと放射性物質を除去するという前提ですが。

除去するとなるとエネルギーもコストもかかる話なので、中間貯蔵施設に
置いて線量が下がるのを待つのが合理的ではありますが、場所が確保
できないのですから、次善の策でしょう。仕方ありません。

ところが、「大丈夫なのか?」という声が多いようです。

これまた、気持ちは分かります。再利用てことは、身近な生活圏
にばらまかれるのではないかという懸念もあることでしょう。

ものの見事に、環境省が悪者になっているようですが。。。


■いくらなんでも、環境省がかわいそう
環境省に入省された方は、環境によい政策に携わりたいと思っていた
はずですが、なぜか原発事故後には、経産省がやってきた原発政策の
後始末を押し付けられ、バッシングを受けています。
本当は、温暖化対策とか、生物多様性とか、リサイクル推進とかを
やりたかっただろうに、モチベーション下がるのではないかと、心配です。

みなさん大人なので、これも環境を守るために必要な仕事として割り切って
いらっしゃるのでしょうけど。

いや、確かに必要な仕事です。ガンバレー。


■対話と信頼
ポイントは、関係者との対話をしっかりとやる、ということでしょう。
環境省の最終処分までのフロー図でも、「国民の理解を醸成する」と
書いてあります。

小泉元首相が見に行ったフィンランドの最終処分場のルポでも、
「プラグマティズム(実用/実利主義)」と「信頼」がポイントだと
説明しています。


とういことは、やっぱり、、、前途多難ですね。

環境省が、というより、日本政府が国民との対話と信頼醸成をするために
ヒトモノカネ&ジカンを割いているとはとても感じられません。

とりあえずは、オーフス条約の批准くらいはしないと、話にならない
ような気がします。


■オーフス条約の正式名称
環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参加、
 司法へのアクセスに関する条約


市民による環境政策への関与を進める、これぞ、民主主義です。
こういった、地道な活動、対話から政府への信頼ができるものと思います。

環境省さん、こっちもやりませんか。お忙しいとは思いますが。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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今年は、セミナーが79本ありました。昨年の100回に比べると2割減です。
昨年は、販促セミナーや一部のクライアントさんの件数が多かったので
これくらいだと無理がなくてありがたいです。

そのかわり、というではありませんが、今年は日経エコロジーと
環境新聞の連載再開がありました。いずれも月1の連載です。

それにしても、今年はSDGsやらパリ協定やらで国際的な動きが活発
でしたが、来年はどう動くのでしょう。これらを受けての国内の動きも
気になります。

ということで、今年はこれで最後の議論de廃棄物としたいと思います。
皆様、メリークリスマス&どうぞよいお年を。
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電子マニフェストでも現物確認を

2015年12月11日 12時24分38秒 | 日経エコロジー
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今月(と言っても2016年1月号ですが)の日経エコロジーの連載について
補足です。

■“現物確認”について
p.101を開いてください。ページの真ん中辺りに
「電子マニフェストでも現物確認」
という見出しがあります。

電子マニフェストだと、データ登録を引渡し後3日以内に完了すれば
よいので、引き渡しの現場には誰もいなくても構わないという理解を
されている方には、驚きかもしれません。

要は、実際に引き渡すものと、マニフェストに書く産業廃棄物の種類
や数量が、同じであることを確認しないとダメですよ、ということです。
当たり前といえば、当たり前の話である。

*********************
(情報処理センターへの登録手続)
第八条の三十一の二 抜粋
 四  当該産業廃棄物の種類、数量及び受託者の氏名又は名称が
登録しようとする事項と相違がないことを確認の上、登録すること。
*********************

紙マニフェストもほとんど同じような規定があります。基本ほぼコピペ
なので引用は省略します。

記事では、現場にいなければならないと読める表現ですが、厳密に言えば
条文のとおり「相違がないことを確認」できればよいのである。

確認方法としては、
 ①現場に行く
 ②廃棄する在庫品が何かは、現場に行かなくても分かるので大丈夫
  =倉庫業者に廃棄する在庫品を指示するだけ
 ③誰かに写真なりを取ってもらって確認する
などが考えられます。

確認方法については、具体的な指示がないので、そこは個別事例の状況を
踏まえて妥当と思われる方法を取ることになります。

■“情報端末に表示”のところ
p.101の真ん中少し下で、電子マニフェストの引き渡し時の対応として
2つの方法を提示しています。

これは、収集運搬業者は運搬中は紙マニフェストを携行しなければ
なりません(運搬基準)が、電子の場合はどうするのか、ということです。
すみません、ちょっとそのように読み取りにくいです。

方法として、①受渡確認票を持たせるか、②電子マニフェスト情報を
スマホなどで表示できればよい、表示するためにはマニフェスト番号を
伝えておく必要がある、という説明をしています。

具体的には、たまに、路上で産業廃棄物車両の検問をしていますが、
そんなときに表示できなければならないのです。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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おかげ様で、日経エコロジーのこの連載も好評のようです。

ネタはまだまだありますので、今後ともご愛読いただければと
思います。

■発行日
毎月8日発行(年12冊)
■購読料(税込み)
1年(12冊):27,400円
3年(36冊):58,000円
■一部売価格(税込み) 2,690円

 だそうです。

<購読お申し込み>
 http://ec.nikkeibp.co.jp/item/magazine/ECO.html
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俳棄物処理句

2015年12月03日 13時19分56秒 | コンサル日誌
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ご無沙汰いたしております。
しばらく更新をしなかったのは、ネタがなかったからです。

今年は法改正もなく、いや、ありましたが、産廃の処理に関しては
微妙に水銀が変わった以外は、ほとんど特筆すべきものがありません
でした。

ということで、エコプロのネタにもなかなか困っていたのですが、
おかげ様で参加申し込みは好調です。

今回は、前回のご紹介の後に決まったお土産についてご案内します。


まず、上智の織先生、10月にできたばかりの冊子を会場で配布して
いただけることになりました。

 「廃棄物」ではなく「資源」に

という冊子です。「循環資源法制研究会」のメンバーの方が編集されて
います。

まだあまり広くは配られていません。これも使いつつ、お話しいただく
ことになります。

さらに、私が環境新聞に連載しているということで、連載記事が
載っている号を見本に全員に配布していただくことになりました。
もちろん、環境新聞さんの購読申込み書も一緒ですが。

ということで、お土産が、冊子と環境新聞の2点あります。
あと、残り8席です。お早めにどうぞ。

http://www.amita-oshiete.jp/seminar/entry/002284.php


■そして、今年ちょっとだけムリヤリ作ったネタをご紹介します。

題して〔俳棄物処理句〕です。

まずは、これから。

 「廃家電 有価買取 許可不要」

ま、みんなそう思いますよね。

 「廃家電 有価買取 でも産廃?」

これは、環境省通知「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について」
をネタにしています。この通知の3ページ辺りをご参照下さい。


 「ごみの山 なぜか楽しい 処理施設」

やっぱ、現地確認って、楽しいよね、という気持ちを表しています。

 「廃掃法 できないルールは 守れない」

できないことは、どんな厳しいルールにしても、守れないのである。

 「ボールペン ホントにこれって 産廃か?」

意味の分からないことをルールにすると、そのルールはまともに
相手にされなくなる可能性があります。

 「トラックだ 表示はどこだ 職業病」

職業病というより、担当者であれば、子供と街中を散歩している
時でも、それくらいの条件反射は出るようになって欲しいものです。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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俳句、どうでしたか?

よく見ると、関係者しかわからない内容になっていました。

これらの俳句の意味が分からない方は、まずは基礎から勉強する必要
があるでしょう。
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