議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

一連の下取りネタについて

2009年06月09日 06時10分58秒 | コンサル日誌
 最近、下取りのネタが続きましたが、少し整理します。

■大原則
 そもそも、下取りについては通知があるだけです。通知というのは法律でもなんでもなく、単なる環境省の法解釈でしかありません。それが法律上正しいという保証は全くありませんし、それ以外の解釈、拡大解釈が法律違反であるということでもありません。これ、大原則ですので、お忘れなく。

■記事の紹介

下取りは納入業者でもできるのか?

この記事では、下取りは販売者本人だけでなく、納入業者でもできるという解釈を紹介しています。ちなみに、私個人としてはこの考え方は正当だと考えています。

下取りの件、続報
この記事では、全国の自治体の会議で環境省が下取りについて説明した資料をご紹介しました。引き取りのタイミング“際”というキーワードを柔軟に解釈するという説明があります。一方、下取りは引き取る時点から廃棄物なので処理基準が適用され、販売者以外の第三者が運搬する場合は許可がいる、ということでした。自社運搬の場合でも、処理基準の適用=車両表示や書面携帯が必要です。むちゃくちゃ厳しい解釈です。

■事業活動の一環での回収でいいのでは??
 しかしこれって、そもそも単なる通知の文言について、さらに掘り下げて解釈した、ということになります。でも本当に通知の文言を厳密に受け止めて解釈する必要はあるのでしょうか?通知の主旨を踏まえて現在の社会情勢に合った法解釈をするべきなのではないでしょうか。

 で、思うにこの通知は「メーカーや販売店が業務の流れの中で発生したモノを持ち帰るという行為は問題ない。特に納入時に使用済み品を回収するケースは明文化しても差し支えない分かりやすい例である」みたいな感じで書かれたのではないでしょうか。

例えば、以下のような業務で発生したモノはどうでしょうか?

 ・工事
 ・設置
 ・部品交換
 ・下取り
 ・メンテナンス
 ・洗浄
 ・修理
 ・返品
 ・リコール

 上記いずれの場合であっても、サービス、業務に伴って出てきたものを、いったん自社の管理する拠点に持ち帰ることはよくあります(というより一般的です)。そしてこれらは、単にサービスや業務に付随する行為でしかないと思います。「自分の仕事で出たものはすべて持ち帰る」という、非常にまっとうな感覚です。そして通常、持ち帰ってから「ゴミが出たから捨てよう」という意思を持つのだと思います。総合判断説でいう「占有者の意思」というアレがココで出てきます。この段階から廃棄物なのです。

 当初の下取りの通知はこんな例を踏まえて書かれた、ということではないのでしょうか?ただ、書面としての通知は分かりやすく類型化しやすい例を少し詳しく書いたのであって、他の方法がすべてNGであるという主旨ではなかったのだと想像しているのです。

 いかがでしょうか?

 もう、下取りの通知や環境省の超安全解釈に不必要に振り回されずに、事業者の判断・解釈でいっちゃいましょうよ。

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2 コメント

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ガチガチにする必要はないですが… (真茶香)
2009-06-09 23:11:24
 世間一般でいう「下取り」とは、「下取りをすることによって値引きされる」即ち、残存価値のあるものを引き取ることを言います。
 これを、商品の納入時に、その商品を購入することにより顧客が不要となった品物を引き取る場合も「下取り」と言ったことから生じた混乱なのです。
 下取りをすることにより値引きされるようなものなら、当然有価物です。
 ところが、新品を購入したことにより不要となったものには、最新のものに比べて性能が劣るため効率が悪いという程度の理由で買い換えられたものから、壊れて使いものにならないものまであります。
 前者は当然残存価値のある有価物と見做せますが、後者にはスクラップとしての値打ちがあるものから処分費の嵩むものまで雑多で、引き取った後でなければ有価物か否か不明のことが普通です。
 即ち、このようなものだから、商習慣として「下取り」するのは、「例え廃棄物であっても許可は不要だ。」ということをいった通知だと理解しています。
 そして、引き取った後に廃棄物であることが確認された場合、その排出者は引き取った者であるので、家電製品であっても電器店の排出した産業廃棄物となるということではないでしょうか?
 しかしながら、商習慣としては、引き取る時点で明らかに廃棄物である場合も多々ありますので、その事も念頭に置いて「新しい製品を販売する際に商習慣として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集又は運搬をする下取り行為については、収集運搬業の許可は不要である。」としているのだと思います。
 そして、この場合は排出者は商品の納入先ですので、一般家庭であれば一般廃棄物、事業所であれば産業廃棄物になりますが、商習慣として確立している場合は客先の廃棄物であっても「下取り行為」は許可不要と言っているのです。ところが、販売者とは別の者が商品を納入先に運び込むという形態は近年になって一般的になったものであって、この通知がなされた頃に商習慣として確立していたとは到底思えないので、通知の主旨は下取りを行う者自らが運搬する場合を想定してのことで、納入業者が運搬する場合まで許可不要と言っているわけではないと思います。(司法が判断する場合は、法律、施行令、施行規則の定める所をよりどころとしますので、この解釈が通用するか否かはそのときになってみなければ分かりません。)
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当時の主旨 (堀口昌澄)
2009-06-09 23:54:45
真茶香様

コメントありがとうございます。

通知が出された当時は現在の商慣習を踏まえてはいなかった、、、のあとの解釈が問題ですよね。

①従って、条件が異なる現在の商慣習には適用できない。

②従って、通知が出された当時の背景、主旨を踏まえて現在の商慣習に適用するならば。。。


おっしゃるとおり①は通知の説明としては正しいと思います。一方、②は時代の変化を受けた通知の類推適用(?)なのだと思います。

どちらを選択するかは当事者である事業者が(まずは)決めるしかないわけですよね。


ちなみに、どこかの行政(廃棄物担当)の方が「下取りって買い取るのですから有価物ですよね」と言っていたのを覚えています。新任の方だと当然そう思いますよね。
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